競技部門1位のチームメンバーが解説する、ETロボコンの攻略ポイント(後編)

2013年4月18日(木)
岡嵜 雄平

1. 本記事について

本記事は、ETロボコン2012の競技部門において優勝した、チーム「猪名寺駅前徒歩1分」の活動内容を、チームメンバーが書き綴っています。後編では関西地区大会〜チャンピオンシップ大会(以下、CS大会)の活動内容、年間を通しての振り返りについて記載します(関西地区大会までの活動内容については、前編を参照ください)。

2. 関西地区大会

関西地区大会は2012年9月16日に開催されました。関西地区大会で我々のチームは競技部門で優勝、モデル部門ではシルバーモデルを受賞し、総合部門でも優勝することができました。

2.1. 直前リハーサル

関西地区大会1週間前、チームでの最終リハーサルを行いました。これは、大会本番での操作ミス、調整の漏れを防止するためです。

大会本番は大勢の観衆の前で走行体を調整し、走らせます。このため、会場全体がただならぬ緊張感に包まれ、どうしてもミスしがちなのです。実際、我々のチームはETロボコン2011にて、操作ミスが原因でボーナスステージの攻略に失敗しました。

その経験を活かし、当日の流れを事前に把握しておくためにリハーサルを実施したのです。

リハーサルにて確認したことを下記に記載します。

<走行調整のリハーサル>

  • どのような順番で調整していくのか?
  • 想定するトラブルと対策方法
  • 各メンバーの役割

<競技部門本番のリハーサル>

  • ステージに上る前の確認点(ケーブル接続とBluetoothペアリング)
  • キャリブレーション〜スタートの手順
  • インタビューの受け答え

2.2. 関西地区大会当日

いよいよ関西地区大会当日。大会は京都にて開催されたため、早朝からの移動となりました。

会場に着いてすぐに走行調整が始まります。やはり、リハーサルのおかげで慌てることなく準備できました。

我々のチームの強みは「短時間での調整に強い」という点にあると考えています。短時間で調整を終えられる秘密は、「調整手順をシナリオ化していること」と「メンバー全員が走行状態を見て、できるだけ案を出すこと」の2点にあります。前者については、作成したシナリオに沿って調整していくことで、慌てずに調整ができます。また後者については、全員が走行調整に関与することで、特定のメンバーに責務が集中することがなくなります。結果、それがメンバー全員の落ち着きにつながっているのです。

20分×2セットの走行調整が終わると、競技部門の本番まで1時間ほど休憩となります。ETロボコン2011では本番前の緊張もあり、会場内のピットにて待機していたのですが、ETロボコン2012では「万全の状態」であったため、チームでランチを食べに行くことができました。これも精神的に余裕があったためでしょう。

いよいよ、競技部門本番です。第1走目がアウトコース、第2走目がインコースでした。本番直前もリハーサル通りに、ケーブル接続やBluetoothペアリングを確認しました。

第1走目のアウトコースは、階段・シーソーという立体難所が待ち構えています。「尻尾で立体難所を攻略する」という思惑通り、無事に難所をクリアし、完走しました。第2走目のインコースも、ルックアップゲート・ドリフトターンを無事に攻略し、またしても完走することができました。さらに、ベーシックステージも最速ペースでの走行でした。結果、競技部門で優勝することができました。

図1:地区大会本番、立体難所をクリアする様子(クリックで拡大)
左が「階段」、右が「シーソーダブル攻略」です。

そして、いよいよモデル部門の成績発表。シルバーモデルに選ばれたのは、なんと「猪名寺駅前徒歩1分」でした。結果、総合部門でも優勝し、目標であったCS大会出場を決めることができました。

図2:結果発表
見事に総合優勝。歓喜の瞬間でした。
三菱電機マイコン機器ソフトウエア(株)

1989年生まれ。山口県下松市出身。徳山工業高等専門学校卒業。
FA分野における組込みS/Wの設計・開発に従事している。ETロボコン2012では「猪名寺駅前徒歩1分」のチームメンバーとして参加、チャンピオンシップ大会の競技部門にて優勝した。

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