徹底比較!! Oracle & PostgreSQL 2

Oracleのプロセス構造

Oracleのプロセス構造

  次に、Oracleデータベースについて説明します。図2は、Oracleデータベースの基本的なプロセス構造を図にしたものです。PostgreSQLと比べるとかなり複雑ですが、基本的なアーキテクチャは同様に、クライアント・サーバ型です。

  PostgreSQLとの大きな違いは、作業の分担がプロセス毎になされている点でしょう。PostgreSQLは、postmasterとその分身 postgresというプロセスがほとんどを一人で受け持ってしまいます。それに対してOracleでは、それぞれ異なる役割を持ったプロセスが複数存在 し、分担して作業をこなします。PostgreSQLは統合型、Oracleは専門特化型といえるかも知れません。

図2. Oracleデータベースのプロセスとファイルの構造


  Oracleのサーバ上で稼動するプロセスの役割は

バックグラウンド・プロセス
データ・ファイルへの書き込みを担当するdbwrやログ・ファイルへの書き込みを行うlgwr、プロセスを監視するpmon,smonなどがあり、総称してバックグラウンド・プロセスと呼ばれます。

サーバ・プロセス
ユーザ・プロセスと通信し、実際にSQLを実行します。

ユーザ・プロセス
SQL*Plusなどのクライアント・アプリケーション


といったところが代表的なものです。

 

起動してからの動作

  では、Oracleの起動からユーザ・アプリケーションが処理を実行するまでを見て みましょう。最初にバックグラウンド・プロセス(群)の起動とSGA(システム・グローバル・エリア)と呼ばれるメモリ領域を共有メモリ上に確保します。 この二つを合わせて、Oracleでは「インスタンス」と呼びます。

  PostgreSQLでpostmasterを起動する際は pg_ctl というOS上のコマンドを実行しますが、Oracleの場合は SQL*Plusを起動して、その中でstartup コマンドを実行してインスタンス(バックグラウンド・プロセス+SGA)を起動します。この辺りの起動方法の違いもアーキテクチャの違いを感じる部分です。

  インスタンスを起動した時点で、ローカルサーバ内で起動されるクライアント・プロセスからは接続可能な状態になりますが、ネットワーク経由の接続の為 には、リスナー(tnslsnr)と呼ばれる別のプロセスを起動する必要があります。tnslsnrプロセスは起動されると、TCP/IPポート(デフォ ルトでは1521)をListenし、クライアントからの接続要求を待ちます。

  ユーザがクライアント側でSQL*Plusなどを起動して、リスナーに対して接続要求を発行します。リスナーはインスタンスに対して要求を通知して、 インスタンス側で認証した後、新たにサーバ・プロセスを生成します。リスナーは生成されたサーバ・プロセスへの情報をクライアント側へ返し、その後はクラ イアント・プロセスとサーバ・プロセスが直接通信し、処理を実行できます。

  この場合、クライアント・プロセスとサーバ・プロセスとは一対一で対応しています。(専用サーバ構成といいます。) Oracleでは同時接続ユーザ数が多い場合、共有サーバ構成を使用することでサーバ側で起動するプロセス数を抑える事もできます。ひとつのサーバ・プロ セスを複数のクライアント・プロセスが共有して使用する事で、プロセス数とメモリ空間を節約できる大規模データベースを構成する為の機能です。

  クライアントとサーバ間の通信にはOracle Netというプログラムを使用します。
(SQL*NetとかNet8と呼ばれていた時期もあります。)

プロセス構造の違い

表1. PostgreSQLとOracleの仕組み対応表(プロセス編)

役割 PostgreSQL Oracle
ユーザ側(アプリケーション)プロセス フロントエンド ユーザ・プロセス
サーバ側プロセス バックエンド バックグラウンド・プロセス+サーバ・プロセス+リスナー
接続要求処理用プロセス postmaster リスナー
ユーザ作業用プロセス postgres バックグラウンド・プロセス+サーバ・プロセス
データ用バッファ 共有メモリーバッファ システム・グローバル領域(SGA)
C/S間通信 libpqプロトコル Oracle Net(Net8,SQL*Net)

上記は、PostgreSQLをベースとして、対応するOracle側の用語を挙げた物で、両者が同一の処理しかしない訳ではありません。 

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