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プロセスを駆動する - メンタルモデル

2012年3月14日(水)
野島 勇土屋 正人

時間が足りない

前回で保留していた「時間が足りない」という課題について考えてみます。

時間が足りないときには、仕事が増え続けているのではないでしょうか。状況を見てみると、忙しくしている人がいるかと思えば、仕事がないという人がいます。仕事への集中力が落ちて、失敗を繰り返し、そのフォローのための仕事が増えているということもあります。失敗しないための手続きを増やし、それがさらに仕事を増やします。それら手続きが出来上がった背景を知らない人から見れば、無駄な仕事です。意味を理解することなく形式的に行います。それが、さらに仕事を増やします。雪だるま式に仕事が増えます。

図1:仕事量が増える仕組み

図1は因果ループ図という形式で先ほどの状況を説明しています。矢印にはS(Same、同)とO(Opposite、逆)が書かれています。「仕事量」「心の平穏」などは変数です。読み方は、「仕事量」が増えれば「心の平穏」は減る(増える「仕事量」に対して「心の平穏」は逆(Opposite)に減る)となります。また、「ミスしないための仕組み」が増えれば、「作業・伝達ミス」は減るが、「仕事量」は増えると読みます。

図1を読み解くと次のようになります。ミスしないための仕組みは作業・伝達ミスを減らしますが、仕事量を増やします。仕事量が増えるに従い心の平穏、言い換えれば心の余裕がなくなり、よい仕事をすることへの集中力が減り、ちょっとした作業ミスやよい仕事とは言えないようなことをし始めます。作業ミスが増えれば、弁護、説明、修正、リカバーするための仕事を行うことになり、仕事量は増えます。これがさらに心の平穏をなくします。悪循環です。

また、心の平穏がなくなるに従って、他者への配慮が減っていきます。配慮が足りないことで伝達ミスが起こりやすくなります。伝達ミスが増えれば、認識のずれを修正するための仕事が増えます。同時に、伝達ミスをしないための仕組み(例えば、文書化)の仕事が増えます。仕事が増えることで心の平穏はなくなっていきます。ここにも悪循環があります。

悪循環を断ち切るには、どうすればよいのでしょう?例えば、2つの方法があります。1つは、仕事量が増えても心の平穏を失わないようになること。心理学や宗教の教えなどが参考になります。宗教は盲信に走る傾向があり軋轢が生まれることはありますが、日々の生活に役立つ教えが多く含まれています。もう1つは、仕事量とミスしないための仕組みとのバランスを取ることです。仕組みが役に立っていないのであれば潔く変えることが必要です。変える、変えないを判断するためにも見える化によって状況を理解できるようにすることが役に立ちます。

因果の全体を把握することで、部分の変化が全体に及ぼす影響を見て取ることができます。図1は一例ですので、日々の仕事や生活のなかで何が起こっているのかを因果ループ図で描いてみてはいかがでしょうか。

株式会社SRA

(株)SRA コンサルティンググループ所属。米国スリーインワン・コンセプツ社の提唱するストレスマネジメント手法を実践する同社認定のコンサルタント・ファシリテータ。人間の心に興味を持ち、脳科学、心理学、仏教などを学ぶ日々。個人と組織の力を引き出すために、ファシリテーションを社内外に展開中。

株式会社SRA

産業開発統括本部 製造・組込システム部 コンサルティンググループ オブジェクトモデリングスペシャリスト
1956年生まれ。コンピュータメーカを経て1982年にSRAに入社。
最初の10年は、プラント制御やデバイスドライバ等のリアルタイムシステム開発に従事。次の10年は、Webアプリケーション等のビジネスアプリケーション開発に従事。この間に習得した様々な分析設計手法を活かして、次の10年は、開発プロセスのコンサルテーションを担当中。趣味はクラシック音楽とギター、本格ミステリ、仏教(宗教としてではなく哲学・心理学として面白い)。

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