アスペクト指向プログラミングの例
アスペクト指向プログラミングの例
ではどのような感じのコーディングおよび設定になるのか、ロギングを例にして説明します。例えば以下のようなクラスの場合を考えます。
}
上記コードのうち、ロギングの部分をすべて削除して、以下のようなロギングに特化したクラスを別途定義します。
{
}
そして別々のクラスを結びつけるための設定として、以下のようなXMLファイルを用意します。
上記XMLファイルの意味は、「com.abc.PojoClassの全メソッド」が呼び出される前後に「クラスcom.abc.Logging」を呼び出してください、ということになります。この手法は「インターセプタ」と呼ばれています。インターセプタは複数設定することもできますし、特定のメソッドだけを指定することもできます。
JBossAOPの特徴
JBossAOPを利用すると、元のソースコードに変更を加えることなく以下のことができます。
- メソッドの呼び出しのタイミングで処理を追加する
- フィールドへアクセスするタイミングで処理を追加する
- 例外が発生したタイミングで処理を追加する
- アノテーションを利用した処理の追加・拡張
- インターフェースの追加(インターフェースを実装しているかのように振る舞わせる)
- クラスの多重継承(多重継承をしているかのように振る舞わせる)
- 実行時における処理の追加・削除(プログラム実行中に追加・削除できる)
先ほどのロギングの例で紹介したのは1の機能です。同じような感じで、クラス内のフィールドへのアクセスが発生したとき(2)、例外が発生したとき(3)に別クラスとして抽出した処理を実行させることができます。
4は、JKD 5から正式にサポートされた「アノテーション」を使うことで、別クラスとして抽出したアスペクトを利用するしくみです。これにより、コーディングをするときに手軽にアスペクトを利用することができます。
5、6、7は、JBossCacheのTreeCacheAOPにて利用されている技術です。TreeCacheAOPはPOJOをキャッシュに格 納することができ、また、POJOの中の変更があった一部だけをキャッシュすることができます。この処理は以下のような流れで実行されます。
- POJOがキャッシュに登録されるときに、Serializableインターフェースの実装(追加)および、そのオブジェクトのフィールドへアクセスがあったことを検知するインターセプタを設定する
- フィールドへの更新アクセスが発生したときはインターセプタがその処理をトラップし、現在のデータを保存(ロールバックに備える)し、このフィールドが更新されたというフラグをセットする
- キャッシュのトランザクションが無事コミットされた場合は、変更のあったフィールドだけをレプリケーションの対象として送信する
- ロールバックした場合は、元の値へ戻す
- POJOがキャッシュから取り除かれた場合は、上記1で設定された各種設定をすべて取り除く(通常のPOJOに戻る)
アスペクト指向プログラミングというのは、J2EEのようなフレームワークを構築するためには非常に有効な手法であるので、JBossAOPはJBossの内部実装の中で使用されています。そして、今後適用されていく範囲は増加していくと思われます。
なお、JBossAOPもJBossCacheと同様、スタンドアロンでも利用することができます(注5)。
http://sourceforge.net/project/showfiles.php?group_id=22866&package_id=84165
次回は、JBoss Inc.がサポート/提供している、アプリケーション・サーバ以外の製品についての説明を行います。