【Spark Summit】米MS社らが新製品を発表、NECが「NEC Cloud System」のマルチDC機能強化、ほか

2016年6月10日(金)
吉田 行男
6~8日にサンフランシスコで開催された「Spark Summit」で、米国MapR社と米国Microsoft社がそれぞれ新たなSparkディストリビューションを発表しました。

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

先週末は、九州から関東までぞくぞくと「梅雨入り」しました。関東甲信地方では平年より3日早く、昨年より2日遅いそうです。とはいえ、今後2週間程度はまとまった雨が降る可能性は低く、本格的に雨の日が多くなるのは6月下旬頃からのようです。

今週もOSSに関する注目すべきトピックをとりあげましたので、ゆっくりとご覧下さい。

【Spark Summit】米国Microsoft社や米国MapR社、米国IBM社が新製品を発表

6~8日にサンフランシスコで開催された「Spark Summit」で、米国MapR社と米国Microsoft社がそれぞれ新たなSparkディストリビューションを発表しました。Microsoftの「Spark for Azure HDInsight」は既にプレビュー版が利用可能となっていましたが、6日付けで一般提供が開始されました。最初のプレビュー版はほぼ1年前に発表されており、Windows向けの「HDInsight」をベースにしていましたが、同社はそのディストリビューションを軸にしてLinux向けのディストリビューションを再設計しました。MapRはオープンソースのApache Sparkを利用しているものの、同社独自のHadoopディストリビューションや、そのクローズドソースの固有コンポーネントとの統合を注意深く進めてきています。また、米国IBM社は新たなSparkの開発環境「Data Science Experience」を発表しました。Data Science ExperienceはクラウドをベースにしたSpark向け開発環境で、開発者はRを使ってコードを記述できるようになります。

マイクロソフトやMapRが新Sparkディストリビューション発表―Spark Summit
(参照記事:hhttp://japan.zdnet.com/svc/nls/?id=35083837

IBM、「Apach Spark」向け開発環境を発表―Couchbase、Snowflakeもコネクタ製品を発表
(参照記事:hhttp://japan.zdnet.com/article/35083914/

NTTデータ先端技術など4社、オープン標準の仮想化技術による通信事業者向けシステムの検証を実施

NTTデータ先端技術、ブロケードコミュニケーションズシステムズ(以下、ブロケード)、デル、レッドハットの4社は6日、オープン標準の仮想化技術による通信事業者向けシステムの共同検証を実施したと発表しました。共同検証では、各社のソリューション(開発版を含む)を使用して、通信事業者向けに「OpenStack Tacker」を用いたシステムを構築しました。NTTデータ先端技術がブロケード、デル、レッドハットのSDI/NFVソリューションを組み合わせた上で、設計からサービス実装までの開発・検証を行い、通信事業者のSDI/NFVソリューションの商用利用を想定した構築・運用の実現性を確認しました。

(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1003706.html

NEC、OpenStackを使う「NEC Cloud System(OSS構築モデル)」のマルチDC対応機能を強化

NECは2日、「NEC Cloud System(OSS構築モデル)」のマルチデータセンター機能を強化し、提供を開始したと発表しました。「NEC Cloud System」はOpenStackを活用したクラウド基盤の構築と運用を支援するソリューションで、クラウド基盤に「Red Hat OpenStack Platform」を採用し、OpenStackだけでは実現できない機能は、その他のOSSを組み合わせて提供されます。この機能強化版では、複数のデータセンター環境に対応するための統合ポータルを設け、異なるバージョンのOpenStackが混在するIaaS環境においても、統一した運用を実現できるようになりました。

(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1606/03/news087.html

米CoreOS、オープンソースの分散ストレージシステム「Torus」を発表

米国CoreOS社は1日、コンテナ向けの分散ストレージシステム「Torus」プロジェクトを発表しました。同社が開発するKey-Valueストア「etcd」を利用して実装されているのが特徴です。TorusはGo言語で実装されたオープンソースの分散ストレージシステムで、信頼性や拡張性のあるストレージをKubernetesなどのオーケストレーションツールで管理されたコンテナクラスタに提供することを目的に設計されていると言われています。Torusを利用することで、信頼性が非常に高く、シンプルで分散化されたストレージを提供でき、分散型アプリケーションシステムで起こりうる多くの問題を解決できるとしています。

(参照記事:https://osdn.jp/magazine/16/06/03/160000

Zabbix Japan、OSSの統合監視ツール「Zabbix 3.0」搭載アプライアンス2製品

Zabbix Japan合同会社は7日、オープンソースの統合監視ツール「Zabbix 3.0」を搭載したアプライアンス「Zabbix Enterprise Appliance ZS-5300」「同 ZP-1300」を同日より提供開始すると発表しました。Zabbix Enterprise Applianceはシステム監視、障害通知、グラフ表示など、Zabbixの全機能を活用したシステム監視・運用を容易に開始できるアプライアンスサーバーです。今回提供開始する新製品では、最新版3.0の新機能によりZabbixモジュール間(Zabbixサーバー、Zabbixプロキシ、Zabbixエージェント)で行われる通信を暗号化可能になったため、ローカル環境やクラウド上にあるZabbixサーバーとの通信、分散された拠点の一元監視をセキュアに実現可能となりました。

(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1003871.html

編集後記

仏パリのローランギャロスで開催されていたテニス4大大会の第2戦、全仏オープンが5日に終わり、男子はノバク・ジョコビッチ(セルビア)、女子はガルビネ・ムグルサ(スペイン)が優勝しました。両選手とも初優勝で、ジョコビッチ選手はこれで4大大会すべてを優勝する「グランドスラム」を達成しました。

ジョコビッチ選手は1月に開催された全豪オープンテニスでも優勝しており「年間でのグランドスラム」達成も期待されています。今年はオリンピックが開催される年なので、オリンピックの優勝も合わせると「ゴールデンスラム」と言うそうで、過去に達成したのはシュテフィ・グラフ(ドイツ)のみです。「達成は非常に難しい」と言われていますが、今年のジョコビッチはこれまでの戦いから、大変期待されています。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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