英語が聞き取れない理由はここにあり!
はじめに
「読めば分かるのに、聞くと分からない!」という経験をしたことはありませんか。これは多くの英語学習者から聞かれる声です。映画を観たり、TOEIC等の資格試験勉強をしたりしているときには聞き取れなかったけれど、「文字でその文章を確認したら、単語を全部知っていた」ということが実際にあります。
なぜ、耳から英文を聞いても理解できないということが起こるのでしょうか。理由は複数ありますが、主な理由として下記が挙げられます。
- 英語特有の音を知らない、または慣れていない
- 英文を聞く際のスピードに慣れていない
- 必要な単語や文法の知識が不足している
単語や文法は英語を理解すること、そして聞き取るためにとても大切です。これらが足りない人は、単語の知識を増やしたり、文法の見直しを行いましょう。
英語は日本語に比べて、早口に感じることが多々あります。早口で話せば良いということではありませんが、早口で話す人の英語を理解するために自分自身も早口で話す練習をして、その速度に対応できるようにしておきましょう。自身も速く話すことができれば、その速度の文を聞き取れるようになります。
そして、早口で話せるようになるためには、英語特有の音を知り、慣れることも必要です。また、英語特有の音を知ることは、英語の発音の仕組みを知ることにも繋がります。
今回は、その英語特有の音を確認して、実際に練習してみましょう。
英語が聞き取れないのは耳のせいではない
英語が聞き取れないのは、耳のせいではありません。重要なことは、英語を聞き取って理解するために必要な知識があるか、そして練習を繰り返し音に慣れることができるかです。
私は小学校5年生のときにベルギーで暮らすことになりましたが、全く英語が話せない、むしろ当時は今とは異なり、英語に触れる機会がほぼない時代に突然海外へ行くことになりました。当然ながら、英語の知識などまったくなく、英語を聞いたことさえありませんでした。
最初は誰に何を言われても理解できず、自分が言っていることも意味を成さない単なる音でした。しかし、単語や文法などを日々勉強し、ひたすら人が言っていることを真似することで、徐々に英語を聞き取り、話せるようになりました。
では、今ではどのような英語でも理解できるのかというと、そうではありません。ひと言に英語と言っても訛りが強い場合もあれば、単語の発音が異なることもあります。
例えば、インド人の中には、話す英語の癖が強い人がいたりなど、英語圏ではない人の英語は母国語の影響を強く受けて、聞きとりにくい場合もあります。そのようなときは、それらの発音を聞いて真似することで理解できるようになります。もちろん沢山の種類の英語があるため、イギリス英語やアメリカ英語の発音をしっかりと練習し、必要に応じてそういった別の英語にも慣れるようにすると良いでしょう。
単語の発音でも異なることがありますが、これはイギリス英語とアメリカ英語でも同じことが言えます。さらに言えば、アメリカ国内でも、場所によって発音が異なることもあります。
例えば「広告」を意味するadvertisementは、分かり易くカタカナ英語で記載すると、アメリカ英語とイギリス英語では下記のような発音の違いがあります。
・アメリカ英語
アドバタイズメント
・イギリス英語
アドバーティスメント
こういった違いが分かるかどうかで、英語を聞き取れるかも変わってきます。英語を聞き取れるようになるためには、文法や単語、英語特有の音といった知識を身につけ、実際に練習をすることが必要なのです。
英語特有の音(連結・脱落・同化)を
知れば英語を聞き取れる!
日本語の文法や単語は複雑と言われますが、発音は書かれていることをそのまま言えば良いので、それほど難しくはありません。しかし、英語は音の変化があるため、それらを知り、言い慣れない限り、英語を聞き取ることは難しく感じてしまいます。
今回は、その英語特有の音3つ(連結・脱落・同化)を詳しく見ていきましょう。
英語特有の音(1):連結
まずは音の「連結」です。連結とは、単語からも分かる通り、音と音がつながるということです。この連結が文中に発生することで、2つの単語がつながり「1つの単語」に聞こえるため、頭の中にある単語リストにない単語として認識されてしまうのです。結果的に、本来は知っている単語でも、音が連結することで「分からない」と判断してしまいます。
連結のルールは、細かく見ていくといくつかあるのですが、今回は下記のルールを覚えておきましょう。
【連結のルール】
子音で終わる単語と母音で始まる単語の音がつながる
連結の例を見てみましょう。下記の3つの例をご覧ください。
① in a
② take it
③ tell us
これらはすべて前の単語が子音で終わり、次の単語が母音で始まっています。①のin aは、inとaを別々に読むと「イン ア」となります。しかし、連結のルールに沿って読むと「イナ」となります。
同じように、②は「テイキット」、そして③は「テラス」となります。①は、人によっては「稲?」と聞こえてしまったり、③はレストランにある「テラス」だと思ってしまう可能性もあります。
冗談のように聞こえますが、英語特有の音が分からない状態で英文を聞いた場合、聞き取れないかもしれないという不安や緊張等もあり、「え、今“稲”って言った? どういうこと?」と、さらに混乱してしまうこともあります。
それでは、実際に①から③までを動画で聞いて、練習してみましょう。
最初に一度、単語がゆっくり読まれます。次に、連結した音が2回流れます。最後に、連結した音が含まれる例文が2回読まれます。
これらを聞いたら、音声に続いて同じように発音してみましょう。例が短いので、何度か繰り返し聞いて練習してみると良いでしょう。
英語特有の音(2):脱落
2つ目の英語特有の音は、音が落ちてしまうという「脱落」です。これも英語では頻繁に起こる音の変化で、脱落が分かることにより、音が落ちても正しい単語を認識できるようになります。
音の脱落で覚えておきたいルールは下記のとおりです。
【脱落のルール】
子音で終わる単語と子音で始まる単語の音が同じ、または似ている場合、前の単語の子音が落ちる(脱落する)
これは私が英語を話す際に持つイメージですが、子音同士が並ぶと単語の角が尖っているようで、それぞれがぶつかってしまい、言いにくいという印象があります。しかし、音の脱落があると、その尖った角が削られ、言いやすくなります。
これも、わかりやすく動画で例を見ながら、下記の3つの音の脱落を確認し、練習してみましょう。
流れは先ほどと同じです。① good time
② find the
③ told me
音の脱落では、注意すべき点が1つあります。「音が脱落して発音しない場合でも、その音の場所は残っている」ということです。イメージとしては、音は出さないけれども口パクするような感じです。①のgood timeではグッ(ド)タイムのドが脱落するため「グッタイム」となります。「グタイム」とはならないので注意しましょう。
英語特有の音(3):同化
最後は「同化」です。もし、いきなり「ワッチョネー?」と言われたら何と答えますか。「ワッチョネーってなんだ!?」と思われた方でも、What's your name?は分かるでしょう。
この音の変化は、アメリカ英語特有の音の変化でもある「同化」により起こります。同化に関しては、使わなければいけないということはありませんが、アメリカ英語を理解する上では必要な音の変化なので、覚えておくようにしましょう。
【同化のルール】
同化は、単語と単語を一緒に言った場合、綴りからは想像できないような音の発音となる
特殊なものもありますが、特に前の単語が「s」「t」「d」で終わり、次の単語がyで始まる場合(主にyou)に起こる傾向にあります。
早速、下記の3つの例を動画で確認して、音の同化を練習してみましょう。
① want to
② was your
③ did you
アメリカでは、want toと同様に、going toがgonna(ガナ)となるので覚えておきましょう。ちなみに、この2つは話す場所やシーンによっては砕けた話し方と捉えられる場合もあるので注意しましょう。
おわりに
今回は、特に英語特有の音(連結・脱落・同化)に焦点を当てながら、英語が聞き取れない理由を確認しました。これらの音の変化を練習するには、英文を聞いて真似する「音読」が最も効果的です。また、英語のスピードについていけない人には、音読で英文に慣れてから、速度を上げて音読する「速音読」がおすすめです。
単語や文法の知識を増やすことは英語を話す上で必要ですが、英語を聞き取れるようにするためには、今回紹介したような英語特有の音を理解することがとても大切です。
最初は認識している音と異なるため違和感があるかもしれませんが、ルールを知った上で繰り返し練習することで音に慣れ、今まで聞き取れなかった英語が聞き取れるようになります。英語を聞く際には、是非音の変化を意識してみてください!