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連載 [第8回] :
  KubeCon China 2019レポート

KubeCon Chinaでは展示ブースも中国ベンダーが猛プッシュ

2019年9月17日(火)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
KubeCon Chinaの展示ブースではHuawei、Tencent、Alibabaといったトップ3のIT企業が存在感を示していた。

これまでのレポートで見てきたように、上海で開催されたKubeCon Chinaでは、キーノートもセッションも中国ベンダーが大いに目立つ演出となった。そしてそれはショーケースと称される展示ブースでも同様で、Huawei、Alibaba Cloud、Tencent Cloud、Baidu、JD.comなどが大きなブースを展開していた。

存在感を示すトップ3のHuawei、Alibaba、Tencent

特に目立ったのはHuawei、Alibaba Cloud、そしてTencentであるが、彼らは今回のカンファレンスのトップ3のスポンサーでもある中国ベンダーだ。

冒頭の写真でも分かるようにHuaweiはストラテジックパートナー、Tencent Cloudがダブルダイアモンド、そしてAlibaba Cloudがダイアモンドと、通常のカンファレンスでは見られないようなランクのスポンサーシップを得るほどにこの3社が多くの後援を行っていることが見て取れる。

Huaweiはキーノートでも大きくストラテジックパートナーとして露出

Huaweiはキーノートでも大きくストラテジックパートナーとして露出

このスライドはキーノートが始まる前にローテーションされていたものの1枚だが、同様にTencent Cloud、Alibaba Cloudも露出され、中国ベンダーの今回のカンファレンスにかける期待の大きさを感じることとなった。

Huawei

多くのブースでは参加バッジのQRコードスキャンに加えて、WeChatのQRコードをスキャンするようになっていた。これによってノベルティを入手できる仕組みが、中国でのカンファレンスでは常識となっており、Huaweiなどの人気ブースでは参加者が殺到する場面も見られた。

Huaweiのブース

Huaweiのブース

それぞれのデモコーナーでは各社が訴求したい内容が配置され、説明に聞き入る熱心な参加者が集っていた。

Disaster Recoveryの説明コーナー

Disaster Recoveryの説明コーナー

この写真でも分かるように、中国のベンダーのスライドやパネルは基本中国語で、タイトル程度が英語の併記ということで、ここでも中国語が最優先というのは変わらない。

Huaweiはハンズオンコーナーも設置して、参加者が実際に操作してクラウドサービスを体感することも可能になっていた。

Huaweiのハンズオンコーナー

Huaweiのハンズオンコーナー

Huaweiではミニゴルフのコーナーも用意して、参加者を楽しませていた。

ミニゴルフで遊ぶ参加者

ミニゴルフで遊ぶ参加者

Alibaba Cloud

Alibaba Cloudは少し狭いブースながらも多くの参加者が殺到しており、ここでも中国のパブリッククラウドベンダーの強さを見せつけた形となった。

Alibaba Cloudのブース

Alibaba Cloudのブース

受付にはノベルティを求める参加者が多数訪れた

受付にはノベルティを求める参加者が多数訪れた

全体としてシアトルやバルセロナ、コペンハーゲンなどで行われたKubeConと比較すれば少ないものの、多くのブースで活発な対話が行われており、参加者の興味の高さが表れていた。

またLinux FoundationやCNCFのカンファレンスではお馴染みのジョブボードは上海でも設置されており多くの書き込みがなされていた。

Tencent

IT系イベントではおなじみのジョブボードはここでも健在

IT系イベントではおなじみのジョブボードはここでも健在

地味に2018年に北京で行われたLinuxCon Chinaで発表されたRPCフレームワークのTARSが人を募集しているのが興味深い。TARSはTencentが開発したRPCフレームワークで2018年よりLinux Foundationのプロジェクトとしてホストされている。

よく見るとTARSの名前が

よく見るとTARSの名前が

クラウドネイティブなRPCについてはGoogleが社内で開発していたStubbyを発展させてオープンソースソフトウェアとして公開し、CNCFのインキュベーションプロジェクトとなったgRPCが大きく利用を伸ばしているという印象だ。特に中国の国内では、Tencentという大きなバックアップをベースに成長しているのかもしれない。gRPCについては以下の記事を参照されたい。

参考:gRPCに関する初のカンファレンス、gRPC ConfがGoogle本社で開催

会場雑感

展示会場中央には大きなテーブルスペースが準備されており、参加者やベンダーのエンジニアが話し込む場面も散見されており、日本の技術系カンファレンスよりも、活発な対話が行われている印象を得た。

展示会場中央にはミーティングスペース

展示会場中央にはミーティングスペース

スマートフォンへの充電を行うための充電ステーションも用意されており、スマートフォンの重要性を運営側が理解していることが見て取れた。

ミーティングスペースに設置された充電ステーション

ミーティングスペースに設置された充電ステーション

また1日目の午後から始まり、3日目の午後早くに会期が終了するというスケジュールの関係で、展示会場の各ブースでは終了間際に記念撮影を行っているベンダーもあり、1年に一度のお祭りが終わったという雰囲気が出ていたのも微笑ましい風景だ。

Alibaba Cloudのブースではみんなで記念撮影

Alibaba Cloudのブースではみんなで記念撮影

Kubernetesのロゴは船の操舵輪を模しているが、最初の開発者の人数に合わせて七角形となっているのはご存知だろう。会場の各所にそれを使っているところに、細かな配慮を感じる。

キーノートの看板も良く見ると七角形

キーノートの看板も良く見ると七角形

レジストレーションのカウンターも上から見るとちゃんと七角形となっており、こんなところにもこだわりを感じる。

上から見るとレジストレーションカウンターも七角形

上から見るとレジストレーションカウンターも七角形

そのカウンターも、3日目の午後に終了ということで早々に解体され撤収されていた。

カウンター撤収も仕事が速い

カウンター撤収も仕事が速い

最大の不安要素はHuaweiとトランプ政権の対立?

全体的に中国のエンジニアのために最大限の配慮と実績の露出を狙って行われたという印象は昨年のKubeCon Chinaと変わらなかった。KubeCon Chinaに関する不安要素は、Huaweiに対する米国政権からの圧力だろう。今のところはあくまでもハードウェアベンダーとしてのHuaweiに対して規制が行われようとしているが、それがHuaweiが開発を支援するソフトウェアやHuaweiのエンジニアの貢献に対する圧力に拡大される可能性がないとは言い切れない。

別の機会にHuaweiの社員をつかまえて、その点について率直に訊いたところ、「1980年代の日米貿易摩擦の時に日本車はアメリカでバッシングされただろう? でも日本はそこから立ち直った。我々も同じように立ち上がるよ」というコメントを得た。

すでにHuaweiグループの北米にあるリサーチ部門のFutureWei Technologiesが大量解雇を行い、バルセロナのKubeConでも参加予定だったHuaweiのエンジニアがキャンセルを余儀なくされたというように、現実に大きな影響が出ている。来年のKubeCon ChinaでHuaweiがどの程度の活動を行うのか、興味深く注視したい。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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