「LibreOffice 5.3」公開、UIプロジェクト「MUFFIN」を初導入、ほか

2017年2月10日(金)
吉田 行男
OSS界隈に造詣が深い吉田行男氏が、この一週間に起きたOSS業界の注目すべきトピックをセレクトして、お届けします。

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

この週末も強い寒気の影響で、各地で雪が降るようです。私立大学の入試も始まりますが、受験生の足に大きな影響が出ず、彼らの勉強の成果が発揮されることを祈りたいと思います。

今週もOSSに関する注目すべきトピックを取り上げましたので、ゆっくりとご覧下さい。

NTTデータ、OSSの統合運用管理ソフト最新版「Hinemos Ver.6.0」を提供開始

株式会社NTTデータは2月2日、OSSの統合運用管理ソフト「Hinemos」について、新バージョンとなるVer.6.0の提供を開始しました。最新版では、システムおよび接続機器が生成するすべてのデータの収集・蓄積に対応しました。サーバのリソースやアプリケーションログといった情報だけでなく、スマートフォンなどの端末のGPS/バッテリー情報やセンサー情報など、情報の種別・用途を限定せず、収集・蓄積する機能を提供します。収集したデータは、「Hinemos」上での検索・可視化だけでなく、外部データベースやサービスへの連携も可能となり、ビッグデータ分析基盤やクラウドなどで提供される機械学習・AIなどのSaaSとの連携も容易になり、収集したデータの活用を効率的に実現することができます。また、これまでの各種インフラをコントロールする機能に加え、複数のシステム・部門をまたぐ運用プロセスを自動化する「Runbook Automation」機能を追加しました。責任者への承認が必要な運用業務も、オペレーターからの1クリックで、承認から定型処理までのフロー制御と自動化を実現できるようになります。

(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1042412.html

「LibreOffice 5.3」公開、UIプロジェクト「MUFFIN」を初導入

ドイツのThe Document Foundationは2月1日、「LibreOffiec 5.3」をリリースしました。ユーザーインターフェイスを強化する「MUFFIN」プロジェクトの成果が導入されたほか、プライベートクラウド向けのバージョンも初公開しました。開発チームはバージョン5系よりユーザーインタフェース(UI)の強化にフォーカスしており、「MUFFIN(My User-Friendly & Flexible INterface)」というプロジェクト名でUIの改善を進めてきました。5.3では初めてその成果が導入され、デフォルトUI、Single Toolebar UI、Sidebar with a Single Toolbarに加えて「Notebookbar」という新しいオプションが加わりました。また本バージョンでは、Webブラウザ内でコラボレーションしながらのドキュメントの編集など独自の機能を持つクラウド版である「LibreOffice Online」も導入しました。

(参照記事:https://mag.osdn.jp/17/02/02/160000

PHP技術者認定機構、最上位資格「PHP技術者認定ウィザード2016」の受付を開始

一般社団法人PHP技術者認定機構は2月6日、PHP5技術者認定試験の最上位資格となる「PHP5 技術者認定ウィザード2016」の申し込み受付を開始しました。応募論文の提出期限は3月末で、5月中旬に合格者を発表する予定です。PHP5技術者認定ウィザードは、「PHPの発展に貢献できる知識と発想力を持つこと」を認定する資格で、PHP5技術者認定試験の最上位の資格になります。審査方式は、論文やコードを匿名で公開したものを、PHP技術者認定機構関係者とPHP技術者認定試験合格者の投票により、上位得票者で基準を満たしたものを認定するそうです。

(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1042734.html

米Facebook、時系列データベースBeringeiをオープンソース化

米国Facebook社は2月3日、同社が開発したインメモリ時系列データベース「Beringei」をブログポストで説明、同ソフトウェアをBSDライセンスで公開したことを紹介しました。フェイスブックでは以前、モニタデータをHBaseに格納していましたが、より多くのデータを読み出して可視化するといった作業が増えてくると、データの読み出しだけで分単位の時間がかかることが増えてきました。この問題に対処するために開発されたのが「Beringei」で、モニタリングデータに特に適したデータ圧縮方式を採用しています。より多くのデータをメインメモリに格納でき、データの書き込み時間とクエリへの応答遅延を桁違いに短縮できたとしています。

(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1702/06/news048.html

米国CoreOS社が「fleet」の開発を終了、代わりにKubernetes採用を発表

米国CoreOS社は2月7日、これまで同社が推進してきたコンテナオーケストレーションツール「fleet」の開発を終了し、今後はKubernetesを採用すると発表しました。「fleet」の開発は事実上この2月で終了し、脆弱性やバグなどの対応のみを行うメンテナンスモードへ移行。1年後の2018年2月には「Container Linux」へのバンドルも終了する予定です。コンテナオーケストレーションツールはKubernetes、Swarmなどをはじめとして、現在さまざまなベンダが開発を進めており、コンテナのエコシステムの中でももっとも競合の激しい分野と言っていいでしょう。ここで有力なベンダの一つであるCoreOSがKubernetesを採用したことは、Kubernetesにとって大きな前進だといえます。

(参照記事:http://www.publickey1.jp/blog/17/kubernetescoreosfleetkubernetes.html

編集後記

2月5日に、米国テキサス州ヒューストンにあるNRGスタジアムで第51回スーパーボウルが開催されました。試合は、ニューイングランド・ペイトリオッツが前半の圧倒的な劣勢を挽回し、史上初の延長戦でも勢いを維持し、チームとして5回目の制覇を成し遂げました。

スーパーボウルの見所の一つにハーフタイムショーがあり、今年は、300機の米国インテル社製のドローンを使って、星条旗を表現するなど、技術的にも大変興味深いものでした。すでに米国オーランドのウォルトディズニーワールドリゾートで、ドローン300機を使った光のイベントを開催した実績もあり、これからもますます活用されるのでは、ないでしょうか。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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