[実践編] MaaSとJujuによるOSS配備、Ubuntu Serverの運用・管理(前編)

2014年3月25日(火)
古賀 政純

管理対象サーバーをMaaSサーバーに登録する

管理対象サーバーをMaaSサーバーへ登録するには、PXEブートを利用しますが、管理対象サーバーの起動デバイスの優先順位を設定する必要があります。MaaSサーバーの環境では、管理対象サーバーの第1起動デバイスにNICを設定します。このブート順序は、管理対象サーバーにUbuntu Serverをインストールした後も変更しません。MaaS環境では、OSインストール後も、PXEブートで一旦起動させた後、ローカルのHDDでOSを起動する仕組みになっているためです。BIOSでブート順序の設定が終わったら、管理対象サーバーの電源を投入します。MaaSサーバーが適切に設定されていれば、管理対象サーバーがPXEブートし、ブートイメージが転送され、MaaSサーバーに管理対象サーバーが登録されるはずです。管理対象サーバーがMaaSサーバーに登録されているかどうかは、MaaSの管理画面にある「Nodes」をクリックします。管理対象サーバーが登録されると、FQDNが自動的に割り当てられ、MACアドレスとStatusが表示されます。

図9:MaaSサーバーに管理対象サーバーが登録された様子(クリックで拡大)

管理対象サーバーの遠隔管理チップの設定

MaaS環境では、管理対象サーバーの電源管理設定が必要になります。これは、後述するOSSオーケストレーションを行うJujuを使ったOSSの自動配備を行う際に、サーバーの電源投入を自動的に行う必要があるためです。管理対象サーバーの電源管理設定は、MaaSのWebインタフェースから登録済みの管理対象サーバーをクリックし、「Edit node」をクリックします。管理対象サーバーがHP ProLiantサーバーの場合、図10のように、「Power type」のプルダウンメニューから「IPMI」を選択します。「Power parameters」枠の「LAN_2_0(IPMI 2.0)」を選択し、遠隔管理チップiLO4のIPアドレス、iLO4の管理者アカウント、パスワードを入力し、「Save node」をクリックすれば完了です。

図10:MaaSでは、HP ProLiantサーバーやHP Moonshotサーバーの電源管理が可能。JujuによるOSおよびOSS配備の際の電源投入に必要(クリックで拡大)

管理対象サーバーにUbuntu Serverを自動配備する

管理対象サーバーの初期登録時は、MaaSのWeb画面で「Status」が「Declared」になっています。この段階は、まだ管理対象サーバーにUbuntu Serverがインストールされているわけではありません。Ubuntu Serverを管理対象サーバーに配備するため、管理対象サーバーのステータスを変更する必要があります。管理対象サーバーのステータスを変更するには、管理対象サーバーのFQDNをクリックし、「Actions」欄にある「Commssion node」をクリックします。MaaSのWeb画面にてIPMIによる管理対象サーバーの電源管理が正しく設定されていれば、管理対象サーバーの電源が自動的に投入されPXEブートが開始します。

図11:管理対象サーバーにOSを自動インストールするため、管理対象ノードの「Commission node」をクリックする(クリックで拡大)
図12:IPMIにより管理対象サーバーの電源が投入され、コミッショニングを開始する。これによりOSのインストールの準備が整う(クリックで拡大)

管理対象サーバーのコミッショニングが完了すると、管理対象サーバーが自動的にシャットダウンされます。MaaSのWeb画面上の「Nodes」をクリックし、管理対象サーバーの「Status」が「Ready」になっているかを確認してください。管理対象サーバーのFQDNをクリックし、再び状態を確認すると、「Actions」の所に「Start node」が表示されているはずです。「Start node」をクリックし、管理対象サーバーを再びPXEブートさせるとUbuntu Serverの自動インストールが開始されます。

[注意]
管理対象サーバーのPXEブート後、Ubuntu Serverの自動インストールが行われるまでしばらく時間がかかります。

図13:「Start node」をクリックすると、管理対象サーバーがPXEブートし、Ubuntu Serverの自動インストールが行われる(クリックで拡大)

Ubuntu Serverを自動インストールするMaaSサーバーの構築と管理対象サーバーの基本的な設定についてご紹介しました。スケールアウト型システムやOSSクラウド基盤においては、自動インストールサーバーの配備が必要になります。本連載で記載した手順で、Ubuntu Serverのベアメタル配備の自動化を是非体感してみてください。

<後編に続きます。>

日本ヒューレット・パッカード株式会社 プリセールス統括本部 ソリューションセンター OSS・Linux担当 シニアITスペシャリスト

兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師を担当。科学技術計算サーバーのSI経験も持つ。2005年、大手製造業向けLinuxサーバー提案で日本HP社長賞受賞。2006年、米国HPからLinux技術の伝道師に与えられる「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。日本HPプリセールスMVPを4度受賞。現在は、Linux、FreeBSD、Hadoop等のOSSを駆使したスケールアウト型サーバー基盤のプリセールスSE、技術検証、技術文書執筆を担当。日本HPのオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストとして講演活動も行っている。Red Hat Certified Engineer、Red Hat Certified Virtualization Administrator、Novell Certified Linux Professional、EXIN Cloud Computing Foundation Certificate、HP Accredited Systems Engineer Cloud Architect、Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack、Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoop認定技術者。HP公式ブログ執筆者。趣味はレーシングカートとビリヤード

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