セキュアなVM環境を作る 6

debootstrapを使ってDomain-Uの雛形を作成する

debootstrapを使ってDomain-Uの雛形を作成する

   まず最初に行うことは、「Domain-Uの雛形」を作成することです。

   このためだけにdebootstrapを使用するのですが、Domain-0環境にインストールするのは気が引ける、という方は、 debootstrapパッケージを取得の上、パッケージをバラして改造し、一時的に使用する、という方法もあります。もちろん、他のシステム上でイメー ジ作成の上、それを転送して使うというのもありです。

   それでは、debootstrapを改造して使う場合の具体的な作業を以下に列挙します。これらはすべて、Domain-0上で実施します。

dd、mke2fs、tune2fsを用いてファイルシステムイメージを作成、マウント

   リスト20にコマンドラインの例を示します。

リスト20:ファイルシステムイメージを作成してマウント

# dd if=/dev/zero of=/home/xen/debian_sample.img bs=1024k count=1 seek=1024k
# mke2fs -j /home/xen/debian_sample.img
# tune2fs -c 0 -i 0 /home/xen/debian_sample.img
# mount /home/xen/debian_sample.img /mnt -o loop

マウントしたファイルシステム上にdebootstrapを用意(パッケージ取得→改造)

   筆者が使ったのは「debootstrap_0.2.45-0.2_i386.deb」です。debootstrap自体はシェルスクリプトなので、パッケージからファイルを取り出して、単独で使えるように改造します。

   ただし、debootstrapはarコマンドがないと動作しません。このため、arコマンドを含むパッケージ(binutils)を入手の上、arコマンドだけが動作するようにします。筆者はbinutils_2.15-6_i386.debを用いています。

   具体的には、usr/sbin/debootstrapの中で定義されているDEBOOTSTRAP_DIRのパス名を変更して、さらにusr /lib/debootstrap/functionsの中に記述されているarコマンドのパス名を変更します(リスト21)。arコマンドもやはり、 パッケージをバラして適当なところに入れています。

リスト21:debootstrapを改造

debootstrapを改造
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   また、arコマンドのパス名を変更するだけでは、arコマンドが使うライブラリが参照できず、エラーが出力されます(リスト22)。そこで、arコ マンドが参照するライブラリが格納されたディレクトリ(今回の場合は、/mnt/binutils/usr/libになる)を LD_LIBRARY_PATHに設定してやります。

リスト22:arコマンドがライブラリを参照できずエラーに

arコマンドがライブラリを参照できずエラーに
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   このようにすることで、独自に配置したarコマンドも動作するようになります(リスト23)。

リスト23:ライブラリのパスを指定するとarコマンドが動作

ライブラリのパスを指定するとarコマンドが動作
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

上記パッケージを動作させ、マウントしたファイルシステム上にシステムの雛形構築

   普通に「独自に配置した」debootstrapを動作させます(リスト24)。パス名が異なる以外は、普通に動作します。

リスト24:debootstrapを実行

debootstrapを実行
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   なお、debootstrapを用いたインストールで最も注意すべき点の一つに、module-init-toolsパッケージがインストールされ ないということが挙げられます。このパッケージがない場合、insmodやmodprobeなどのコマンドが動作せず、LKM(Loadable Kernel Module)で提供される機能を追加できません。そういう機能を使用する場合には、忘れずにインストールしておきましょう。

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