情報活用のトレンドと導入ノウハウ

2010年3月24日(水)
久保田 さえ子
マーケティング施策の精度を高めるポイント

マーケティング分析の先進例

ここでは、マーケティング分析の先進的な取り組みを紹介します。

現在、コンシューマ(一般消費者)の間で、CGM(Consumer Generated Media)と呼ばれるメディアの活用が増えています。これに連動して、企業側でも、こうした消費者間のコミュニティをマーケティングに活用する例が出てきました。

企業のブランドの浸透を目的に、コミュニケーションの場として利用するだけでなく、ソーシャル・ネットワーク分析、インフルーエンス分析といった分析を行ったうえでキャンペーン施策に生かす、といった取り組みも現実になりつつあります。

具体的な例として、通信業のCDR(呼情報)データやSNSのコミュニケーション情報などから、IT技術を用いて消費者のコミュニティを推測し、その中でもっとも影響を与えている人物(オピニオン・リーダー)に対してマーケティング施策を実施する例があります。海外では実際に、30%の利益向上という効果をあげています。

また、金融業でよく使われる手法に、「イベント・ベースド・マーケティング」があります。簡単に説明すると、顧客属性や行動の変化(何かしらのアクションや属性が変化したタイミング)をきっかけに、適切なチャネルを用いて、適切なオファーを実現する手法です。

このマーケティング手法は、顧客インサイトを分析できる仕組みがあり、優れたマーケッターの分析や洞察があり、なおかつ、キャンペーンなどの施策を実行管理できる仕組みがあって成り立つ、先進的な手法です。

小さく始めて大きく育てる

今回は、マーケティング施策のPDCAを例に、情報活用システムの構築ポイントについて解説しました。本記事の最後に、2点ほど提言します。1つは、システム導入前の「効果検証」の重要性です。もう1つは、製品/サービス選びの重要性です。

「マーケティング施策の精度をどう向上させるか検討したい」「どのように情報を活用すべきか分からない」といった場合に有効なのが、システム導入前の「効果検証」です。

仮説や効果の実測によって、システム導入効果を算出できます。さらに、所持しているデータの過不足や、新たに用意しなければならないデータも分かります。その結果、比較的短い期間で、マーケティング分析のためのシステム基盤のあるべき姿や、導入ステップを定義することも可能です。

マーケティング戦略の高度化を目指す企業は、今後ますます増えていくでしょう。こうした企業を支援する、スモール・スタートが可能なITサービス/製品も増えてきており、システム導入の敷居が下がることで、さらに情報武装化は進んでいきます。今後は、製品やサービス選びが重要になってくるでしょう。詳細は、第3回をご参照ください。

CTCでも、「C-BIA(CTC-BusinessIntelligenceAppliance)」と呼ぶ製品サービス群を用意しています。これは、第2回で説明した米Netezza製品を中心としたBIバンドル・パッケージです。1980万円(税別)のスモール・スタート構成も用意しているため、小さく構築を始めて大きく育てることが可能です。

最終回となる次回(第5回)では、情報活用を組織に定着させDWHやBIを徹底活用するノウハウについて説明します。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 ソリューション営業3部DWH/BIソリューション課 課長
国立音楽大学卒業後、伊藤忠テクノサイエンス(株)(現:伊藤忠テクノソリューションズ)入社。データベースエンジニアとして、プリセールス、教育、チューニングなどを経験後、DWH/BI製品を担当。流通・サービス業・通信業など各社のビジネスインテリジェンスシステムの導入・構築を経験。現在にいたる。

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