モバイルWeb構築の最新潮流 4

モバイルWebに新たな可能性もでてきた

モバイルWebに新たな可能性もでてきた

 日本での展開は未定ですが、Googleの携帯電話向けプラットフォーム「Android(http://code.google.com/android/)」を搭載した、グーグルフォン第1号である「T-Mobile G1(TM)(http://www.t-mobileg1.com/)」がつい先ごろ登場しました。

 今後モバイル向けのオープンなプラットフォーム「Android」では、Android OSを搭載したさまざまなコンセプトモデルが登場してくることも予測でき、日本ではNTTdocomo、KDDIも開発に参加しています。独自のWebブラウザ(G1はChrome Lite)で、モバイル向けサイトを見せる端末がでてくる可能性は大きいでしょう。

 iPhoneも新たなモバイルWebの方向として、おもしろい存在です。iPhone向けの表示に最適化したページを作成し、提供しているサイトもあります。通常の携帯画面よりサイズが大きいこと、そしてPCサイトより情報を整理しワンカラムで表示することで、意外に見やすいものとなっています。ここにもモバイルサイトのインターフェースを考える上で、新たな可能性を感じることができます。

 第4世代携帯(4G)に関しては、通信スピードが速くなるだけではなく、SIMロック解除の規格が導入される予定もあります。そうなると、キャリアごとに決まった端末の必要はなくなり、海外メーカーにとっても日本市場参入へのチャンスが広がります。新たなモバイル向けブラウザを持つ、Android携帯や海外携帯が一気に広まってくる可能性もあるので、この動きには目が離せないでしょう。

 海外の携帯では独自のコンセプトを持つ端末も多く、例えば、イスラエルの「MODU(http://www.modumobile.com/)」は、ユーザーや目的によって、外身や機能をジャケットのように着せ替えられる携帯です。その日の気分で、持ち歩く携帯を変えたりもできます。モバイルWebへの考え方も、日本のいわゆる「ケータイ」という文化とは大きく異なっています。

モバイルサイトの可能性と未来

 このように新しいコンセプトを持つ携帯端末たちが、新しいモバイルWebの世界を展開してくる可能性もでてきています。モバイルの世界はますますおもしろく、さらに市場が世界にまで広がっていく予感がします。しばらくは話題にも事欠かないでしょう。

 それと同時に、モバイルのWebブラウザもさまざまに変化や多様化していくことが予想され、PCのように標準化していけるのかというと、逆に先が見なくなったというのが正直なところです。

 おそらくさまざまなスペックの携帯端末が混在する混迷した状況が、しばらくは続くでしょう。この点に関しては、今のモバイル制作の厄介な作業でもある端末対応が、ますます厳しいことになっていく可能性もあります。モバイル制作では端末対応が参入障壁になっていることが実際多いのです。この問題は解決しておきたいところです。

 とはいえ、画面解像度やブラウザのスペックも上がり、さらに通信スピードも破格に速くなるなど、Webでの表現力がPCに劣らないスペックを持つようになるのも時間の問題です。また、iPhoneやG1などの新しい携帯ブラウザのUIが、今後のモバイルサイトの視覚的な表現のあり方にも大きく影響を与えていきそうです。

 そして、コンテンツのリッチ化やインターフェース・デザインの世界へ、一気に突入するのではないでしょうか。モバイルのWeb制作にもクリエイティビティが十分に発揮できるようになれば、Webデザイナーたちの注目度も増し、モバイルサイトのデザイン・クオリティーも上がっていくことでしょう。

 モバイルWebのこれからは、インフラや端末の進化、新しいモバイルOSやブラウザ、海外端末の参入など、さまざまなファクターが入り交じって、ますますおもしろく、エキサイティングになっていきそうです。モバイルWebの可能性は、まだまだ大きく広がっているのです。

 なお、本稿の執筆にあたって、以下を参考にしました。

「ケータイWatch【WIRELESS JAPAN 2008】(http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/event/41015.html)」(アクセス:2008/10)

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