Red Hat Networkはシステム管理をどう変えるのか
前回、Red Hat Network(以下、RHN)は「OSとアプリケーションの完全なライフサイクル管理の統合フレームワークである」と紹介しました。RHNの管理対象とすることができる項目として、表1のようなものがあります。
- Red Hat Enterprise Linuxに同梱されるすべてのRPM(RPM Package Manager)パッケージ
- カスタムコンテンツ(サードパーティ製のアプリケーション、エラッタなど)
- 設定ファイル(=テキストファイル)
- サーバのハードウェアプロファイル
RHNはこれらをデータベースに格納しますが、単にRPMパッケージのダウンロードができるようになるということだけを意味するのではありません。では何が可能になるのでしょうか。今回は、システムのライフサイクルにそって説明しましょう。
新規システムのインストールと準備
OSのインストールにおいてCD-ROMなどのメディアを使うというモデルは、Red Hat Enterprise Linuxを含むLinuxでは過去のものです。高速なLANが低コストで利用できる現在、ネットワーク経由でのインストールの方がメディアを利用するよ りも時間がかからないことさえあります。
このためインストール時にメディアを入れ替える手間はなくなりましたが、OSのインストール後に管理者を待ち受けるのは、表2のような退屈だけれどもミスの許されないルーチンワークです。
- 最新のエラッタの適用
- ドライバやミドルウェアの追加インストール
- サードパーティや自社で開発したアプリケーションのインストール
- 現場で作成したマニュアルにそった各種設定
戦略的なIT投資という観点に立つと、高度なスキルを持つ技術者は、表2のようなコストを浪費する単純作業ではなく、より生産性に直結し利益を生み出すような業務に従事させることが必要でしょう。
RHNを用いれば、新規インストールやそれに続く設定、あるいは既存のシステムとまったく同じ設定の追加システムを構築することが自動的にできるよ うになります。したがってIT部門は、より高度なアプリケーションの開発やコストの低減に役立つ新技術の習得などにリソースを配分できるようになります。