グーグルがOpenStack上のコンテナ強化とコンテナ管理ツール「Kubernetes 1.0」リリースを発表、ほか

2015年7月24日(金)
吉田 行男

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

先週は、お知らせもなく休刊し、大変申し訳ありませんでした。
さて、関東甲信では平年より2日早い7月19日頃に梅雨明けし、20日頃に東海、近畿、中国で、21日頃に北陸で梅雨明けしたと気象庁が発表しました。これで、本格的な夏の季節になるようですが、さっそく、台風が到来し不安定な天候が続くようです。

今週も注目すべきトピックをとりあげましたので、ゆっくりとご覧下さい。

米グーグル社がOpenStack上のコンテナ強化と「Kubernetes 1.0」リリースを発表

米グーグル社は7月16日、OpenStack Foundationに「コーポレートスポンサー」として参加したことを発表しました。米国グーグル社は、ハイブリッドクラウドとコンテナを2大トレンドと位置づけ、OpenStack Foundationに参加することで「コンテナネイティブのパターンがエンタープライズ向けの開発者にとって選択肢の1つとなること、パブリッククラウドとプライベートクラウドの相互運用性を改善することを期待する」と述べています。
また、7月21日にオープンソースのコンテナ管理技術「Kubernetes 1.0」リリースを発表しました。「Kubernetes」はコンテナオーケストレーションシステムで、Dockerコンテナの実装、レプリケーションやモニタリングなどの管理などの機能を持っています。多数のコンテナを1つのシステムとして管理することで、開発と運用を簡素化できます。なお、Kubernetesプロジェクトには米国Docker社や米国Red Hat社、米国CoreOS社、米国VMware社などの企業が参加しています。

米グーグル、OpenStack Foundationへの参加でOpenStack上のコンテナを強化へ
(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1507/21/news046.html

米Google、Dockerコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes 1.0」をリリース
(参照記事:http://osdn.jp/magazine/15/07/23/064200

オープンソースによるIoT基盤構築の「AllSeen Alliance」に新たに13社が加入

7月15日、オープンソースソフトウェアによるIoT基盤の構築を発展させるための協業の取り組みである「AllSeen Alliance」は、米国IBM社や米国Pivotal社をはじめとする13社が新たに同プロジェクトのメンバーとなったことを発表しました。「AllSeen Allianse」は、Linux Foundationが主導する協業プロジェクトで、オープンソースソフトウェアのIoTフレームワーク「AllJoyn」を開発し、IoE(Internet of Everything)をサポートする製品、システム、およびサービスの導入実現に取り組む非営利コンソーシアムです。

(参照記事:http://gihyo.jp/news/nr/2015/07/1701

レッドハット、DockerベースのPaaS基盤「OpenShift Enterprise 3」を出荷

7月22日、レッドハット社は、仮想マシンを使わずにDockerベースでPaaS型クラウドを実現する基盤ソフト「OpenShift Enterprise 3」を発表し、同日出荷を開始しました。「OpenShift Enterprise」の従来版では、「Cloud Foundry」などの他のPaaS基盤ソフトと同様に、仮想マシン型のPaaS基盤を独自技術を用いて実現していました。今回の新版ではこれを改め、中核技術として新たにコンテナ型仮想化ソフトのDockerを採用しました。これにより、開発ライフサイクルを簡素化できるほか、アプリケーション更新時の反映などが容易になるとしています。

(参照記事:http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/072202441/

OpenStack Mリリースの名称が「OpenStack Mitaka」(三鷹)に決定。紆余曲折の末、10月に東京開催のOpenStack Summitにちなみ

7月7日、OpenStackの次のリリース名は正式に『Meiji』と発表されましたが、歴史的、政治的な議論を呼びかねないということで、いったん撤回されました。そして再選択の結果、7月15日に『Mitaka』に決定したと発表されました。OpenStackのリリース名は、アルファベットで表記できることと、そのリリースに向けて機能などを議論するOpenStackデザインサミットが開かれる場所の周辺地域の自然あるいは人文学上の名称にすること、などがルールになっています。

(参照記事:http://www.publickey1.jp/blog/15/openstack_mitaka.html

米Microsoft、OpenBSD Foundationの「ゴールドコントリビューター」に。OpenSSHを支援へ

OpenBSD Foundationは7月7日、米Microsoft社が「ゴールド・コントリビューター」として同組織への支援を行うことを発表しました。同組織の「ゴールド・コントリビューター」になるのは米Microsoft社が初で、「重要な財務的寄付」を受けたと報告しています。米Microsoft社は6月にPowerShellでのOpenSSHなどSSHのサポートを計画していることを明らかにしており、「今回の寄付は、OpenBSD FoundationがOpenSSHプロジェクトを支援していることへの認識の下で行われた」とOpenBSD Foundationは説明しています。

(参照記事:http://osdn.jp/magazine/15/07/13/151500

編集後記

7月20日から、米国ポートランドでオープンソースカンファレンス(OSCON)が開催されており、世界中からオープンソースの関係者が集結し、大変盛況なようです。日本でも、オープンソースカンファレンス(OSC)が各地で毎月行われています。次回は、8月7日と8日に京都で開催される予定です。暑い季節ですが、興味のある方は、一度参加して、オープンソースの熱さを実感されてはいかがでしょうか?

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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