ブック・インサイド『Python機械学習プログラミング』―パーセプトロンを読み解く

2016年8月8日(月)
福島 真太朗(ふくしま しんたろう)
前回は、書籍『Python機械学習プログラミング』を読むために必要な知識、読み方等について説明しました。今回は、2章の内容についてより分かりやすく理解するためのヒントを解説していきます。

パーセプトロンを実装する

さて、以上の数式をプログラムで記述してみましょう。2.2 節「パーセプトロンの学習アルゴリズムをPython で実装する」では、クラスを用いてパーセプトロンを実装しています。ここでは、より簡単に実装してみましょう。

まずは、本書と同様の方法により Iris データセットを読み込みます。

In [1]: %matplotlib inline
        import pandas as pd
        import matplotlib.pyplot as plt
        import numpy as np
        plt.rcParams['savefig.dpi'] = 180

In [2]: df = pd.read_csv('https://archive.ics.uci.edu/ml/machine-learning-databases/iris/' \
        'iris.data', header=None)
        df.tail()
Out[2]:        0    1    2    3               4
        145  6.7  3.0  5.2  2.3  Iris-virginica
        146  6.3  2.5  5.0  1.9  Iris-virginica
        147  6.5  3.0  5.2  2.0  Iris-virginica
        148  6.2  3.4  5.4  2.3  Iris-virginica
        149  5.9  3.0  5.1  1.8  Iris-virginica
In [3]: y = df.iloc[0:100, 4].values
        y = np.where(y == 'Iris-setosa', -1, 1)
        X = df.iloc[0:100, [0, 2]].values

散布図をプロットすると次のようになります。

In [4]: # 品種setosaのプロット(赤の○)
        plt.scatter(X[:50,0], X[:50,1], color='red', marker='o', label='setosa')
        # 品種versicolorのプロット(青の×)
        plt.scatter(X[50:100,0], X[50:100,1], color='blue', marker='x', label='versicolor')
        # 軸のラベルの設定
        plt.xlabel('sepal length [cm]')
        plt.ylabel('petal length [cm]')
        # 凡例の設定(左上に配置)
        plt.legend(loc='upper left')
        # 図の表示
        plt.show()

図4

パーセプトロンを以下の方針で実装してみましょう。

  • 学習率 η:ここでは、 η = 0.01 と設定します。変数名は eta とします。
  • 反復回数 N:ここでは、N = 10 と設定します。変数名は n_iter とします。
  • 重み w0、w1、w2:本書内では NumPy 配列を使用していますが、ここでは変数 w0、w1、w2 を定義して、それぞれを 0 で初期化することにします。
In [5]: import numpy as np

        eta = 0.01  # 学習率
        n_iter = 10  # トレーニングデータのトレーニング回数
        w0 = w1 = w2 = 0  # 重みを初期化
        w0_, w1_, w2_ = [], [] ,[]  # 重みを格納するリスト
        errors_ = []  # 誤差を格納するリスト

        for epoch in range(n_iter):  # トレーニング回数分トレーニングデータを反復
          errors = 0
          for xi, target in zip(X, y):  # 各サンプルで重みを更新
            # 総入力の計算
            net_input = w0 + w1 * xi[0] + w2 * xi[1]
            # 総入力が0以上の場合は1、0未満の場合は-1と予測
            pred = np.where(net_input >= 0.0, 1, -1)
            # 重みを更新
            update = eta * (target - pred)
            w1 += update * xi[0]
            w2 += update * xi[1]
            w0 += update
            # 誤差を算出
            errors += int(update != 0.0)
          # 重みを格納
          w0_.append(w0)
          w1_.append(w1)
          w2_.append(w2)
          # 誤差を格納
          errors_.append(errors)

上記のソースコードは、2.3 節でクラスを用いて実装されているパーセプトロンのエッセンスのみを実装しています。Python のクラスにあまりなじみのない方は上記のコードで処理の流れを把握して、2.3 節の実装を確認すると良いでしょう。

以上のコードを実行した結果、各反復の完了時点での誤差をプロットすると以下のようになります。6 回目の反復で収束していることを確認できます。

In [6]: # 各反復での誤差をプロット
        iters = range(1, n_iter+1)
        plt.plot(iters, errors_)
        plt.xlabel('iteration')
        plt.ylabel('error')
        plt.show()

図4

重み w0、w1、w2の変化をプロットすると次のようになります。

In [7]: plt.plot(iters, w0_, c='blue', label='w0')
        plt.plot(iters, w1_, c='red', label='w1')
        plt.plot(iters, w2_, c='green', label='w2')
        plt.legend(loc='best')
        plt.show()

図4

それぞれの重みは、5回目の反復で概ね収束していることを確認できます。

 
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著者
福島 真太朗(ふくしま しんたろう)
1981年生まれ。株式会社トヨタIT開発センターのリサーチャー。2004年に東京大学理学部物理学科卒業。2006年東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程修了。専攻は物理学・応用数学。

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