Unityの環境構築と操作ガイド(前編)

2014年10月23日(木)
薬師寺 国安

前回の連載「速攻攻略 Kinect v2 プログラミング入門」では、第5回第6回で、Kinect v2とUnityを連携させる方法について解説しました。本連載では、ゲーム開発エンジンであるUnityの環境構築から簡単なゲーム開発まで全6回にわたって解説していきます。

【連載目次】

  • 第1回:Unityの環境構築と操作ガイド(前編)
  • 第2回:Unityの環境構築と操作ガイド(後編)
  • 第3回:Unityちゃんを動かしてみる
  • 第4回:Unityちゃんの障害物ゲームを作る
  • 第5回:Unityちゃんの爆破ゲーム作る
  • 第6回:マシンガンの連射ゲームを作る

※タイトルは変更する場合があります。

Unityとは

今やUnityはゲーム業界においては、その名前を知らないものはいないほどの存在となりました。これほど注目されているUnityとは、一体何なのでしょうか? Unityは「ゲームを作るためのゲームエンジン」です。かつて、ゲームエンジンを始めとする開発ツールは、各社が独自に開発・所有するもので、広く知られることはありませんでした。その後、ゲーム開発会社向けにゲームエンジンが販売されることもありましたが、個人では手の出せない高額なものでした。そんな中、Unityは本格的な「ゲームエンジン」を無料で提供したのです。Unityはマルチプラットフォームな開発エンジンであり、開発者はOSごとの仕様の違いを意識することなく、ゲーム開発に専念できるようになったのです。推定ですが、日本国内ではおそらく10万人以上の利用者がいると思われます。

Unity4のインストール

Unityの現行バージョンである「Unity4」は、下記のサイトよりダウンロードできます。
Unity - ダウンロード
原稿執筆時点での、最新バージョンは「Unity 4.5.4」です(図1)。Unityは頻繁にバージョンアップされるため、この原稿が公開されるころには、またバージョンが上がっていることが考えられます。その点はご了承下さい。

図1: 「Download Unity 4.5.4」をクリックする(クリックで拡大)

任意のフォルダ—にダウンロードした「UnitySetup-4.5.4.exe」をダブルクリックすると、インストールが開始されます(図2)。

図2: Unity 4.5.4のインストールが開始される(クリックで拡大)

表示される手順に従って、インストールしてください。インストールの途中で「.NET Framework3.5」のインストールを促される場合があります。その場合は、「この機能をダウンロードしてインストール」を選択してください。

インストールが完了すると、「Activate your Unity License」の画面が表示されます(図3)。

図3: 「Activate your Unity License」の画面が表示される(クリックで拡大)

「Activate the free Version of Unity」にチェックを入れて「OK」ボタンをクリックします。「Activate a free 30-day trial of Unity Pro」にチェックを入れても問題はありません。試用期間の30日が過ぎると、自動的にフリー版に切り替わります。今回はフリー版のUnityを前提としているため、ここでは最初からフリー版を選択します。

Unityのプロ版とフリー版の見た目の差は、背景の色です。プロ版では画面の背景が「黒」ですが、フリー版では「グレー」になります。プロ版とフリー版の機能面での違いについては、下記のサイトを参考にしてください。
[参考]ライセンスのご案内

この後、「Log into your Unity Account」画面が表示されます。初めての場合は、アカウントがありませんので、「Create Account」ボタンをクリックしてください。すると「Create a Unity Account」の画面が表示されるので、「Name」、「E-mail」、「Password」、「Password confirmation」を入力して「OK」ボタンをクリックします。

「メールアドレスにメールを送った」と表示されますので、この時点でメールソフトを起動して確認してください。
届いたメールの「Confirm email」をクリックします。これでアカウントが登録されます。

再度「Log into your Unity Account」の画面で、「E-mail」と「Password」を入力して「OK」ボタンをクリックしてください。その後、各種質問の画面が表示されますが、ここは適当に入力して下さい。入力が終わったら、「Start using Unity」ボタンをクリックします。Windows Vista以降の環境では、「Windows セキュリティの重要な警告」画面が表示されますので、「アクセスを許可する」を選択してください。
これで、Unity4が起動します。

まずは「Project Location」に適当なプロジェクト名を入力して「Create」ボタンをクリックします。ここではプロジェクト名に「UnitySampleTest」と入力して「Create」ボタンをクリックします(図4)。

図4: 「UnitySampleTest」というプロジェクトを作成する(クリックで拡大)

Unity4の新規プロジェクト(UnitySampleTest)の画面が起動します(図5)。

図5: 新規プロジェクトの画面が起動した(クリックで拡大)

Unity4の画面構成

ここでは、Unity4の画面構成とその役割を簡単に解説しておきます。まず、試験的に作っておいたプロジェクトを開いて、画面構成をみていきましょう(図6)。

図6: 画面の部分(ビュー)の名称(クリックで拡大)

  • 1. Hierarchy(ヒエラルキー)ビュー
    Scene内に配置されるゲームオブジェクトが階層構造で表示されます。
  • 2. Scene(シーン)ビュー
    Sゲームの編集画面です。
  • 3. Game(ゲーム)ビュー
    SMain Cameraを通して、ゲームの実行時に表示される画面です。
  • 4. Project(プロジェクト)ビュー
    Sプロジェクト内で使用されるゲームオブジェクトが階層構造で表示されます。
  • 5. Console(コンソール)ビュー
    Sゲーム実行時の警告や、デバッグ内容が表示されます。
  • 6. Inspector(インスペクター)ビュー
    S各ゲームオブジェクトの属性を確認、設定ができます。
  • 7. PLAY(プレイ)ボタン
    Sゲームを実行します。

MonoDevelopとは

「MonoDevelop(モノデベロップ)」とは、Unityをインストールすると自動的にインストールされるエディターで、スクリプトの作成、編集やデバッグに利用します。スクリプトの編集には「Visual Studio 2013」を使用できますが、今回は、原則として標準で付属している、この「MonoDevelop」を使用します(図7)。

図7: MonoDevelopの画面

Scene画面上にモデル(部品)を配置する

Unityには、「モデル」と呼ばれる「部品」が多数用意されています。「Hierarchy」の「Create」をクリックすると、モデル(部品)のリストが表示されます(図8)。

図8: モデル(部品)一覧リストが表示された

では、図8の中から「Cube」、「Sphere」、「Cylinder」、「Plane」を選択してみましょう。「Plane」は、他のモデルを配置する「床」のような役割です。単にこれらを配置しただけでは画面が暗いので、光源となる「Directional Light」も追加しましょう。「Main Camera」や「Directional Light」の位置を調整して、「Camera Preview」に表示されているような見え方にします(図9)。

図9: 「Cube」、「Sphere」、「Cylinder」、「Plane」を配置した(クリックで拡大)

図9の状態から図6の上部にある(7)の「PLAY」ボタンをクリックすると、図10のように表示されます。

図10: 「プレイ画面」で表示させた(クリックで拡大)

図9と図10を見比べるとわかりますが、モデルの位置が反対に表示されています。図9の「Camera Preview」でも反対に表示されています。このように実際の配置とカメラを通して見た配置が異なると、キーボードの矢印キーでモデルを移動させたりする場合、矢印キーとモデルの動きが一致しなくなります。そこで、「Main Camera」の位置を操作して、図9のように表示させてみます。
そのためには、「Main Camera」の「Inspector」内にある「Transform」の値を変更します。表1のように変更します。

表1: Main Cameraの位置

PositionX=1.7Y=1.7Z=5.5
RotationX=0Y=180Z=0
ScaleX=1Y=1Z=1

また、当然光の当たり具合も違ってきますので、「Directional Light」の値を表2のように変更します。

表2: Directional Lightの位置

PositionX=-4.4Y=2Z=1.8
RotationX=36Y=492Z=28
ScaleX=1Y=1Z=1

これらの値は試行錯誤して、決める必要があります。「Main Camera」の位置決めや、「Directional Light」の位置決めについては2回目で詳しく解説する予定です。

このように設定を変更した後に「プレイ画面」で見ると、図11のように表示されます

図11: Scene画面と同じように表示された(クリックで拡大)

このように配置したモデルには、「Material(マテリアル)」を適用して、モデルの表面に色を付けたり画像やテクスチャを貼り付けたりすることができます。方法は大変に簡単なのですが、その手順を知らなければ、どうしていいのかわからないと思います。

次回は、今回紹介したUnityの画面で説明しきれていなかった機能や、「Main Camera」の設定方法、また「Material(マテリアル)」をモデルに適用させる方法など、一歩踏み込んで解説していきたいと思います。

Unityの最大の課題は、機能が豊富すぎるため、その機能の使うための手順を覚えていくことだと思います。Unityの操作手順をマスターするには、何度も繰り返して身体で覚えていくしか方法がありません。

では最後に、今回作った画面を保存しておきましょう。この画面は次回でも使用します。Unityメニューの[File]ー[Save Scene as]と選択して「モデルの配置」という名前で保存しておいてください。

この6回にわたる連載が、皆様のUnityの操作方法習得に役立てることを願っております。

薬師寺国安事務所

薬師寺国安事務所代表。Visual Basic プログラミングと、マイクロソフト系の技術をテーマとした、書籍や記事の執筆を行う。
1950年生まれ。事務系のサラリーマンだった40歳から趣味でプログラミングを始め、1996年より独学でActiveXに取り組む。1997年に薬師寺聖とコラボレーション・ユニット PROJECT KySS を結成。2003年よりフリーになり、PROJECT KySS の活動に本格的に参加、.NETやRIAに関する書籍や記事を多数執筆する傍ら、受託案件のプログラミングも手掛ける。Windows Phoneアプリ開発を経て、現在はWindows ストア アプリを多数公開中

Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。Microsoft MVP for Development Platforms - Windows Phone Development(Oct 2012-Sep 2013)。Microsoft MVP for Development Platforms - Client Development(Oct 2013-Sep 2014)。Microsoft MVP for Development Platforms-Windows Platform Development (Oct 2014-Sep 2015)。

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