VPSサービスが提供する多くの機能の中で、最低限押さえておきたいチェックポイントとは
VPSの基本機能
前回は、VPSの基礎知識について専用サーバーや共用サーバーとの比較を中心に解説しました。今回は、VPSサービスが提供する多様な機能のうち最も基本的な機能について解説していきます。
VPSサービスでは、一般的に基本機能として主に下記の3つのリソース/機能を提供しています。
- 仮想サーバーリソース
- ネットワークリソース
- VPS管理機能
1. 仮想サーバーリソース
VPSのスペックは、物理サーバーと同様にメモリ、ディスク、CPUの3つのリソースによってほぼ決まります。VPSの契約者にとっては最もカスタマイズできるところでもあり、またその選択によって費用も大きく変動する部分でもあります。多くのVPSサービスでは契約中のリソース変更はできないことが一般的ですので、事前に必要なリソースの見積もりを立てておくことは、VPSを効果的に活用する上で重要になります。
ここでは、この3つのリソースについて見積もりする上での留意点について解説していきます。
1-1. メモリ
仮想サーバーのリソースのうち、一番重要な要素はメモリ容量です。特に廉価で提供されているVPSにはメモリ容量が少ないものが多く、OSが起動した後、アプリケーションが利用できるメモリ領域が少ないために処理に非常に時間がかかり実用に耐えない場合があります。
VPS上で動作させるOSやアプリケーションについては、事前にそれらの動作に最低限必要なメモリ容量を確認するだけでなく、手元の環境で実際に動作確認して本番運用時に想定される最大消費メモリ容量について見積もりをしておくようにしましょう。
1-2. ディスク
仮想サーバーのリソースのうち、2番目に重要な要素はディスク容量です。VPSではデータをローカルディスクに配置することを前提としてサービス提供をしていることが現時点では一般的です。
このため、OSやアプリケーションをインストールする領域の他に、データを保存する領域としてもローカルディスクにある程度の容量が必要となります。本番運用を開始してからディスク不足に陥らないように、事前に必要なディスク容量を見積もりしておきましょう。
最近はデータの読み書き速度の大幅な向上が期待できるSSD(Solid State Drive)を提供する業者も増えてきています。HDDに比べて高額になることが多いですが、大量のデータを高速で読み書きする場合には選択肢として検討する価値が十分にあるでしょう。
1-3. CPU
仮想サーバーのリソースのうち、メモリ容量とディスク容量は他のシステムでの実績や検証環境での確認である程度見積もりが可能ですが、CPUについてはその単位となっている「仮想コア」のパフォーマンスがVPSサービスによって異なるため、同一VPSサービス内での比較においては一定の指標になるものの、異なるVPSサービスの間での比較においてはあまり参考にならないのが現状です。
CPUのパフォーマンスがどうしても気になる場合は、実際に利用を開始した後にベンチマークツールなどで確認する必要があります。
表1:仮想サーバーの種類と事前の確認ポイント
リソースの種類 | 参考数値 | 事前の確認ポイント |
---|---|---|
メモリ | 一般的に 1-12GB | OS/アプリケーションの動作に必要な量を見積っておく |
ディスク | 一般的に 100-800GB | OS/アプリケーションの動作に必要な量を見積っておく |
CPU | 一般的に 2-6仮想コア | 特になし(可能であれば実機とベンチマークを比較する) |
契約するVPSのスペックの決め方
VPSの利用が全く初めての場合は、最初は動かしたいOSとアプリケーションのメモリ要件を最低限満たす一番スペックの低いものを短期契約して、VPSがどんなものか慣れてみることをおすすめします。そして、そのVPS上で小さなシステムを実際に動かして、慣れてきたらディスク容量やCPUの見積もりをきっちりと取った上で新たなVPSを契約し、より大きなシステムを動かしてみるようにしましょう。