現場が求めるOSS管理ツールとは?

2008年10月7日(火)
北岸 隆史

主要ツールの比較ポイント

 本連載では、主要なオープンソースプロジェクト管理ツールをいくつか選択して、それらを中心に比較検討を行っていきます。今回、対象としてピックアップしたツールは以下の通りです。

 1つ目はコミュニケーション系のツールです。具体的には課題追跡(Issue Tracking)機能および、情報共有・伝達機能をベースとしているツールです。今回比較するツールは、以下の2つです。

・Redmine
・Trac

 2つ目は工程管理系のツールです。具体的には、ガントチャートを中心に、スケジュールやリソース管理をターゲットにしているツールです。今回比較するツールは、以下の2つです。

・GanttProject
・OpenProj

 3つ目はエンタープライズ系のツールです。具体的には、複数のプロジェクトの情報を、横断的・縦断的に管理することを可能にしようとするツールです。今回比較するツールは、以下の2つです。

・dotProject
・]project-open[

 上記のツールについての情報を整理し、ツールそのものに関する部分(動作形態や記述言語、データベースの種別など)と、そのツールがプロジェクトで使われる際の各種機能の部分について項目を比較しました。比較結果は、こちら(http://www.thinkit.co.jp/images/article/138/1/13811.zip)からダウンロードできます(13811.zip/242 KB)。なお、原稿執筆時点(2008年9月)での最新のstableバージョンに関する情報を記載しています。

オープンソース管理ツールの比較

 図3では機能の各項目に関しては、原則各ツールの基本機能として提供され動作するものを「◎」とし、別途プラグインなどが必要とされるような場合や、機能の一部分のみ実現されているような場合には「△」としています。ただし、ツールごとに機能のとらえ方や実現方法が異なりますので、同じ「動作する機能」であっても異なるツールでまったく同じことができるとは限りません。

 対応する機能がないと考えられるものについては「×」としていますが、すべての拡張機能・プラグインなどの組み合わせを網羅した動作確認は行っていませんし、各ツールの機能も順次拡張されていくと思われますので、実際に利用を検討する場合にはプロジェクトの必要に応じてさらに独自で調査してください。

 次回以降、おのおののツールについて、もう少し詳しく掘り下げていく予定です。ツールのインストール方法や画面操作などよりも、ツールの実現する機能がプロジェクトのニーズに対してどのように貢献できるか、またその際の課題や懸念として考えられることは何か、といった視点での考察・比較検討をしていきます。

 なお、本稿の執筆にあたって、以下を参考にしています。

フレデリック・P・ブルックス,Jr.『人月の神話-狼人間を撃つ銀の弾はない』ピアソン・エデュケーション(発行年:1996)

Project Management Institute編『A Guide To The Project Management Body Of Knowledge (PMBOK Guide)』Project Management Institute(発行年:2004)

図3の一覧中に記載した各種ツールのWebサイト(アクセス:2008/09)

スプリームシステムコンサルティング株式会社 。シニアコンサルタント。プロジェクトのトラブル予防、エンジニアの生活向上のための活動として、UML、オブジェクト指向技術、各種メソドロジなどの活用を現場で支援。近年は、全体視点からの計画・段取りや人間系のコントロールが重要・不可欠との認識から、プロジェクトマネジメント体系の現場への適用を推進。PMAJ会員、米PMI会員。PMP。http://www.supreme-system.com

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