世界と繋がる、グローバルカンファレンスの舞台裏! Open Source Summit Japan2024運営ボランティアの体験レポート Part2

2024年12月16日(月)
鯨井 貴博(くじらい たかひろ)
2024年10月に都内で開催されたOpen Source Summit Japanの舞台裏を、ボランティアスタッフの視点から紹介します。Part2では、メンバーのリーダーの立場から見えたことをお知らせします。

はじめに

こんにちは! Open Source Summit Japan(以後、OSSJ)運営ボランティアリーダーの鯨井貴博(くじらい たかひろ)です。

前回はボランティアメンバー目線でOSSJの運用をお伝えしましたが、今回はリーダー目線でのレポートとなります。

活動開始

ボランティアリーダーとしての活動は、イベントの約3ヶ月前から始まります。イベントの開催が10/28(月)・10/29(火)と決まっておりますが、その他は会場が虎ノ門ヒルズフォーラムであることくらいしか決まっていない状態です。

このタイミングでは、

  • いつボランティアメンバーの募集を開始するか
  • メンバー数は何人くらいがよいか
  • どのようなタスクをボランティアメンバーが担当するか

ということを検討しておきます。

とはいえ詳細が公開されていない状態ですので、どう進めるかというと過去の開催時の実績をベースに考えました。

会場となる虎ノ門ヒルズフォーラムをOSSJ2019(2019年6月17日~19日の3日間開催)で使用した経験、直近である昨年開催のOSSJ2023(2023年12月5日~6日 有明カンファレンスホールで開催)でのタスクでどのようなものがあったかという点を軸に検討を進めました。

まず1点目のボランティアメンバーの開催募集時期。こちらはこれまでの開催を目安に、イベント開催の2か月前(8月末~9月上旬)に募集開始としました。

2点目のボランティアメンバー数ですが、OSSJ2019の配置人数を参考に1日当たり35名程度とし、Day1・Day2のどちらかしか参加できないメンバーがいるだろうということや、次回開催(2025年)に向けて初めてボランティアメンバーとなる方の育成などを考慮し、前日設営(10/27)・Day1・Day2を通した全体で45名程度としました。

そして、3点目のボランティアメンバーのタスクは前回のレポートでもお伝えしたように、以下のようなものと想定しました。

  • ボランティアメンバー控室の設置や撤収
  • 受付担当(バッジ&ストラップ、スピーカーギフトなどを渡す)
  • 会場内誘導
  • クローク(荷物の預かり、返却)
  • イベントTシャツ配布
  • キーノート対応(同時通訳レシーバーの配布/回収や誘導)
  • ブレイクアウトセッション対応(タイムマネージメント、Q&A対応など)

詳細は公開されていないとはいえ、この段階では朧気ながらイベント開催中のイメージが描けるようになったので、ボランティアメンバー募集のための応募フォームを作成しました。

イベント開催の約2ヶ月前。作成した応募フォームをSNSなどで公開、拡散しました。また公開後はIT系の勉強会やイベントに参加しつつ、イベント運営に興味がありそうな技術者の方に直接声をかけてスカウトしたり、LT枠などをいただき宣伝させてもらったりしました。その活動などの効果もあり、無事に想定するメンバー数の応募がありました。メンバーの構成としては、ボランティアメンバーとして経験がある方と、初めて運営側として参加する方とが半々になりました。メンバーの中には学生の方もおり、ほぼ30歳でIT業界に転職してきた私からみると、この経験などを含め今後彼らがどのように成長していくのか本当に楽しみだなと感じる次第です。

キックオフ

ボランティアメンバーが決まったら、次に実施するのはキックオフです。イベントへの参加登録など事務的なものは、メンバーを含めたSlackチャンネルでも通知していたのですが、より具体的な内容を直接伝えるのが目的でした。遠方にお住まいの方や、業務の関係などで現地参加できないメンバーもいるため、キックオフはイベントの約10日前にハイブリッドで開催しました。開催場所は、中野にあるプリザンターラウンジです。

OSSJ2024ボランティアキックオフ

OSSJ2024ボランティアキックオフ

キックオフの会場設営のようす

キックオフの会場設営のようす

キックオフでは今回のイベント概要はもちろん、その時点で決定となっている事項と併せて、また未確定ではあるが過去の経験からおそらく必要になるだろうというタスクを含めた話をしました。一通り話をした後にディスカッションを行ったのですが、ボランティア経験者からは「そういえばこんなこともあった」と過去のできごとが共有され、また初めて参加される方からは積極的に質問があり、大変盛り上がりました。

このディスカッションの中で出てきた疑問や追加検討が必要な事項については、後日Linux Foundation運営側と調整を進めました。

Day0までの準備

そしてイベントまでいよいよ残り1週間、シフト表の作成です。公開されたイベントスケジュールを元にシフト表を作成し、メンバーに担当を希望する(興味があるテーマの)セッションを選んでもらいます。その後、受付などの配置を含めた全体調整をすればシフト表の完成です。

ここまで来たら、あとはイベント本番を残すのみ。前日設営(Day0)は、20名程で受付準備・ボランティアメンバールームのインフラ設置・クロークやTシャツ配布準備を手分けして実施してもらいました。

いよいよイベント本番

そしてついにイベント本番。ボランティアメンバーには各配置で対応をしてもらいますが、リーダーはそれぞれの場所が想定通りか確認をします。想定通りDay1の受付は混み合いましたが、列の整備や受付メンバーの増員などして対応しました。

当日追加になったこととしては、キーノートへの参加者向けのラッフル(番号付きのおみくじ)の実施です。ラッフルは、キーノート会場入り口で配布されるというものでした。これに対しては、担当のないフリーのメンバーが数名スタンバイしているので、彼らに対応してもらいました。

入口でラッフルを配布する

入口でラッフルを配布する

また、その他イレギュラーな対応が必要なこととして、急遽ブレイクアウトセッションが追加になったということもありました。こちらについても開始の直前にその情報が入ってきたのですが、フリーとなっているメンバーに対応してもらいました。

このようにリーダーのタスクとしてはイベントが開始されるまでの準備・調整が多くのウェイトを占めており、いざイベント当日になれば各担当が問題なく対応できているかの状況確認というのが主なタスクとなります。あとは想定していないことも必ず発生するので、それに対して余裕を持たせたメンバー配置をしておく、何が起きてもやりきるという心構えさえあれば大丈夫です。

今回、OSSJというイベントの裏方であるボランティアメンバー、及びボランティアリーダーの目線でイベントへの参加について書かせていただきましたが、お楽しみいただけましたでしょうか。来年にはまた12月8日~10日の日程でOSSJ2025が予定されておりますので、運営側として携わってみたいと思った方は来年の秋頃予定のボランティアメンバー募集にぜひ応募下さい。

●参考:Open Source Summit Japan 2025

著者
鯨井 貴博(くじらい たかひろ)

2000年(大学時代)にUnixの存在を知り日経Linuxを読み始めるが、Vine Linux 2.0で挫折。土木建設業界に就職したが、その悔しさを忘れきれず2007年にIT業界へ転職しLinuxに再チャレンジ。

その後、SE・商用製品サポート・社内外/専門学校での講師・プロジェクト管理などを経験し、LPI-Japanが展開している技術者認定試験であるLinuCのエバンジェリストとしての活動や、Linux Foundationが展開するKubernetesに関する技術者認定CKA/CKADのトレーニングを実施している。

2013年にLinuxCon Japanに初めて一般参加。翌年からボランティアメンバーとして、LinuxCon Japan・Open Source Summit Japanの運営に参加。2022年開催のOpen Source Summit Japanからボランティアリーダーを務めている。

また、興味の向くIT技術・オープンソースソフトウェアなどについて、Opensourcetehブログ(https://www.opensourcetech.tokyo/)で執筆中。

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