第13章 Wordをさらに使いこなすために
本書では,技術文書を効率的に執筆するためのWordの利用法を述べてきた.そして,図表番号の参照を改善するために,スタイル区切り導入した.著者らを含め,Wordの仕組みを正しく学習する機会に恵まれなかった人にとっては,非常に新鮮に映ったのではないだろうか.
計算機に対して苦手意識を持っていないと,Wordのようにある程度UIが整っているソフトウェアであれば何となく雰囲気で使ってしまう.しかし,それによってWord本来の使い方を無視し,時間と労力をかけて,思い思いの使い方でやりくりしてしまっていたのである.Wordの使い勝手に関して,使い難いという声の多くは,Wordを正しく使っていないことに起因していたのである.もし,Wordに興味を持ち,更に使いこなしたいと考えたのであれば,Wordに関する書籍を通して読むことをお勧めする.きっと知らなかった世界が開けることだろう.
本書では,図表の挿入については簡単にしか触れなかった.詳しく説明しようとすると,これもかなりの労力が必要になる.また,それでも思った通りの配置できるとは限らないので,今回は最低限の紹介に留めた.しかし,図表に関する膨大なオプションがあるので,じつはWordの図表が……という相談事は,それらのオプションで解決できる場合が多々あることは知っておいて頂きたい.
また,本書ではフィールドについてはほとんど説明をしなかった.相互参照に関しても,ブックマークには触れなかった.もしかすると,これらの効率的な利用方法を知っている読者もいることだろう.そのような機能やそれによる生産性の向上について情報をまとめ, Wordユーザ界隈を盛り上げていただければ,非常に良い相互作用が生まれるだろう.それこそがコミュニティの好ましい姿である.Wordが技術文書の作成に適しているかと問われれば,私はそうは思わない.技術書界隈が盛り上がってくればWordにも技術書作成用の機能が加わるかもしれないし,それによって生産性が向上するのであれば,皆が幸せになるだろう
(この項、了)
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この記事の筆者
国立大学,高専,大手自動車関連企業において,教育および研究開発に従事し,圧縮性/非圧縮性流れや微細な気泡を含む流れのシミュレーション方法の開発とGPUによる高速化を実施した経験を有する.専門は数値流体力学,混相流工学,ハイパフォーマンスコンピューティング.開発にはFortran 2003/2008, C/C++, Python, CUDA C/Fortranを利用している.
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