ミニ四駆の遠隔操作を実現しよう!- プロトタイプ編

2013年3月22日(金)
藤原 敬弘

プロトタイプ(3) コマンド送信のBluetooth化

続いて、USB経由で送信していたコマンドをBluetooth経由で送信できるように変更します。行うことは基本的に、「Arduinoを始めよう!(3)Bluetooth編」と同様です。第5回の内容を覚えていれば、簡単にコマンド送信をBluetooth化できるはずです。

プログラムの変更点は、シリアル通信の転送速度の1箇所のみです。

001/**
002 * ピンの定義
003 *
004 * signal1とsignal2で使用するピンに名前を付ける。
005 */
006 const int SIGNAL1_1 = 12;
007 const int SIGNAL1_2 = 13;
008 const int SIGNAL2_1 = 10;
009 const int SIGNAL2_2 = 11;
010 
011/**
012 * 転送速度の定義
013 */
014 const int SERIAL_TRANS = 115200;
015 
016/**
017 * setup関数
018 *
019 * シリアル通信を使うため、初期化する。
020 * モーターの制御に使用するピンをOUTPUTに指定する。
021 */
022 void setup() {
023   Serial.begin(SERIAL_TRANS);
024   pinMode(SIGNAL2_1, OUTPUT);
025   pinMode(SIGNAL2_1, OUTPUT);
026   pinMode(SIGNAL1_1, OUTPUT);
027   pinMode(SIGNAL1_2, OUTPUT);
028 }
029 
030/**
031 * signal1関数
032 *
033 * モーターの制御をわかりやすくするため、シグナル関数を用意する。
034 * signal1関数とsignal2関数を使って、モーターの正転、逆転、停止を制御する。
035 *
036 * signal1関数とsignal2関数に同時に1を渡すと、FETモジュールが壊れるので注意する。
037 */
038 void signal1(int value) {
039   switch (value) {
040     case 0:
041       digitalWrite(SIGNAL1_1, HIGH);
042       digitalWrite(SIGNAL1_2, LOW);
043       break;
044     case 1:
045       digitalWrite(SIGNAL1_1, LOW);
046       digitalWrite(SIGNAL1_2, HIGH);
047       break;
048   }
049 }
050 
051/**
052 * signal2関数
053 *
054 * モーターの制御をわかりやすくするため、シグナル関数を用意する。
055 * signal1関数とsignal2関数を使って、モーターの正転、逆転、停止を制御する。
056 *
057 * signal1関数とsignal2関数に同時に1を渡すと、FETモジュールが壊れるので注意する。
058 */
059 void signal2(int value) {
060   switch (value) {
061     case 0:
062       digitalWrite(SIGNAL2_1, HIGH);
063       digitalWrite(SIGNAL2_2, LOW);
064       break;
065     case 1:
066       digitalWrite(SIGNAL2_1, LOW);
067       digitalWrite(SIGNAL2_2, HIGH);
068       break;
069   }
070 }
071 
072/**
073 * stop関数
074 *
075 * 停止コマンドが来た場合のステータスの変更を行う。
076 */
077 void stop() {
078   signal1(0);
079   signal2(0);
080 }
081 
082/**
083 * forward関数
084 *
085 * 前進コマンドが来た場合のステータスの変更を行う。
086 */
087 void forward() {
088   signal1(1);
089   signal2(0);
090 }
091 
092/**
093 * back関数
094 *
095 * 後退コマンドが来た場合のステータスの変更を行う。
096 */
097 void back() {
098   signal1(0);
099   signal2(1);
100 }
101 
102/**
103 * loop関数
104 *
105 * コマンドを受け取り、forward / back / stop のいずれかの適切な関数を呼ぶ。
106 */
107 void loop() {
108   if (Serial.available() > 0) {
109     char c = Serial.read();
110     if (c == 'f') {
111       forward();
112     } else if (c == 'b') {
113       back();
114     } else if (c == 's') {
115       stop();
116     }
117   }
118 }

この変更を加えたら、プログラムを転送します。その後、一度USBケーブルを抜き、BluetoothモジュールとArduino UNOのRXとTXをつなぎます。USBケーブルを抜く前に、DCアダプタをArduinoに指しておいてください。

(左)コマンド送信をBluetooth化するための回路図(右)実際の配線イメージ(クリックで拡大)

回路が完成したら、リセットボタンを押します。リセットボタンを押すことで、プログラムが初期化されます。

Arduinoを始めよう!(2)モーター制御編」を参考に、BluetoothとArduinoを接続します。このプロトタイプは、ターミナルからコマンドを送信し、モーターが期待通りに回れば、正常に動いています。コマンドとモーターの挙動は、プロトタイプ(2)と同様です。

これで、ミニ四駆のプロトタイプが完成しました。ミニ四駆を一度も触っていませんが、電源周りを少し変更し、これらをうまくミニ四駆に搭載すれば、Bluetoothでミニ四駆が制御できます。

前回の課題の解答

実は今回のプロトタイプ(3)が課題の模範解答になっています。可能ならばこのプログラムを参考に、自身のプログラムをわかりやすく書き換えてみてください。

今回の課題

[課題] Arduino Pro MiniとArduino UNOの違いを知る

Arduino Pro Miniについて、調べてください。特に、Arduino UNOと異なる点を把握しておいてください。

おわりに

今回はArduinoで電子工作する場合に良く行う、プロトタイプの作り方を紹介しました。

ArduinoはAndroidやiPhoneなどのアプリケーションと比べてやれることが少ないため、プログラムも必然的に短くなります。しかし、プログラムの他に回路を含めて、デバッグする必要があるため、バグが発生した場合に、特定するのが困難です。

そこで、段階を踏んでプロトタイプを組んでいく必要があります。この工程を踏むことで、バグの原因の特定が容易になります。Arduinoを使った開発に慣れるまでは、一つずつできることを増やしていってください。

次回は、Arduino UNOをArduino Pro Miniに置き換えます。さらに、DCアダプタを切り離し、電池で単独駆動するところまでを目指します。これができてしまえば、ミニ四駆に載せるのはさほど難しくありません。夢のミニ四駆を一緒に作っていきましょう。

【参考リンク】

FULLER株式会社

1986年生まれ。北海道苫小牧市出身。苫小牧工業高等専門学校卒業。
Fuller, Inc. CTO
Webプログラマ、よく利用する言語はPython。Pythonコミュニティによく出没する。
趣味でArduinoやRaspberry Piなどを使って、便利なものを自作する。

twitter: @wutali / github: https://github.com/wutali

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