クライアント型SOAによるBtoCビジネス向けシステム
プチSOAとは
前回はクライアント型SOAの新しい適用分野として官公庁電子申請システムを例に解説しました。今回はBtoCビジネスを支えるサービス利用者のクライアントを対象にしたクライアント型SOAにフォーカスをあてていきます。事例をもとに、サービス企画者の方々を対象に解説していきます。
さて本題に入る前に、気になるトピックがありましたので少し触れてみたいと思います。
すでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、2006年のキーワードとして「プチSOA」という言葉がメディアで取り上げられていました。その内容に書いてありましたが、言葉として定着してきた「SOA」は今年大きく変わりそうです。
従来SOAは全社横断型のプロジェクトをベースに、ビジネスプロセスの再構築をうたってきました。このやり方はERPが日本で流行したときと同じような動きに見えましたし、当時ERPバブルで儲かったソリューションプロバイダの方々の「夢よ、もう一度」といった感じなのでしょうか。
大規模ビジネスを展開しているソリューションプロバイダの方々はこぞって「これからはSOAです!」と昨年声高らかに解説されていました。
方向性は間違っていないと思うのですが、全社横断型のプロジェクトでアーキテクチャを一新するためには、顧客側の体制だけではなく、ソリューションプロバイダ側にも、技術の標準化、クオリティの向上、コンサルティング、開発・サポートの技術者の確保など大掛かりな体制が必要になります。ここであえて説明はしませんが、機が熟するのにはもうしばらくかかりそうです。
そこで、各社が打ち出そうとしているのが「プチSOA」です。
SOAは全社横断型の大型プロジェクトでなくても、事業部単位や部門単位のシステムにおいて十分効果を発揮できる分野があることに気がつきはじめたからです。
プチSOAの種類
プチSOAは大きく2種類に分かれます。「サーバ側で小規模のSOAを実現するスモールシステム(図2)」と「クライアント側で小規模なSOAを実現するスモールシステム(図3)」です。
上記の2つは、サーバ側に開発の手を入れるか、クライアント側に開発の手を入れるかの違いに見えますが、実は適用範囲は大きく変わってきます。
まずはサーバ型とクライアント型の違いを比較してきましょう。表1に、それぞれの得手不得手についてまとめてみました。
比較項目 | サーバ型 | クライアント型 |
社外サーバと接続したい | △ | ◎ |
データをクライアントに置きたくない | ◎ | ○ |
サーバシステムを改変したくない | × | ○ |
処理プロセスを再構築したい | ◎ | ○ |
それでは表1の項目について上から順に解説していきます。