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ウェアラブルの未来に関するの5つの予言

2015年8月26日(水)
ReadWrite Japan

ゲスト執筆者のアンドリュー・フッジは運動生理学者であり起業家、ソフト開発者、執筆者であり、モバイルヘルスデータの企業、Validicのプロダクトマネージャである。

人々は長い間、機械と人間が一つになることを夢見てきた。

SF作家、フィリップ.K.ディックはハイテクにより我々の情報処理能力が向上する世界を描いてきた。彼のブレードランナーやマイノリティーレポートなどの映画化されたものを含む彼の著書で、ハードウェアによって超人的な能力が手に入る世の中で、人として生きるとはどういう意味があるのかという事について考察している。

生理学とテクノロジーの融合をファンタジーだと片付けてしまうのは簡単な事だが、話は既にSFの世界の事ではなくなっている。むしろその始まりはウェアラブルがジェットの世界において見受けられる。ウェアラブルの進化はまだまだ初期段階であり、よちよち歩きを始めたようなレベルではあるが、歩数から睡眠、血糖値などをあらゆる事をモニターする為のデバイスは既にごまんとある。

こういったカテゴリーの身につけるデバイスはますます重要なものになっていく。その重要さゆえに、21世紀の生活を決定付けるものになるだろう。以下は、私が後数年のうちにウェアラブルが重大な影響を及ぼすであろうと予測する5つの分野だ。

ウェアラブルの影響

リストバンド、時計その他のストラップで着用するデバイスで我々が触れるものの多くは役立つ形でデータをハンドルできていない。

これらデバイスが抱えている課題は、よりスマートな方法で情報を集め、分析出来るようにならなければならないという点だ。目標はそれだけではない。技術者たちはバッテリーの寿命やデバイス同士の通信、インターフェイス開発など他の重要な点についても留意しなければならない。

やるべき事は山積みだが、それを乗り越えた先にデータに基づいたケア、パーソナライズされたウェアラブル、アクティブコーチング、ジェスチャー主体のインターフェイスに認証機構などが達成されることになる。

データに基づいたケア

どういったものか:組み込みのバイオメトリックセンサーとソフトウェアによって継続的に健康状態がキャプチャ、送信、解析される。これにより、医師や医療チーム、コーチはどこからでも予測に基づいた決定を素早く行うことが出来る

ノースキャロライナ大整形外科部の運動医療学者、Dr.デイビッド・バーコフは次のように説明する。「現在抱えている問題でも大きなものはケアの継続性です。今のところ患者の健康状態については限定的なものしか分かりません。彼らが訪れたその日に得られたデータのみから我々は判断を下さなければいけません」。

継続的なモニタリングと親和性が高いウェアラブルのおかげで、これまで欠けていた部分が埋められることになる。「ウェアラブルによって患者個人の継続的かつ正確なデータを得ることが容易になり、より良い判断を下し、生活習慣を改めたりよりよいパフォーマンスを得るのに役立ちます」。

パーソナライズされたウェアラブル

どういうものか:3D印刷技術をつかってセンサーを内蔵した衣料品や医療デバイス。高度にカスタマイズすることが出来る。

ナイキは自社の優れたナノテクノロジーを使ってウェアーにセンサーを組み込んでいるとの事だ。そして個人が3DプリンターでスマートTシャツを作れるようになる日も遠いことではない。アスリートとコーチはオーバーワークかアンダーワークか、脱水状態か、負荷が高すぎないかなどといったことをよりよく知ることが出来るようになる。ナイキなどの企業にとっても、生産や物流マネジメントのコスト削減に役立つことだろう。

センサーを組み込む為の3D印刷技術は医療デバイス業界に影響を及ぼす。MayoClinicは既に代替関節を作りだした。彼らは患者の身体機能のモニタリング精度やパーツの寿命の向上のための方法を模索している。

アクティブコーチング

どういうものか:パフォーマンス計測のためのセンサーが組み込まれたハードウェアおよび衣料品。データを分析し、パフォーマンス向上のためのサポートを行う。次世代のウェアラブルは個人のフィットネスからバイオメトリクス(姿勢や歩き方など)の向上に役立つものになる。

アクティブコーチングが成功を治めるかどうかの鍵に、収集されるデータとその解釈の正当性の確保が挙げられる。これはValencellの創業者、スティーブン・レボウフ博士が頭を悩ませている点だ。彼は次のように説明する。「耳に対する光学センサーを使った技術を開発したのは、データの正当性を上げるためだ」。

彼によると、次の課題はデータを目的にあったものにすることだという。「良質のデータとそれを正確に解釈できるソフト、そしてそれらを使って健康状態を向上するためのアドバイスを生み出せるようになる事が必要だ」。

ジェスチャーベースのインターフェイス

どのようなものか:人がジェスチャーやその他の自然な動作を通じてデバイスを使うためのインターフェイス。複雑な機械の操作の代わりに日常的な動作を用いることで、ユーザーエクスペリエンスの向上に加え、新しいデバイスやソフトウェアにより容易に馴染むことが出来るようになる。

瞬きで写真を撮ることが出きるGoogle Glassのように、すでにジェスチャーベースのインターフェイスのはしりのようなものは見ることが出来る。アップルがApple Watchで最近取った特許は、我々にジェスチャーベースの適応学習について予感させるものがある。これらによってジェスチャーによってApple TVを操作したり、部屋の電気を消したり、ランニングマシンで走ってる時にiPadのページをめくったりといった事が可能になるかも知れない。

認証

どのようなものか:個人に固有のシグネチャーを提供する事が出来るウェアラブル。例えば心拍などの人によって固有の特徴を用いることで、パスワードなどの時代遅れなを代替する事ができる。

これまでに何回パスワードを忘れたり、メールアカウントを乗っ取られたりしたことがあるだろうか? だがこれらの事は過去の話になるかも知れない。スマートウォッチを使った心拍モニタリングなどの新しい技術によって、人によって差のある心拍リズムをパスワードにすることができる。

ある企業はユーザーがデバイスに近づいただけで自動的にログインできる手段を模索中だ。ちょうどAndroid携帯とスマートウォッチを近づけるとロック解除されるのと同じ塩梅だ。

この先にあるものとは

ここで挙げた消費者が体験するであろうシナリオはまだまだ話の触りに過ぎない。ここから更にスマート義手/義足(究極のウェアラブルと言ってもいいだろう)や回路を内蔵したコンタクトレンズなどにも話は広がる。

中には胃酸を使ってバッテリーを動かす研究などというのもあり、ウェアラブル技術を飛躍させるのに役立てようという向きもある。

まだまだ道程は遠いが、人々が技術との融合をますます深めていくことはまず疑いようのないことだ。それを実現するためのイノベーションは避けられない未来どころか、むしろ現在進行形の話である。このことを十分に理解し、来たるべき日に備えることが出来る起業家こそ、周りを先導し、その利益に預かることが出来る。

トップ画像提供:Atheer Labs

Andrew Hooge
[原文]

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。

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