はじめに
これまでTomcat、JBoss、WebLogicの3製品のクラスタリング機能について解説してきました。今回はこの3製品のHTTPセッションレプリケーションのパフォーマンス比較を行います。
テスト環境
比較対象となる3つのアプリケーションサーバでクラスタ環境を構築し、Webアプリケーションをデプロイします。アプリケーションはHTTPセッションレプリケーションを行うように設定しておきます。そして負荷テストを行い、各アプリケーションサーバの性能を比較していきます。
テスト用アプリケーションはシンプルなサーブレットです。リクエストを受け付けるとHTTPセッションのsetAttributeメソッドを呼び出し、HTTPセッションに任意のサイズのオブジェクトを格納した上で、クライアントにレスポンスを返します。
クラスタ環境は3台のサーバを用い、そのうち2台でアプリケーションサーバのクラスタを構築し、もう1台がロードバランサとなります。ロードバランサはApacheで、Tomcat/JBoss用にはmod_jk、WebLogic用にはmod_wlを用いて負荷分散を行います。WebLogicの 場合、クラスタノードのほかに管理サーバのインスタンスが必要になりますが、管理サーバのインスタンスはクラスタ用サーバの片方に同居させます(注1)。

図1:クラスタ環境(Tomcat)

図2:クラスタ環境(JBoss)

図3:クラスタ環境(WebLogic)
レプリケーションの設定は「同期(注2)」「ATTRIBUTE単位」で、「setAttributeが呼ばれたオブジェクトのみレプリケーションを実行」とします。よって、各アプリケーションサーバの設定は以下のようになります。
| アプリケーション | 設定する値 |
|---|---|
| WebLogic | デフォルト |
| Tomcat | useDirtyFlag:true replicationMode:pooled |
| JBoss | replication-trigger:SET replication-granularity:ATTRIBUTE CacheMode:REPL_SYNC |
設定方法の詳細は本連載の第1回(Tomcat)、第3回(JBoss)を参照してください。
アプリケーションへのアクセスにはJMeterを用い、ユーザ数を1から200まで増やしてレスポンスタイムとスループットを測定しました。アクセス間隔は500msとしています。
テストを行うハードウェアのスペックは以下のようになります(3台とも同じです)。
- CPU:Intel Xeon 2.8GHz
- メモリ:2GB
テストを行うソフトウェアのバージョンは以下のようになります。
- Red Hat Enterprise Linux ES 2.1
- Tomcat 5.0.28
- JBoss 4.0.3SP1
- WebLogic 8.1SP4
各アプリケーションサーバはSun MicrosystemsのJDK1.4.2で動作します。
- ロードバランサ
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- RedHat Enterprise Linux ES 2.1
- Apache 2.0.54(prefork)
- mod_jk 1.2.15
- mod_wl_20(WebLogic 8.1SP4に同梱)
- テストクライアント
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- JMeter 2.1.1
チューニング
各アプリケーションサーバを実行するJavaのヒープサイズを1024MBとしました(-Xms1024m -Xmx1024m)。アプリケーションを動作させるスレッド数は、WebLogicではプロダクションモードのデフォルトである25としています。
一方Tomcat/JBossとApacheを連携するmod_jkは、Apacheからの接続を維持しつづけるアーキテクチャを前提としていますので、同時接続数にあわせてserver.xmlのmaxThreads属性をチューニングする必要があります。今回は同時にApacheから接続し得る 最大数である200としました。