はじめての開発プロセス 7

プロセスを駆動する - メンタルモデル

プロセスは流れ7回にわたってお届けしてきた「はじめての開発プロセス」も今回で最終回です。最後はプロセスを駆動させるためのメンタルモデルについて考えてみたいと思います。プロセスは仕事の流れであり、人の動きです。チームワークを効率的に行うために、プロセス定義によって個々人のつくりだす流れを、大きな流れ

野島 勇, 土屋 正人

2012年3月14日 20:00

プロセスは流れ

7回にわたってお届けしてきた「はじめての開発プロセス」も今回で最終回です。最後はプロセスを駆動させるためのメンタルモデルについて考えてみたいと思います。

プロセスは仕事の流れであり、人の動きです。チームワークを効率的に行うために、プロセス定義によって個々人のつくりだす流れを、大きな流れへと集約します。小さな川の流れが、大きな川の流れへと合流するようなものです。

そして、個々人の仕事の流れが他者の流れと交わるときに混乱が生まれます。「意見が合わない」「足並みが揃わない」「何を目指しているか分からない」「何のために今この仕事をしているのか分からない」といったものです。

その混乱から、「時間が足りないという焦り」「今の状況から抜けられないという諦め」「こんな状況を作った人々へのいら立ち」が生まれます。人それぞれに積み重ねてきた経験、獲得した知識、趣味趣向は異なるものであり、それらに基づく判断の結果は異なります。互いを理解し合うことは困難であり、混乱し、衝突が起こります。

混乱し、衝突が起こったときに立ち往生していると流れが滞ります。チームが組織として機能するようになるまでの段階を描いたタックマンモデルという、心理学者のタックマンが唱(とな)えたモデルがあります。タックマンモデルによると、チームは次のような段階を経て組織として機能すると言います。

1. Forming(形成期)
チームが形成されつつある時期。メンバーは互いのことをよく知らない。チームの目指す方向を模索している状態。
2. Storming(混乱期)
メンバーの考えや価値観が顕(あら)わになり混乱する時期。意見の対立や衝突が起こりやすい。
3. Norming(統一期)
互いの考えを受容し、チームとして統一された目的や価値観が形成されていく時期。役割分担や行動規範が生まれる。
4. Performing(機能期)
チームが結束して目的の達成に向けて機能する時期。チームに結束力と一体感が生まれる。

チームができるまでには混乱がつきものです。異なる色を混ぜたとき、まだら模様になるようなものだと考えればよいでしょう。混乱し、まだら模様になっている不確かな状態では不快感を伴うことが多いようです。「ようです」と書いたのは個人差があるためです。混乱は新しい色が生まれる前触れだと思えば楽しくもあります。混乱を避けているとチームのパフォーマンスは向上せず、時間だけが流れていきます。

メンタルモデル

混乱すら楽しむ人がいるかと思えば、混乱は何としても避けたいと思う人もいます。この違いは何でしょう?違いにはメンタルモデルが関わっていると考えられています。メンタルモデルとは思考の型、枠組みであり、物のとらえ方や見方、考え方とも言え、行動や自己表現に影響を与えるものです。目に見えず、他者と確認しあうことができないものであり、言葉で表すことが難しいものです。しかし、最近はメンタルモデルに関連する書籍が多く出版されており、話題として耳にする機会があるのではないでしょうか。

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