CMS構築手法詳細

2011年3月31日(木)
生田 昌弘

CMSを有効に機能させるために

これまで説明したように、CMSツールの成否のほとんどは、CMSツール導入前に決まっていると言っても過言ではありません。まずそのことを、十分理解することが必要です。

CMS導入の正しい進め方は、企業のビジネス戦略に基づいたWebブランド戦略を立案し、戦略を活かした「あるべきWebサイト」「あるべき運用」を定め、しかるのちにCMSのツール選考を行うことが重要です。

こうすることで、その企業にあったCMS導入が実現でき、結果として、ビジネスに役立つWebサイトが実現できるはずです。

導入成功のポイントは、以下の3点

  1. ターゲットとなるお客さまと、そのニーズを把握する。
    →現在のWebサイト構造ありきではなく、本来どのような構造であるべきかを定める。
  2. ターゲットとなるお客さまとそのニーズから、必要な情報・機能を定める。
    →ユーザーシナリオを作成する。
  3. あるべきWebサイトに見合う機能を持ったCMSを選考する。
    →企業の体制やWebサイトの成果に見合うツールを定める。

ツールありきで導入しないことが、CMSツール導入で成功を得られるかどうかの最初のキーポイントになります。Web戦略や成しえたいWeb構造・体制を先に定め、運用を見据えてCMSを導入することで、ビジネスとして成果の出る、あるべきWebサイトが実現します。

どんなCMSツールを導入しても、そもそものCMS構築手法は変わらないはずです。まずやらなければならないことは、(コンテンツに関しては検討済みという前提で)コンテンツ設計です。これはコンテンツを何種類かのカテゴリーに分ける作業です。

分かりやすい分け方としては、共通部分と汎用部品に分けることをお勧めします。共通部分が、CMSツールで、1対多で表示される部分、汎用部分とは一対一で表示される部分だと理解すればよいと思います。

一対多とは、ヘッダーやフッター、お問い合わせのパーツ、バナー等々。一対一は、ページ固有のコンテンツと理解ください。どちらも、テンプレート、コンポーネント化されている必要があることは、言うまでもありません。

ですから、まずコンテンツの共有部分を洗い出し、表示されるページでの表示形態を洗い出し、それをコンポーネントに落とし込んでいけば、CMS構築のキーになる部分は終了です。

もちろん、表示されるページによって様々な表示形態になるもの、同一の形態で表示されるもの、共通部分の変化は多種多様です。何度かサイト構築を経験しなければ、最初から完璧な共通部分のコンテンツをコンポーネント化する作業は、難しいかもしれません。

共通部分のコンポーネントが完成したら、詳細ページ(商品やサービスの)のテンプレートを作成します。ここは一対一の表示になるはずです。そして、そのコンテンツに必要な共通部分を組み込んでみてください。ページテンプレートのたたき台が完成するはずです。

必要な商品やサービスのカテゴリー分について詳細ページのテンプレートを作成してみると、まず共通部分のコンポーネントの問題点が現れてきます。さらに一対一で表示する部分も、同一のコンポーネントでできるだけ制作できるように検討してください。詳細ページのテンプレートが10枚以内にまとまらないと、CMS構築は問題無いけれども、管理者が管理しきれない、運用に問題のあるCMS構築になってしまします。

Topページや、リストページ、コンテンツページなど、代表的なページを先ほど設計した詳細ページのテンプレートで使用したコンポーネントで、構築を試みてください。新規でコンポーネント作成がなければ、テンプレート数もそれほど増えないはずです。

次回、構築手法の詳細を説明したいと思います。

図3:CMS導入の正しい進め方(クリックで拡大)
何を成し得えたいかを考え、それを達成するためにCMSのツール選考を行うことが重要です。
株式会社キノトロープ

1993年12月にキノトロープを設立。一貫した方針で数々のWebソリューションを築き上げる。現在もネットエバンジェリストとして布教活動を行い、積極的に講演も努める。
著書に「Webブランディング成功の法則55」(翔泳社)、「CMS構築成功の法則」(技術評論者)、「Webサイト運用成功の法則」(ソフトバンククリエイティブ)等。
 

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