MSが「Azure IP Advantage」を発表、インテル「BigDL」をオープンソース化、ほか

2017年2月17日(金)
吉田 行男
OSS界隈に造詣が深い吉田行男氏が、この一週間に起きたOSS業界の注目すべきトピックをセレクトして、お届けします。

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

この冬の大きな話題は、大雪です。先週から、山陰地方を中心に大雪になり、鳥取県では、33年ぶりに90センチを超える積雪を記録しました。かと思うと、春を思わせる気温の日が続いたりと体調の管理がとても難しい日々が続いています。

今週もOSSに関する注目すべきトピックを取り上げましたので、ゆっくりとご覧下さい。

インテル、Spark対応の分散型ディープラーニングライブラリ「BigDL」をオープンソース化

米国インテル社は2月8日、「Apache Spark(以下、Spark)」に対応する分散型ディープラーニングライブラリ「BigDL」をオープンソース化し、GitHubで公開したと発表しました。「BigDL」の提供は、業界最先端のAIの実現を支援する同社が進める戦略の一環で、インテルは2016年11月に発表したこの戦略に基づき、「BigDL」以外にも、「Intel Nervana AI Academy」を通じてAI関連のトレーニングやツールを開発者に広く提供しています。「BigDL」は、「Spark」アーキテクチャ上に構築する分散型ディープラーニングライブラリで、高度なビッグデータ分析を行うデータサイエンティストなどに向け、ディープラーニングの活用を容易にするものです。

(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1702/10/news082.html

CTCSが運用管理ソリューションに「MIRACLE ZBX」活用、ミラクル・リナックスのサポート力などを評価

ミラクル・リナックス(株)は2月10日、OSSベースの統合監視ソリューション「MIRACLE ZBX」が、CTCシステムマネジメント(株)(以下、CTCS)のIT統合運用管理ソリューションに採用されたと発表しました。CTCSは伊藤忠テクノソリューションズ(株)のグループ会社で、ITアウトソーシングサービスを企業に対して提供しています。同社は従来、商用の管理ソフトウェアを用いた運用管理サービスを提供してきましたが、通信業を中心にオープンソースの管理ソフトウェア活用のニーズが高まってきたことを受け、Zabbixをベースとした運用管理サービスの提供を決断。国内でZabbixを扱っているベンダーを検討し、自社システムで検証した結果、ZabbixをベースとしているMIRACLE ZBXの採用を決めました。

(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1043635.html

プライム・ストラテジー、法人・大学に「KUSANAGI for Microsoft Azure」を展開

プライム・ストラテジー(株)は2月7日、独立行政法人および大学に対し、「Microsoft Azure」を基盤としたWordPress仮想環境「KUSANAGI for Microsoft Azure」の導入を展開すると発表しました。具体的には、WordPress仮想マシン「KUSANAGI」への移行を進め、「KUSANAGI for Microsoft Azure」「KUSANAGI公式サポートサービス」「KUSANAGI Ready サイト構築サービス」を導入することで、Webサイトの常時SSL化、セキュリティ強化、パフォーマンス強化を実現します。

(参照記事:http://news.mynavi.jp/news/2017/02/07/272/

インサイトテクノロジーのデータベース監査ツール「PISO」がMySQLにも対応

(株)インサイトテクノロジーは2月9日、データベース監査ツール「PISO」の最新版をリリース。新たにMySQLの監査にも対応しました。「PISO」は、DBMSのログファイルを取得して、不正アクセスを検知するデータベース監査ツールで、Oracle Database、SQL Serverなどの商用データベースに加え、法人需要が増えているOSSのデータベースへの対応も進めています。2016年8月のPostgreSQL対応版に続き、今回、新たにMySQLにも対応しました。異なるDBMS、異なるバージョンが混在している環境においても、ログの形式や取得項目などを意識せずにデータベース監査の統合運用を実現できます。

(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1702/13/news060.html

米マイクロソフト、Azure上のOSSも対象範囲に含む「Azure IP Advantage」を発表

米国マイクロソフト社は2月8日、Microsoft Azureのユーザー企業を対象とした知的財産(IP)保護プログラムを拡大し、新たにAzure上のOSSテクノロジーも対象範囲に含む「Azure IP Advantage」を発表しました。同社はこれまでも、AzureユーザーがAzureを基盤として稼働するサービスについて特許侵害で訴えられた場合に、訴訟費用を上限なく補償するIP保護プログラムを提供していました。今回、このプログラムを拡張し、Azure HD Insightに使用されているHadoopなど、Azure上で使われるOSSテクノロジーも対象に含めました。Azureユーザーは、マイクロソフトが保有する1万件の特許が利用可能になり、訴訟時にはマイクロソフトの特許を使用して対応できます。日本国内の訴訟もこのプログラムの対象になります。

(参照記事:http://ascii.jp/elem/000/001/433/1433745/

お知らせ

日本OpenStackユーザ会は、2017年7月20日〜21日に東京(虎ノ門ヒルズ)で開催される「OpenStackDaysTokyo2017」のセッションにご登壇いただけるスピーカーを募集しています。毎年一度開催される「OpenStackDaysTokyo」は、OpenStackFoundationの公式サポートを受ける国内唯一のイベントです。今年は「オープン x コラボレーション」をテーマとし、各種コミュニティとのコラボセッションをはじめ、よりパワーアップした多数のセッションを企画しております。一次募集締切は3/31ですので、皆さまのご応募をお待ちしています。

OpenStack Days Tokyo 2017 CFS(セッション登壇者募集)

編集後記

最近のネットで話題になっていることに、「偽ニュース問題」があります。どうみても、「偽」だとわかるニュースもありますが、ネットでシェアを繰り返すことで、あたかも真実であるかのように取り上げられてしまうことがあります。願わくば、ディープラーニングなどの「AI」技術でこのような「偽」ものをなくすことができないものかと思います。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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