[実践編] MaaSとJujuによるOSS配備、Ubuntu Serverの運用・管理(前編)
管理対象サーバーをMaaSサーバーに登録する
管理対象サーバーをMaaSサーバーへ登録するには、PXEブートを利用しますが、管理対象サーバーの起動デバイスの優先順位を設定する必要があります。MaaSサーバーの環境では、管理対象サーバーの第1起動デバイスにNICを設定します。このブート順序は、管理対象サーバーにUbuntu Serverをインストールした後も変更しません。MaaS環境では、OSインストール後も、PXEブートで一旦起動させた後、ローカルのHDDでOSを起動する仕組みになっているためです。BIOSでブート順序の設定が終わったら、管理対象サーバーの電源を投入します。MaaSサーバーが適切に設定されていれば、管理対象サーバーがPXEブートし、ブートイメージが転送され、MaaSサーバーに管理対象サーバーが登録されるはずです。管理対象サーバーがMaaSサーバーに登録されているかどうかは、MaaSの管理画面にある「Nodes」をクリックします。管理対象サーバーが登録されると、FQDNが自動的に割り当てられ、MACアドレスとStatusが表示されます。
管理対象サーバーの遠隔管理チップの設定
MaaS環境では、管理対象サーバーの電源管理設定が必要になります。これは、後述するOSSオーケストレーションを行うJujuを使ったOSSの自動配備を行う際に、サーバーの電源投入を自動的に行う必要があるためです。管理対象サーバーの電源管理設定は、MaaSのWebインタフェースから登録済みの管理対象サーバーをクリックし、「Edit node」をクリックします。管理対象サーバーがHP ProLiantサーバーの場合、図10のように、「Power type」のプルダウンメニューから「IPMI」を選択します。「Power parameters」枠の「LAN_2_0(IPMI 2.0)」を選択し、遠隔管理チップiLO4のIPアドレス、iLO4の管理者アカウント、パスワードを入力し、「Save node」をクリックすれば完了です。
管理対象サーバーにUbuntu Serverを自動配備する
管理対象サーバーの初期登録時は、MaaSのWeb画面で「Status」が「Declared」になっています。この段階は、まだ管理対象サーバーにUbuntu Serverがインストールされているわけではありません。Ubuntu Serverを管理対象サーバーに配備するため、管理対象サーバーのステータスを変更する必要があります。管理対象サーバーのステータスを変更するには、管理対象サーバーのFQDNをクリックし、「Actions」欄にある「Commssion node」をクリックします。MaaSのWeb画面にてIPMIによる管理対象サーバーの電源管理が正しく設定されていれば、管理対象サーバーの電源が自動的に投入されPXEブートが開始します。
管理対象サーバーのコミッショニングが完了すると、管理対象サーバーが自動的にシャットダウンされます。MaaSのWeb画面上の「Nodes」をクリックし、管理対象サーバーの「Status」が「Ready」になっているかを確認してください。管理対象サーバーのFQDNをクリックし、再び状態を確認すると、「Actions」の所に「Start node」が表示されているはずです。「Start node」をクリックし、管理対象サーバーを再びPXEブートさせるとUbuntu Serverの自動インストールが開始されます。
[注意]
管理対象サーバーのPXEブート後、Ubuntu Serverの自動インストールが行われるまでしばらく時間がかかります。
Ubuntu Serverを自動インストールするMaaSサーバーの構築と管理対象サーバーの基本的な設定についてご紹介しました。スケールアウト型システムやOSSクラウド基盤においては、自動インストールサーバーの配備が必要になります。本連載で記載した手順で、Ubuntu Serverのベアメタル配備の自動化を是非体感してみてください。
<後編に続きます。>
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- [実践編] MaaSとJujuによるOSS配備、Ubuntu Serverの運用・管理(後編)
- IPアドレスを管理する「DHCPサーバ」と通信の橋渡し「NATルータ」
- IPアドレスを管理する「DHCPサーバ」と通信の橋渡し「NATルータ」
- [実践編] Ubuntu Serverをスケールアウト型サーバーに配備する(前編)
- [実践編] Ubuntu Serverをスケールアウト型サーバーに配備する(後編)
- [実践編] Ubuntu Serverの運用・管理、商用製品の利用メリットと今後の展望(前編)
- [入門編] RHELユーザーが知っておきたい、Ubuntu Serverとのコマンド・サービスの違い
- Ubuntuサーバの管理
- インストールとNICの設定
- Windows Azure仮想マシンでLinuxサーバーを構築しよう