データベースの耐障害性を高めるクラスタソフト

静止点確保による整合性を保持したバックアップ

　集積した重要な情報を扱うデータベースでは、バックアップが大切になる。通常は業務終了時などにバックアップを行うのが一般的だが、24時間365日高負荷がかかり続けるデータベースの場合、バックアップ自体が過剰な負荷となりデータベースのパフォーマンスを低下させる原因になりやすい。
　共有ディスク型クラスタの場合、ディスク複製機能を持っている共有ディスクを導入していれば、一時的に複製したディスクからバックアップすることで、この運用課題を解決できる。もう1つの解決方法に、CLUSTERPROのミラーリング機能を導入する方法がある。データベースファイルのミラーリングを行っておけば、バックアップの負荷を現用系から待機系に割り振ることで、現用系のパフォーマンスの低下を抑制して、低コストなバックアップを実現できる。
　また、この場合、データベースに対してまず静止点を確保し、いったんミラーリングを停止してバックアップを開始した後にデータベースを動かし、バックアップが完了後ミラーを再開するという手順をとることで、データベースの整合性を保つことが可能で、障害時などのリストアも安心して行える。
　対応しているデータベースとしては、Oracle11g R1 /10g R2、SQL Server2008の各Windows版とLinux版、そしてMySQL5.1のLinux版となっている。なお、バックアップソフトは任意のものが利用可能だ。

仮想マシンを含むシステム全体の可用性をアップ

　データベースサーバーは単体で動くのみではなく、Webサーバーなどとの連携で使われることも多い。
　CLUSTERPROはデータベースサーバーを含む、複数の異なる用途、異なるOSで構成されたシステム全体の可用性を向上させる機能も持っている。データベースサーバーの上の階層に複数のWebサーバーとアプリケーションサーバーが存在し、ロードバランサーが負荷分散をおこなっているようなWeb3階層システムで、アプリケーションレイヤーのいずれかのサーバーに障害が出た場合に、ロードバランサーによる負荷分散処理だけでなく、異常になったサーバーをシャットダウン、再起動できるCLUSTERPRO X Single Server Safeを提供し、パフォーマンスの復旧を含むシステムの統合管理を可能としている。
　また、こうしたシステムで、データベースが障害を起こし、その切り替え中に、Webアプリケーションサーバーからデータベースへの多量のリクエストが応答待ちになるケースがあるが、CLUSTERPROはデータベースがフェイルオーバーしたことをWebアプリケーションサーバーに通知し、Webアプリケーションサーバー側では通信タイムアウト待ちになっているリクエストを再接続するといった連携を実現する機能も持っている。
　さらに、今後のIT基盤の主流になると考えられる仮想化環境下でのデータベース利用も増大が予測されるが、CLUSTERPROでは、仮想マシン同士のクラスタリングにもいちはやく対応。前述の通り、SCSIリザーブコマンドを利用しないことで、仮想ディスク、FC接続ディスク、iSCSI接続ディスクと、ディスク形態を問わず導入可能なため、こうした仮想化環境の下でも高いアドバンテージを持っている。
　VMware vSphereやHyper-Vが持っている仮想マシンごとのHAに対し、CLUSTERPROはゲストクラスタという利用法により、データベースなどの障害発生を受けて、アプリケーション単位でのフェイルオーバーを実現する。各仮想マシンは待機中の物理サーバー上でも仮想マシンとゲストOSまで起動されている状態になっているため、切り替えとアプリケーションを起動する時間のみでのサービスを復旧できる。OS起動の待ち時間が必要ないため、アプリケーション起動に必要な時間に、チューニング次第ではあるが目安1分をプラスした程度で再稼動が可能になり、仮想化OSが持つHA機能よりも高速な切り替えが実現できる。
　仮想化環境でのクラスタリングについては、「仮想化環境の安定稼働を実現するCLUSTERPRO」（http://thinkit.jp/article/990/1/）にて詳しく解説を行っているので、ぜひ参照してほしい。
　このほか、データベースで高いシェアを持つORACLEには独自のクラスタを担うORACLE RACが存在するが、CLUSTERPROをORACLE RACと組み合わせることで、切り替えの高速化を実現するといった、より高度な利用法も可能だ。



CLUSTERPRO製品の詳細はこちら
http://www.nec.co.jp/pfsoft/clusterpro/?pfid=104