低コストで可用性を確保するシングルサーバーの障害復旧サービス
SSPの導入方法
それでは実際にSSPを導入する方法を見ていこう。SSPのインストールは簡単である。SSPの製品メディアをマウント後、setupスクリプトを実行して、対話形式のメニューでy/nを選択していくだけである。対話形式のメニューを抜ければ、その時点でインストールは完了する。RHEL6.5のプラットフォームを例にあげて説明する。RHELの他のバージョンやSUSE、OELなど他のディストリビューションでも基本的な流れは同じだ。setupスクリプトを実行すると、対話形式のメニューが表示される。
インストールを完了するには、初期値のyを選択すれば良い。setupスクリプトの後半にライセンス適用を実行するか尋ねられるが、インストールが終わった後に、ライセンス適用をすればよい。ライセンス適用のステップを抜けた後は、各アプリケーションに応じたARK(Application Recovery Kit)を選択できるメニューが表示されるので、必要なARKを選択し、インストールすれば、SSPのインストールは完了する。SSPには各アプリケーションをSSPの監視対象にするためのテンプレートが用意されており、このテンプレートのことをARKと呼ぶ。
図3は対応しているARKの一覧である。一覧を見れば理解いただけると思うが、主要なアプリケーションのARKは用意されている。データベースであれば、Oracle、MySQL、PostgreSQL、DB2、メールであれば、Postfixといった具合である。なお、ARKが提供されていない任意のアプリケーションをSSPの監視対象にすることも可能だ。任意のアプリケーションを監視対象にするためには、Generic Application Recovery Kit(以降、Generic ARK)を利用すれば良い。例えば、SSPではウェブサーバー用のリカバリキットは、ARKで用意されているが、Apacheではなく、nginxの商用製品のNGINX Plusを使うことが顧客要件に含まれていたとする。SSPにApache ARKはあるが、nginx ARKといったものはない。ARKが提供されていないアプリケーションをSSPで監視対象にする要件が出た場合は、Generic ARKを使えば解決できる。
NGINX PlusをGeneric ARKによってSSP上で動作させるには
SSPは起動、停止、監視、回復の4つの動作で構成されている。Generic ARKを使う場合、これらの4つの動作を行うスクリプトを準備すれば良い。
スクリプトを用意するときに守るべきことは比較的単純である。1つはスクリプトに実行権を与えることだ。もう1つはスクリプトの実行後の戻り値が、最終的に0か1を返す実装になっていることだ。実際には他にも考慮した方が良い点はあるが、SSPで任意のアプリケーションを動作させるという要件は先ほど挙げた2つを守れば満たせる。Generic ARK用のスクリプトについてさらに理解を深めたい場合には、弊社サイオステクノロジーのWebサイトにGeneric ARK開発ガイドを掲載しているので、参考にして欲しい。
NGINX Plus(以降、NGINX+)を動作させるためのGeneric ARK用のスクリプトが準備できたと仮定し、話を進める。スクリプトさえ用意してしまえば、SSP上でGeneric ARK用のウィザードを起動して、ウィザードの説明に従い、SSP上にスクリプトを登録するだけだ。
スクリプトの登録が完了すると、サーバーのアイコンの下にオブジェクトが表示される。SSPではこのオブジェクトをリソースと呼ぶ。例ではTAG名をNGINX_PLUSとするリソースを作成した。
リソース登録した後、リソースの実体となっているNGINX_PLUSのプロセス障害や、サービス障害を意図的に起こせば、SSPの処理によって回復動作や、サーバーの再起動が行われることが確認できる。SSPにはポリシーマネージャー(以下、PM)と呼ばれるサービス障害時の動作を柔軟に行うツールが用意されている。PMを使用すればサービスのヘルスチェックの無効化や、サービスの回復動作の無効化が簡単に行える。
今回、ポイントを絞ってSSPを説明した。SSPは物理環境、仮想化環境のどちらにも柔軟に適用できるので、本記事を読んでSSPに興味を持ってくれた方は、まずはSSPの評価版を使って実際に機能に触れてみて欲しい。弊社のWebページで申し込みを行なっていただければ、どなたでも評価版を入手可能だ。
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