特別編 全国から強者が終結!ETロボコンチャンピオンシップ大会
全40チームが優勝を賭けて競い合う
連載記事の中で紹介した「ET(Embedded Technology)ロボコン」の決勝となるチャンピオンシップ大会が、去る2010年12月1日、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて行われた。
今回のチャンピオンシップ大会は、北海道から沖縄まで、全国の地区大会を勝ち抜いて選ばれた合計40のチームが出場を果たした。出場チームは個人から企業までさまざま。大学の研究室からも参加が見られた。
大会のロボット(走行体)は、教育用レゴ マインドストームNXTを使用。左右の車輪で自立し、本体下部から照射する赤外線でコース上の黒線を読み取って走行する。組み込みソフトを競う大会なので、ロボット本体はレギュレーションによって指定通りに組み上げることが条件となる。外見上はステッカーなどの一部を除きほとんど個体差がないが、最大の違いはそれぞれのチームが設計したロボットの制御ソフトウエアだ。
決勝用のコースは1周約20メートルで、インコースとアウトコースそれぞれを同時に2チームが2回ずつ走行し、その合計タイムを競う。1回目はゼッケン奇数がインコース、偶数がアウトコースを走り、2回目は反対のコースを走行する。
インコースとアウトコースのどちらにも、それぞれ課題となる難所が存在する。難所クリアで得られるボーナスタイムも大きなポイントとなるので、どちらを走っても問題ないよう、設計者には高度な技術が求められる。
出場者泣かせの最高難度コース
コースには完走を阻むいくつもの難所が存在する。各難所については以下の通り。
- シーソー
- 文字通りシーソー型の難所。無事に通過することで30秒、シーソー上で1秒停止することで80秒のボーナスタイムが得られる。ちなみにシーソー上の停止は本大会史上でも最高難度となっている。アウトコースに設置。
- 階段
- 2つの段差がある階段を無事に通過すると40秒のボーナスタイムが得られる。シーソー同様、バランスを崩すことなく上り、下りられるかがポイントとなる。アウトコースに設置。
- ミステリーサークル
- NXT走行体の超音波センサーを使ってペットボトルの配置を読み取り、配置パターン通りにサークルをうまく通過できると60秒のボーナスタイムが得られる。サークルへの進入方向も決まっており、逆送は無効となる。難度はシーソー上停止に次いで高い。インコースに設置。
- 坂道
- 上り角度10度、下り角度5度の坂道がゴール前に待ち構える。簡単そうに見えるがここでコースアウトするチームも多かった。インコース、アウトコース両方に設置されており、ボーナスタイムはない。
- ガレージ
- ゴールゲートを通過後、設けられたガレージ内に走行体がおさまると、20秒のタイムボーナスを得られる。ガレージにロボットが入りきらない場合や、ガレージの一部にロボットが触れた場合は無効となる。
コースの各所に設けられた上記の難所を各チームは鮮やかにクリアして見せたが、チャンピオンシップ大会だけあってよほど難易度が高いためか、惜しくも転倒してしまうチームもまた多く見られた。
チームによってコースの攻略にもさまざまなパターンがあり、意外な展開が起こるたびに会場からは大きな歓声がわきあがった。作戦かと思えばコースアウト・トラブルだったり、またぎりぎりの攻めを見せたチームが惜しくも転倒してしまったり。出場者たちの努力の結果によって、多くのドラマを見ることができた。
大会史上、最高難度となるシーソー上停止も「こっぺぱん♪」「SAGA組込ソフト研究会」の2チームがクリアするなど、主催者側の想像を超える展開に、レースは大きな盛り上がりを見せた。
会場にはETロボコンのTwitter(#etrobo)を表示した大きなプロジェクターも設置され、観客のツイートが次々に更新されていった。こういった工夫も今ならではの要素だ。
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- 入門者も参加しやすくなったETロボコン2013と、2012チャンピオンシップ大会レポート
- ETロボコンの地区大会を振り返って
- ETロボコンを仕事に役立てる
- 競技部門1位のチームメンバーが解説する、ETロボコンの攻略ポイント(後編)
- ETロボコン チャンピオンシップ大会レポート
- ものづくり日本を元気に!ETソフトウェアデザインロボットコンテストチャンピオンシップ大会
- 競技部門1位のチームメンバーが解説する、ETロボコンの攻略ポイント(前編)
- ETロボコン2014チャンピオンシップ大会レポート(前編)
- 「夏の終わりに親子でロボット体験会」で体験した、マインドストームとNXTソフトで作る自律型ロボット
- 新型ロボットと新クラスが追加された、ETロボコン2014の新たな挑戦とは