新型ロボットと新クラスが追加された、ETロボコン2014の新たな挑戦とは

2014年2月20日(木)
Think IT編集部

組み込み技術を競い合う、ソフトウェア重視のロボットコンテスト

自律走行型のロボットを使用して、モデリングやプログラミングなどの組み込み技術を競う「ETロボコン2014」の発表会が、都内の「ふくい南青山291」にて行われた。

ETロボコン実行委員会 本部運営委員長 小林靖英氏

大会では「5年後、15年後に世界をリードするエンジニアの育成を目指す」ため、企業での新人育成、学生の技術向上など技術教育の機会を提供することを主な目的としている。2002年にUMLロボコンとして始まった本大会は、途中からETロボコンと名称を変更し、今年で開始から13年目を迎える。

大会期間中、企業や学生によって結成されたチームは、ロボットに載せるプログラムを作り、与えられた課題をクリアできるよう精度を上げていく。プログラムを作成するためのモデルも審査の対象となる。組み込み技術を競う大会のため、ハードウェア(ロボット)は全チームが同じものを使用する。

北海道から沖縄まで、日本全国で地区大会が行われ、勝ち抜いたチームは、11月頃に開催されるチャンピオン大会で頂点の座を懸けて競い合う。

競技に使用するロボット(走行体)は、「教育用レゴ・マインドストームNXT」。2009年からは「倒立二輪振子」と呼ばれる、2つのタイヤで直立する形状のロボットが使われていたが、ETロボコン2014ではこれに加え、新型となる「NXTrike」が登場、会場でお披露目された。

ETロボコンは若手エンジニア育成を目的とし、全国規模で開催される(クリックで拡大)

自由なテーマでパフォーマンスするアーキテクト部門

2012年までのETロボコンは、指定の公式コースを自律走行するロボットで攻略し、その走行タイムやモデル内容を競う、1部門のみのシンプルな構成だった。

しかし、次第にコース攻略のノウハウが溜まってくることで、上位チームが常連化するなどの課題が出てきたため、2013年からは新たに企画やパフォーマンスを評価する「アーキテクト部門」が新設され、これまでの競技は「デベロッパー部門」と名付けられることになった。

昨年のETロボコン2013では、いずれも自由な発想から生まれた様々な作品が登場し、はじめて実施されたアーキテクト部門は予想以上の盛り上がりを見せた。ここではRPG風のストーリーをロボットが主役として演じる作品と、Kinectと組み合わせて散らかった物を元の場所に片付けられるお掃除ロボットの2チームが得点数で並び、同時優勝を果たした。

アーキテクト部門の様子(クリックで拡大)

非常に好評だったため、アーキテクト部門はETロボコン2014でも引き続き実施される。

デベロッパー部門は「プライマリー」と「アドバンスト」2つのクラスに

新しい試みとなるアーキテクト部門は好評のまま継続が決まったが、コース攻略をメインとするデベロッパー部門については、経験者と初参加者のレベル差が拡大していることや、過去のソースコードを再利用することによるチャレンジ度の低下など、依然として課題があるため、2014年ではこのデベロッパー部門を2つに分け、新たに上位クラスが設けられることになった。

デベロッパー部門の様子(クリックで拡大)

新設される「アドバンスト」クラスは、これまでとは異なり、技術を応用できるスキルを磨くことをテーマに、コースの難度をアップし、新しいロボットなどへの挑戦が求められる。
また、現場力を高める目的で、理不尽な要求に対応するための「仕様変更」などが盛り込まれることも紹介された。

クラス新設により、競技内容は2部門3クラスに広がる(クリックで拡大)

なお、これまでの競技は「プライマリー」クラスと呼ばれ、初級者向けに難易度を下げたコースが使われる。参加者は自チームのレベルに応じて参加するクラスを選択することが可能になる。

各クラスで使用されるロボットとコース(クリックで拡大)

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