サーバー仮想化最新技術Citrix XenServer 5.6
ストレージの効率的な管理とディザスタ・リカバリ・サイトの構築(StorageLink)
StorageLinkは、既存のストレージ・システムが持つ機能を、XenServerとHyper-Vの両仮想化環境から直接利用できるようにするテクノロジです。ストレージ管理のコストや複雑性を軽減するほか、ネイティブなストレージ・サービスにワン・クリックでアクセスできるほか、ウイザードを用いて簡易にストレージをセットアップ/保守できるようになります。
StorageLinkでは、多数の仮想マシンの複製も、ウイザードから簡単/高速に実施できます。最上位のPlatinum Editionではさらに、仮想環境のディザスタ・リカバリ環境も簡単に構築できます(図8)。
図8: StorageLinkで仮想環境のリカバリ・サイトを構築(Platinum Edition) |
ダイナミック・プロビジョニング機能(Provisioning Services)
市場におけるサーバーの仮想化は、当初の予測よりも早まっています。物理サーバーと仮想サーバーの両者を集中的に管理・運用するニーズが高まっています。
ここで、Citrix XenServerを使えば、プロビジョニング機能を仮想サーバーにも物理サーバーにも利用できます。1つのサーバー・イメージをテンプレート化しておくことで、実質すべてのサーバー環境に対して一括展開できます。しかも、サーバー構成は、ブートによって瞬時に切り替わります。
管理ツールのGUI上でドラッグ&ドロップ操作をするだけで、数十台から数百台のサーバー構成を、必要なときに自在にコントロール可能です。オン・デマンドでデータ・センターのサーバー構成を変更し、ビジネス・ニーズに柔軟に対応させられます(図9)。
図9: Provisioning Servicesを使えば、データ・センターのサーバー構成を簡単に変更可能 |
仮想ラボ環境の構築とセルフ・サービス・ポータル(Lab Manager)
サーバー仮想化を導入した後、運用管理における課題として上がってくる声に、仮想マシンの数が増えすぎて管理負担が増える、といったものがあります。この課題を解消するツールが、Lab Managerです。
Lab Managerを使うと、XenServerやHyper-Vの仮想ラボ環境(開発、テスト、サポートなど)を効率よく展開できます。また、リース期間の設定を行うことで、仮想マシンの乱立や管理の複雑さ、といった問題を解決します。さらに、ユーザーが仮想環境に簡単にアクセスできるように、セルフ・サービス・ポータル・サイトも提供します(図10)。
図10: ユーザーが仮想環境をセルフ・サービスで利用するためのポータル |
ワークフローの自動化(Workflow Studio)
Workflow Studioを使うと、複雑なプログラムを書くことなく、部品を組み合わせるように、ドラッグ&ドロップで、運用手順を設定できます。システム管理者が日常実施するメンテナンス作業を自動化することも可能です。
Workflow Studioでは、Windows一般、Active Directory、PowerShell、XenServer、Provisioning Services、XenApp、XenDesktop、NetScaler(ロード・バランサ)などをコントロールする部品(アクティブ・ライブラリ)が、あらかじめ登録されています。
アクティブ・ライブラリは、常にアップデートされており、コミュニティからも提供されています。最近では、Amazon EC2をコントロールする部品も公開されていますので、ぜひ試してみてください(図11)。Workflow Studio Developer Networkから、アクティブ・ライブラリやSDKなどをダウンロード可能です。
図11: Amazon EC2を操作する定型処理も自動実行できる |
Citrix XenServerについて、理解できたでしょうか。まずは、こちらのサイトからXenServer無償版をダウンロードして、実際に使ってみることをお勧めします。ハードウエアの敷居もそれほど高くありませんし、インストールは10分程度で済みます。
ほかの情報源としては、XenServer 5.6日本語KBサイト、XenServer 5.5の日本語KBサイト、XenServer 5.0日本語KBサイト、日本語フォーラムやWikiサイト(非公認)などもあります。
有償機能については、Platinum Editionの評価版を用意していますので、こちらのサイトから入手して試していただければと思います。
最終回となる次回は、「仮想ネットワーク・アプライアンス最新技術」を取り上げます。