Windows Server 8の基本的な設定手順
注意:ここで紹介されている機能や設定方法は、開発者向けのバージョンであるため今後のベータ版や製品版では変更がある可能性があります。
昨年2011年9月13日~9月16日まで開催された「Build Windows」で公開されたWindows 8 。また次期サーバーOSの、Windows Server Developer Preview(以下Windows Server 8)が9月14日公開されました。MSDNのみでダウンロード可能となっています。
また、2012年1月10日~13日に行われたCES 2012では、Windows8搭載のタブレットが披露され、リリース時期が10月ごろであることが明らかにされました。
(参考:Microsoft Server and Cloud Platform "Windows Server 8")
Windows Server 8ではあるものの、内部バージョンはNT6.2、Windows Server 2008 R2ではNT6.1で、マイナーバージョンアップです。
しかし、Hyper-V3.0をはじめ新機能や機能強化などが多くありました。Build Windows の中でネットワーク機能強化についても紹介されています。リストアップしながら、これらの機能について簡単に説明していきます。
(参考:Network acceleration and other NIC technologies for the data center)
Fabric convergence in the cloud
- Data center Bridging (DCB)
- Remote Direct Memory Access (RDMA)
- Datacenter TCP (DCTCP)
- Operations Reliability
- Consistent Device Naming (CDN)
- NIC Teaming (LBFO)
Data center Bridging (DCB)、Remote Direct Memory Access (RDMA) 、Datacenter TCP(DCTCP)は、クラウド内のファブリック統合の機能として挙げられています。これらは、データセンター内のデータを輻輳させず、効率よく転送する技術です。
DCBは、IEEE802.1Qaz 拡張伝送選択(ETS:Enhanced Transmission Selection)とIEEE802.1Qbb 優先度ベースフロー制御(PFC:Priority-based Flow Control)により、データ損失を起こらないようにし、SANとLAN/WANのI/O統合を可能とします。
RDMAは、NICにデータをアプリケーションメモリと直接やり取りさせること機能を持たせ、低いCPUの使用率で低レイテンシ、高スループットで通信を行うことができる機能です。これにより高速で低負荷なSMBストレージを可能とします。
DCTCPは、データセンター内においてTCPの輻輳制御アルゴリズムの拡張版で、輻輳情報通知機能(ECN)を利用しています。
Consistent Device Naming (CDN)、NIC Teaming (LBFO)はオペレーションの信頼性として挙げられています。
CDNは、NICから名前を取得してOSに表示する機能です。
NIC Teaming は、複数のNICを束ね冗長化を図る機能です。NIC Teaming については後で紹介します。
Flexible, secure clouds
- Generic Routing Encapsulation (GRE)
- IPsec Task Offload v2 (IPSecTOv2) for VMs
Generic Routing Encapsulation (GRE)、IPsec Task Offload v2 (IPSecTOv2) for VMsはフレキシブルでセキュアなクラウドを提供する技術と挙げられています。
GREは、トンネルプロトコルの一つでRFC2784とRFC2890によって定義されています。
IPSecTOv2はIPSecの暗号化、復号化をNICにオフロードする機能です。これはWindows Server 2008 R2でも提供されていた機能を強化したものです。
High Performance Networking Offloads
- Receive Side Scaling (RSS) extensions
- Receive Segment Coalescing (RSC)
- Dynamic Virtual Memory Queues(VMQ)
- Single-Root I/O Virtualization (SR-IOV)
Receive Side Scaling (RSS) extensions、Receive Segment Coalescing (RSC)、Dynamic Virtual Memory Queues(VMQ)、Single-Root I/O Virtualization (SR-IOV)は、ハイパフォーマンスのネットワークをオフロードする技術として挙げられています。
RSSは、受信処理を複数のCPUで処理を分散する技術。RSCは、パケットのヘッダー処理を削減することでI/Oが10~30%改善される技術。
DynamicVMQは、仮想マシンキューを動的に変更が行えるようになったものです。
SR-IOVは、Hyper-V上のバーチャルマシンが直接、物理NICを利用できる機能です。
以上、主な新機能について紹介しました。この第1回では、Windows Server 8で一新された「Server Manager」と、追加された新機能である「NIC Teaming」、「iSCSI Target」について取り上げていきます。
「Server Manager」
Windows Server 8ではサーバーマネージャーが一新されました。Windows Server 2008では個別にサーバーに接続し管理していましたが、これからは複数のサーバーを登録し管理が行えるようになります。
リモートによる役割・機能の追加・削除も可能です。ただしWinRMでTrustedHostsの設定やファイヤウォールの設定が必要です。
サーバーマネージャーにはDASHBOARDが用意されており、登録したサーバー、役割別の「manageability」「event」「service」「performance alerts」「BPA results」の状態が表示されます。また各項目にAlertの表示設定を行うことができます。
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上の画面は「service」のAlert表示画面です。ここでは、全ての登録サーバーにおいて、スタートアップの種類が自動のPrint Spoolerサービスが停止した場合にAlertを表示する設定になっています。
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サーバーマネージャーで複数のサーバーを一括に管理でき、Alertによる監視が行えるようになりました。管理対象がWindows Server 8であれば、サーバーマネージャーだけで十分だと感じました。ただ、管理台数が多くなると表示がもたつく場面があったため、どうやら原因はネットワーク経由で情報を収集するためだと考えられます。