連載 [第1回] :
異なる世代のエンジニアが語る「世代間ギャップ」とは新卒2年目と11年目のエンジニアが、お互いの仕事を通して感じた「ギャップ」を振り返ってみた
2023年9月12日(火)
東京丸の内に本社を構えるとあるIT企業。異なる世代のエンジニア社員達が働き方やコミュニケーションなどの様々な「世代間ギャップ」を語り合います。
働き方の変化
コロナ禍を経て、世の中的にも働き方の意識が変わってきましたね。実際に、どのような変化がありましたか?
- 田栗:入社前はテレワーク推しでした。体力的なことを考えると移動の発生しない働き方は魅力的ですが、入社してその価値観は変わりました。未経験で入社したので、着実に知識をつけて業務をスムーズに進めていくためには「出社して仕事したい」と思うようになりました。
例えば、チャットツールを使ってコミュニケーションを取ると、どうしても時間もかかってしまいます。文字にすると、より簡潔に伝えることを意識してしまい、聞きたかったことの本質が聞けなくなってしまいます。つまり業務のテンポが悪くなりますよね。なので、業務の馴染みやすさや仕事のしやすさでいうと対面でのコミュニケーションは重要だなと感じています。
豊田さんは、働く環境についてどのように感じていますか。
- 豊田:リモートワークの利点はいろいろありますよね。自分の時間や家族との時間が増えたりするので、良いこともたくさんあると思います。一方で、濃密なコミュニケーションを取りたいとき、創発的なことをするときは対面でコミュニケーションを取りたいと感じています。
仕事中のコミュニケーション
仕事中のコミュニケーションは、どのようなスタンスで行っていましたか? 下の世代にどのような話の振り方をしていたのでしょうか。
- 豊田:仕事中でも雑談することを意識していました。昨日飲みすぎた話とか(笑)。自分から仕事に関係のない話をよくしていたので、もしかしたら邪魔をしていたかもしれません。
- 田栗:全然邪魔ではなかったですよ! 実は豊田さんって今どきのトレンドをよくキャッチしていて、ギャップはまったく感じていませんでした。
- 豊田:ニュースはよく見ているので、世の中の新しい情報は常にキャッチするようにしているからですかね。あとはエンジニアリングな情報が好きなので、IT関連のニュースはよく見ています。
- 田栗:この間も新しいスマートフォンをスッと机に出してきて、ツッコミ待ちされてました(笑)。以前、「スマートフォンを壊した」という話を聞いていたので(笑)。
豊田さんは、元々そのような雑談のスタンスをお持ちだったのですね! コミュニケーションで、過去の経験や先輩から吸収したことがあれば教えてください。
- 豊田:実は、昔は孤独な環境で仕事をしていました。先輩エンジニアとまったく打ち解けられない期間が何年もありました。そのあとに出会った上司は飲みに行くコミュニケーションを大事にされていて、孤独な期間に比べて楽しく働けました。そこからは「コミュニケーションって大事だなぁ」ってすごく感じました。
仕事以外のコミュニケーションは意識しましたか?
- 豊田:いやぁ、気を使いますよね。やっぱり、ひと回り以上年齢が離れているので、「飲みに行こうぜ〜」と誘ったことはあまりないですね。断られるとダメージもありますしね(笑)。
- 田栗:僕としてはぜんぜん問題ないですけどね! 同期とたまに飲みに行くこともありますし。
仕事の進め方や考え方のギャップ
一緒に働いていて、このような進め方をするのか、このような考え方をするのかと感じた部分はありますか?
- 豊田:正直、仕事の面では田栗くんはめちゃくちゃエンジニアっぽいですよね。トラブルがあったときには、率先して自分で調べてくれて心強かったです。逆にギャップだなと感じたところは、飲み会の話にも繋がりますが、オンラインゲームでコミュニケーションを取っていて驚きました。オンラインで会話しながらゲームするなんて昔はなかったので。
- 田栗:豊田さんはトラブルへのアプローチの仕方が違いますね。圧倒的にITに対するバッググラウンドの知識量がぜんぜん違うので。僕はトラブルの表面的な部分にしか視点が行かないところを、豊田さんはいろいろな角度からアプローチしているので、経験量の多さを感じていました。
エンジニアとしての「これから」
一緒のプロジェクトが終了して、現在お2人はどのような案件に関わっていますか。
- 豊田:今の私のプロジェクトには20代がいないですね。ITの基礎知識があるベテランのメンバーが集まったプロジェクトなので、仕事のスピードが早いです。それぞれ裁量もあって進捗管理も細かく設定されていません。私としては後輩を指導する役割がなくなってしまったので、少し物足りなさを感じています。
- 田栗:僕は、入社4年目の先輩と2人チームでクラウド系のプロジェクトに参画しています。はじめは僕1人だけ先に入ったので、僕の方が知識量がある状態です。逆に豊田さんのような大黒柱だった存在がいないので、はじめは不安がありましたが、その分自分で考えて直接お客様に提案して、決定する機会が増えてきました。「自らお客様に提案する」という機会を与えてもらえるようになったのは豊田さんのおかげかもしれません。
これまでの総括として、先輩から学びになったことは何ですか。
- 田栗:ITの基本知識を得られたのは豊田さんとのプロジェクトだったと感じています。本当に基本的なことですが、例えばネットワーク周りだとTCPだったりSNMPだったりをたくさん教えていただきました。監視だったので、いろいろなインフラやネットワークを網羅する必要があり、システム監視を経験したことでシステム全体を考える良い機会になりました。
豊田さんとしては、もっと田栗さんと一緒に仕事をしたかったですか?
- 豊田:田栗くんとはプロジェクトで5ヶ月間ほど一緒でしたが、飲み込みが早く、いろいろなチャレンジをしてくれてとても助かっていました。また一緒に仕事がしたいですね。田栗くんはまだ若いですし、まだまだ貪欲に技術を吸収する時期だと思うので、いろいろなプロジェクトを経験してほしいです。
今後「やってみたい」と考えていることがあれば、教えてください。
- 田栗:今はどんどん知識を身につけていきたいです。特にクラウドの知識をさらに学んで、いずれは開発の方にもトライしていきたいですね。最終的にはインフラと開発が両方できるエンジニアを目指していきたいと考えています!
- 豊田:自分が若いときは目の前の仕事に精一杯で、「将来どうなりたいか」なんてあまり考えていなかったように思います。その反面、田栗くんは明確なビジョンを持っていて素晴らしいですね。クールな見た目で熱いビジョンを持っている田栗くんの今後が楽しみですし、また一緒に仕事ができると嬉しいです!
* * * * *
5ヶ月間、プロジェクトで仕事を共にしてきたお2人は、お互いに「世代間ギャップ」を感じつつも違和感は抱えておらず、コミュニケーションの中ですり合わせてきた様子が垣間見えました。リモートで仕事をする機会も増えましたが、オフラインでのコミュニケーションを重視してきたお2人だからこその信頼、理解と若手の成長があったのかもしれません。
また、会社も採用する人材に求める要素が「技術ができる人材」だけでなく「キャリアを描ける人材」にも重きを置き始めてきたことで、新卒1年目から明確なビジョンを持つ人も増えてきました。ただ技術を習得させていくことだけでなく、新人が描いているビジョンに対してどのように導いていくのかも重要になっていきそうですね。
次回もお楽しみに!
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