ピンチをチャンスに! 英語が聞き取れないときの対処法

2021年12月23日(木)
山口 秀子(やまぐち ひでこ)

はじめに

目の前で話している人の英語が聞き取れない…どうしよう…と困ってしまった経験はありませんか。今回は、そんなピンチにも思える状況をうまく乗り切るための、便利な表現を紹介します。

謙虚な日本人は、英語が聞き取れないのは自分の英語力が低いから…なんて思ってしまいがち。でも、聞き取れなかった言葉を聞き返すのは全く失礼なことではありません。むしろ、聞き取れたふりをしてごまかしたり、適当に答えてしまう方が失礼で、ビジネスの場面では後々大問題にもなりかねません。

分からなかったら、もう一度言ってもらえばOK! 早速、便利なフレーズを覚えていきましょう。

1. 聞き返す表現

相手が言った言葉が聞き取れなかったとき、咄嗟にどうしよう! と思ったら、

Sorry?

と言いましょう。語尾を上げて言うのがポイントです。この一言で「すみません、もう一度言ってください。」と伝えることができますよ。

次も、同じようなニュアンスで使うことができます。

  • Pardon?
    (何とおっしゃいましたか?)
  • Excuse me?
    (すみません、もう一度言ってください。)

もうちょっと丁寧に聞き返したいときには、

  • I’m sorry, I couldn’t catch that.
    (すみません、聞き取れませんでした。)
  • Could you say that again?
    (もう一度言っていただけますか?)

と伝えることもできますよ。

ちなみに、「何て言ったの?」という意味でWhat?と言ってしまうのは、ビジネスの場面では少し失礼に聞こえる可能性があるので、気をつけましょう。I’m sorry, what did you say?のように、しっかりと文章で質問した方が良いでしょう。

話の一部は聞き取れたけど…というときには、ピンポイントで確認できる表現を使いましょう。

  • I couldn’t hear the word before/after …
    (〇〇の前/後が聞き取れませんでした。)
  • What did you say before/after … ?
    (〇〇の前/後には何とおっしゃいましたか?)

会話では、タイミングを逃すと聞き返しにくくなってしまうことも。簡単なフレーズから覚えて、咄嗟の場面でスムーズに使えるようにしておきたいですね。

2. 意味を確認する表現

次に、相手の言葉は聞き取れたけど、その意味を確認したいときに使える表現です。

例えば、”The schedule is TBD.”と言われたけど、TBDの意味が分からない場合は、

What does it mean?
(どういう意味ですか?)

または

What does TBD mean?
(TBDはどういう意味ですか?)

と聞けばOK。TBDは、To Be Determinedの頭文字をとった略語で「未定である」ことを表します。ビジネスEメールや書面上でよく使われるのですが、会話で聞くことも多いですよ。

このように、聞き取れても単語の意味が分からない…ということはよくあるので、What does it mean?と意味を確認し、しっかり相手の話を理解できるようにしたいですね。

3. 意図を確認する表現

相手の意図を確認したいときには、

What do you mean?
(どういう意味ですか?)

と聞きます。

例えば、同僚から突然”I will not come to the office next month.”(来月はオフィスに来ません。)と告げられたとしましょう。相手の予定や都合を知らず、その意図も分からない場合は、

What do you mean?

と聞いて、より詳しい説明を求めることができます。「家庭の事情で、来月はリモート勤務の予定だから。」や「来月は帰国する予定だから。」など、理由を説明してくれるでしょう。

What does it mean?(意味の確認)とWhat do you mean?(意図の確認)は似ていますが、ニュアンスが違うので、うまく使い分けられるように覚えておきましょう!

4. 相手の発言を繰り返して
自分の理解が正しいか確認する表現

少し上級編ですが、相手の言葉を自分が正しく理解できているか確認する表現も紹介します。

  • Is my understanding correct that …?
    (…という理解で合っていますか?)
  • You’re saying (that) …, is that correct?
    (あなたは…と言われている、という理解で正しいですか?)
  • Correct me if I’m wrong, but do you mean…?
    (間違っていたら訂正していただきたいのですが、…ということですか?)

例えば、相手の「ソフトウェアの開発が予定より1週間遅れている。」という発言について確認したい場合、話の文脈によって、次のような確認をします。

Is my understanding correct that the software will be completed by the end of next week?
(ソフトウェアは来週末までには完成するという理解で合っていますか?)

You’re saying that the software is not yet ready for the test next week, is that correct?
(ソフトウェアの完成が来週の試験には間に合わないと言われている、という理解で正しいですか?)

Correct me if I’m wrong, but do you mean that we need to delay the rest of the schedule?
(間違っていたら訂正していただきたいのですが、今後の予定も遅らせる必要があるということでしょうか?)

これらの表現も使いこなせると、とても便利ですよ。

5. 電話で聞き取れないときの対処法

相手の口の動きや表情が見えない電話での対応は、難しく感じますよね。海外からの電話だと余計に電波が悪かったり、雑音が入ったりで、聞き取りづらい条件が増えてしまうのも事実です。

私自身も新卒の頃、エチオピアからかかってきた電話に出てしまい、訛った英語と電波の悪さでほとんど聞き取れず、上司に「エチオピアの方から電話がかかってきました」と伝え、「誰から?」と聞かれても「分かりませんでした」としか答えられず、怒られた苦い経験があります。

電話での対応は慣れも大切ですが、決まったフレーズを覚えておけば、困る場面にもある程度対応できるようになります。いつも通りに電話に出て英語が聞こえてきたら…頭が真っ白になりそうになるかもしれませんが、落ち着いて、次の2点を確認しましょう。

  • 相手が誰なのか?
    May I have your name (again), please?
    ((もう一度)お名前を教えていただけますか?)
    Could you tell me the name of your company (again)?
    ((もう一度)御社名を教えていただけますか?)
  • 誰と話したいのか?
    Who would you like to speak to?
    (誰宛のお電話でしょうか?)

用件を確認するために、

How may I help you?
(ご用件は何でしょうか?)

と聞くのも良いでしょう。

相手の社名や名前が聞き取れない場合は、スペルを確認するのがいちばんです。

  • Could you spell it for me?
    (そのスペルを教えていただけますか?)
  • Could you spell your name for me?
    (お名前のスペルを教えていただけますか?)
  • Could you spell your company name for me?
    (社名のスペルを教えていただけますか?)

例えば、ABC社なら”A for Apple, B for Brazil, C for China”のように丁寧に答えてもらえることが多いですよ。

また、電話で相手の声が聞こえづらいときには、まず素直にそれを伝え、どうして欲しいかを伝えましょう。

  • Sorry, I’m having trouble hearing you.
    (すみません、お声が聞き取りにくいです。)
  • I have bad reception here.
    (こちらの電波状況が悪いようです。)
  • Could you speak a little louder?
    (もう少し大きな声で話していただけますか?)
  • Could you speak more slowly?
    (もう少しゆっくり話していただけますか?)

それでもどうしても聞き取れないときは、他の人に対応してもらうのも手です。

  • Hold on, please.
    ((電話を切らずに)少々お待ちください。)
  • I’ll put you through to my colleague.
    (私の同僚におつなぎします。)

このようにきちんと説明してから、他の人に助けを求めるようにしましょうね。

おわりに

今回は、ピンチをチャンスに変える、英語が聞き取れないときの対処法を紹介しました。

聞き取れないときは聞き返す、自分の理解が正しいか分からないときは確認する、というコミュニケーションの基本も、言語が変わると難しく感じてしまうかもしれません。

今回で紹介した表現を使えば、英語の会話で困る場面もうまく乗り切ることができ、会話をより楽しめるようになりますよ。まずはSorry?Could you say that again?などの簡単な表現から、少しずつ覚えて使いこなしていきましょう!

最後に、今回で紹介した表現を一覧にまとめておきます。いざというときに、ぜひお役立てください!

聞き返す表現
Sorry? すみません、もう一度言ってください。
Pardon? 何とおっしゃいましたか?
Excuse me? すみません、もう一度言ってください。
I’m sorry, I couldn’t catch that. すみません、聞き取れませんでした。
Could you say that again? もう一度言っていただけますか?
I couldn’t hear the word before/after ... 〇〇の前/後が聞き取れませんでした。
What did you say before/after … ? 〇〇の前/後には何とおっしゃいましたか?
意味を確認する表現
What does it mean? どういう意味ですか?
意図を確認する表現
What do you mean? どういう意味ですか?
理解が正しいか確認する表現
Is my understanding correct that …? …という理解で合っていますでしょうか?
You’re saying (that) …, is that correct? あなたは…と言われている、という理解で正しいですか?
Correct me if I’m wrong, but do you mean…? 間違っていたら訂正していただきたいのですが、…ということですか?
電話対応で使える表現
May I have your name (again), please? (もう一度)お名前を教えていただけますか?
Could you tell me the name of your company (again)? (もう一度)御社名を教えていただけますか?
Who would you like to speak to? 誰宛のお電話でしょうか?
How may I help you? ご用件は何でしょうか?
Could you spell it for me? そのスペルを教えていただけますか?
Could you spell your name for me? お名前のスペルを教えていただけますか?
Could you spell your company name for me? 社名のスペルを教えていただけますか?
Sorry, I’m having trouble hearing you. すみません、お声が聞き取りにくいです。
I have bad reception here. こちらの電波状況が悪いようです。
Could you speak a little louder? もう少し大きな声で話していただけますか?
Could you speak more slowly? もう少しゆっくり話していただけますか?
Hold on, please. (電話を切らずに)少々お待ちください。
I’ll put you through to my colleague. 私の同僚におつなぎします。
著者
山口 秀子(やまぐち ひでこ)
株式会社グローレン
株式会社グローレン マネージャー。学生時代、ガーナに1年間留学。外資系自動車メーカーにて、南アフリカへの2年の駐在やグローバルプロジェクトのPMO、役員通訳を勤める。日系商社にて海外メーカーとの取引・交渉も経験。現在は、ビジネス英会話等のレッスンカリキュラム・教材作成を担当し、オンライン学習プログラムMOVAEICを企画・運営。TOEIC985点。

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