アキバから世界へ!DMM.make AKIBAから誕生した注目のものづくりスタートアップ6社を紹介!
こんにちは! ドイツ・ベルリン在住ライターのwasabi (wasabi_nomadik)です。
私が住むベルリンではソフトウェア系のスタートアップが盛り上がりを見せていますが、もともとドイツのメインの産業といえば、車を始めとする製造業。日本とドイツはその点でお互いに、高い品質を誇る製造業が世界的に認められていることで共通点を持っています。
今回、私が日本に一時帰国中、東京随一のハードウェアコワーキングスペースとして知られるDMM.make AKIBAが3周年記念イベントを開催するという話を聞きつけ、Think ITの大人気連載『ライフハックで行こう!』の編集担当者である伊藤さん(thinkitlifehack)と一緒にイベントへ遊びに行ってきました!
私が今回このイベントに来た理由は、日本の最新ハードウェア・スタートアップがどんな動きを見せているのか、そしてどんな新しいアイデアが出ているのかを調査し、ドイツと日本を繋ぐことができそうなコンテンツやきっかけを探すためです。
当日のイベントではDMM.make AKIBAがこれまで辿ってきた軌跡や取り組みの紹介、今後の課題などをパネルディスカッション形式で紹介した後に、DMM.make AKIBAを拠点に生まれたハードウェア・スタートアップ6社のピッチが行われました。
DMM.make AKIBAとは?
「DMM.make AKIBA」は2014年に施設をオープンして以来、ハードウェア・スタートアップの拠点として2017年の今日に至るまで約12,000人のユーザーと100を超えるスタートアップによって利用されてきた日本最大級のものづくりコワーキングスペース。スタートアップが手軽にプロトタイプ試作や開発ができるような本格的な機材を取り揃え、主にシード~アーリー段階のスタートアップが多く利用しています。
DMM.make AKIBAではただスペースを解放するだけではなく、スタートアップがビジネスを拡大していくために必要なマーケティングのサポートやイベント開催によるネットワーキングの促進にも力を入れており、ハードウェア・スタートアップが必要とするサポートを全般的に提供できるハブとなっています。
今アツイVRやヘルスケア分野のアイデアも!
DMM.make AKIBAから生まれたスタートアップ6社を紹介!
そんな施設から、実際にどんなスタートアップが生まれているのでしょうか? 今回ピッチを行った6社のプロダクトを紹介します。
世界30カ国以上に展開中の匂いVRデバイス「VAQSO VR」
ピッチのスタートを切ったのは、VR専用の香りデバイス「VAQSO VR」。2021年には市場規模が2150億ドルにも上ると言われているAR/VR分野ですが、VAQSOはVRに「第四の感覚」として「嗅覚」を取り入れ、今までになかった新しいVR体験を提供しています。VRのコンテンツに連動し、ゲーム内で女の子に近づくとVR下部に取り付けられたデバイスからシャンプーの匂いがするといったアイデアの斬新さも受け、すでに世界の展示会でも好評を博し、150以上のメディアに取り上げられるという注目度の高さから今後大きな期待ができそうなスタートアップです。
スマートフットウェア「Orphe」を開発するno new folk studio
「日常を表現する」というミッションのもと、現代人が忘れがちな「歩く」という行為に着目して生まれたのがスマートフットウェア「Orphe」です。両足に100個以上の個別制御LEDと、リアルタイムで足の動きをセンシングする9軸モーションセンサー、Bluetooth通信機能を内蔵しています。
スマホやMacと連動が可能で、光やデザインを自由に編集できるだけでなく、9軸のモーションセンサーによって動きをリアルタイムに解析することもできます。華やかでクールな演出はダンスやアートなどの表現の幅を広げる可能性やヘルスケア分野でも可能性を秘めていそうなプロダクトです。
イノベーションリサーチで社会をアップデートしていく「未来予報株式会社」
DMM.make AKIBAはハードウェア・スタートアップのための施設ではありますが、在籍するスタートアップの業種はハードウェアに限りません。未来予報株式会社はイノベーションリサーチを基軸としたクリエイティブ・デザイン会社。今年7月には書籍『10年後の働き方-こんな仕事、聞いたことない! からイノベーションの予兆をつかむ (インプレス)』も刊行し、予測が難しい現代をしなやかに生きる戦略を提案しています。
その活動は日本国内だけでなく、世界中からイノベーションの種が集まる、世界最大級のクリエイティブ・ビジネス・カンファレンス「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」の日本唯一の公認コンサルタントとしても活動しています。
注目のヘルスケア分野! 総合型ヘルスフィットネス最適化基盤「Trac」を開発するprimesap
Tracは「身体の状態を精緻に数値化し解析することで、目的達成に最適なプロセスを設計する」ことをソリューショとして掲げるヘルスフィットネスプラットフォーム。アスリート向けのトレーニングの最適化を目的としたAI解析ソリューション「Live Trac」と予測型遠隔監視ソリューションと対話型遠隔リハビリを提供する「Life Trac」の2つのパッケージが紹介されていました。
ヘルスケア部門は国内だけでも3兆円、海外では10兆円を超える市場規模を持っているとのことで、Tracは2021年までに155億円の売り上げを達成することを目標にしているそうです。ピッチの中で海外進出に関する話を多くされており、その中でも「国内では先例がないプロダクトだからこそ、海外だと逆に進出しやすい」のだという言葉がとても印象に残っています。
ディープラーニングで自動車運転を安全に「Pyrenee」
Pyreneeは車の衝突事故を未然に防ぐため、ディープラーニングによるオブジェクト認識により障害物をカメラで認識、事故が起きる前にアラートを発信する「Pyrenee Drive」を開発中のスタートアップです。
まだ製品化はされていませんが、2018年後半の発売に向けて製品開発をしています。15~29歳までの若者の死亡原因の第1位は交通事故だというデータがあり、今後高齢者が増え続ける日本では高齢者による自動車運転の安全性を高めるソリューションも大きな需要を秘めています。
ファウンダー自身の経験から生まれたスマートロック「TiNK」を開発するtsumug
仕事終わり、疲れて家に帰ってきてみると家の様子がなんだかいつもと違う...。
ドラマ仕立てのストーリーから始まるプロモーションビデオは、ファウンダーのEriさん自身の体験から作られたものだそう。Eriさんが以前交際していた男性が破局後にマンションの合鍵を勝手に作っており、Eriさんの知らないところで部屋に無断で侵入されていたという経験から物理鍵の安全性を問うように。
そこで開発されたのが、スマホで簡単に制限をかけられるスマートロック「TiNK」です。発行する用途、相手によって「期間限定利用」や「繰り返し利用」など細かい設定が可能となっています。
このプロダクトは女性の視点からも非常に共感できましたが、それだけではなくAirbnbやコワーキングスペースなどスペースのシェアが進む現代において様々な活用方法が考えられるプロダクトだと感じました。
※ ※ ※
今回、DMM.make AKIBAのスタートアップを取材して最も驚いたことは、かなりの数のスタートアップがすでに海外進出を遂げている、または海外を視野に入れた活動をしていたことです。特別海外を意識しなくても良いアイデアを持ったプロダクトは勝手に海外に広がっていくというような印象も受けました。DMM.make AKIBAに所属していることをきっかけに海外とのつながりを作ることができたスタートアップもあり、DMM.make AKIBAが果たす世界進出へのハブとしての存在意義も強く感じる取材となりました。
私も引き続きドイツと日本を繋ぐために面白いアイデアや人、企業を追いかけてレポートしていきます!お楽しみに!連載バックナンバー
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