気になるRHEL7のリリースとCentOSへの参画について米レッドハット担当者が語る
レッドハットはRed Hat Enterprise Linuxに関する説明会を2月6日に開催した。米国本社より来日した、プラットフォームプロダクト担当シニアディレクターであるMark Coggin氏が当日のスピーカーとして登壇した。
技術革新を牽引していくOSS
Coggin氏は、まず今年の4月でRed Hat Enterprise Linux2.1の発表から12年を迎えることから口火を切り、同社の長きにわたる技術革新の歩みと、RHEL7の正式リリースを控えた節目の年であることを紹介した。今日の技術革新のキーはクラウドと位置づけ、クラウドとOSSがさらなる革新を推進し、クラウド基盤を構築する「OpenStack(Grizzly)」に於いて、同社の貢献度が高いことを強調。他にも1,000を超えるOSSプロジェクトにも参加し、人的資産を含む多くの労力を投下することで、確実に市場に反映できるフローを確立している。
FedoraとRHELの位置づけ
同社はFedoraを最も先進的なプロジェクトと位置づけており、コミュニティでレッドハット社員が日夜評価を行うことで大きく貢献している。ただし、Fedoraは開発のスピードは速いものの、イノベーションに重点を置くため、安定性の面では不十分な部分もあり、ここでRHELの安定性を強調した。
しかし、RHELの使用にはサブスクリプションによるコストが掛かるため、簡単には扱えないことも認識しており、市場からの声に対しては、sandboxの投入、評価を行うことで補完している。JBossなどでもこのモデルを転用して発展させていく意向を示した。
RHEL7リリース時期について
RHEL7については「オープンハイブリッドクラウドへの進化を実現し、UNIXからの乖離を推進する」とコメントする反面「Windowsとの連携運用にも適している」とし、あらゆる状況のユーザーが広くイノベーションを享受できるものであると語る。注目される正式リリースの時期ついては「今年度下旬」と言及するにとどまった。同社の決算月が2月であることから推察すれば、2015年2月までの幅を持ったコメントだと思われる。
CentOSプロジェクトへの参加について
レッドハット社は今年1月にCentOSプロジェクトに参画することを発表している。今回の会見でもその意図が注目されたが、「レッドハットは既にオペレーションに関するイノベーションではFedoraを持っている。最も上流に位置するのがFedoraであり、そして安定性を高めて生まれたのがRHELである。そしてRHELのソースコードを元に産み出されたのがCentOSであり(ベースディストリビューションはRHEL)下流にあるCentOSがRHELに影響を与えることはない。」とそれぞれの位置づけについて説明した。
プロジェクト参画の経緯としては、「OpenStackプロジェクトへの注力の一環」とし、今まで通りこれからもそれぞれのOSの独自性は保たれるということだった。その理由についてCoggin氏は、「CentOSはRHELと同等のものとして市場から支持されているが、レッドハット独自の分析ではCentOSは違うビルドシステム、テストプロセスがあるので別のものとして扱うのがベストと判断した」と述べている。レッドハットではバグフィックスも含めたサポートは行わない方針だ。
CentOSプロジェクトにどの程度関与するのかという点については、「財務的支援だけで無くコミュニティに支援・関与すると言うことは、複雑な問題もある。その際にはレッドハットがコミュニティにおいて支配的(強力)で無いように気をつけなければならない」と、コミュニティへの敬意を示した。サブスクリプション契約無しで利用できる(サポートは無し)CentOSの特徴はそのまま引き継がれるとのことなので、安心して良いと言える。
いずれにしても、ユーザーにとっても同社の参加によってもたらされるメリットの方が多いと考えられるし、歓迎すべき状況と見て良いだろう。今後の動向に注目したい。
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