連載 [第3回] :
異なる世代のエンジニアが語る「世代間ギャップ」とは新卒とエンジニア歴14年目の世代を超えた対談ー 世代間ギャップを感じさせない協力関係
2023年11月22日(水)
東京丸の内に本社を構えるとあるIT企業。異なる世代のエンジニア社員達が働き方やコミュニケーションなどの様々な「世代間ギャップ」を語り合います。
異なる世代のエンジニアが集い語り合う「エンジニア世代間ギャップ」対談企画。第3回目の今回は、共にデジタル推進室に所属し、同じプロジェクトにも参画している新卒とエンジニア歴14年目の2人に、お互いの印象と世代間によるギャップについて語っていただきました。
登場人物紹介
さっそくですが、お2人の自己紹介をお願いします!
- 山口:新卒で雑貨業界に就職したのち、20代後半にIT業界へ転職しました。その後もう一度転職をして今の会社に入社し、もうすぐ10年になります。最近ではエンジニアのお仕事以外にも執筆関連のお仕事も行っています。趣味は山登りです。家で猫を2匹飼っているので、毎日猫たちに癒されています!
- 林:2023年4月にこの会社へ新卒入社しました。大学時代は言語学を勉強していました。IT業界を志した理由は父の影響です。IT業界で仕事をしている父の背中を見ていくうちに、パソコンに詳しい父がかっこよく見えたことがきっかけでした。今は初めての案件でITの知識を絶賛習得中です! 趣味は父の影響もあってゲームで、休日は2人で一緒にゲームをしていることもあります。
2人の出会い
今は同じ部門で同じプロジェクトに参画しているとお聞きしました。
- 山口:そうです。林さんのいる部門には社内公募で異動してきました。その後、同じプロジェクトに参画して、ようやく人となりがわかってきたって感じですね。林さんは自分発信型で、貪欲にわからないことを確認してくれるのでいつも助かっています。普段は「自分から後輩の話を聞いてあげないと!」って思う方なのですが、林さんに対しては「放っておいても良いかな」っていう感覚になるくらい、安心感があります。
- 林:意外な評価に困惑しております(笑)。初めてのプロジェクトで分からないことだらけなので、チームメンバーに質問をしないとタスクが進みません。発信することは得意ではないので、必要な動きができているか不安でした。実はつい先日、相談や質問の仕方でプロジェクトリーダーから「どこまでわかっていて、どこからわからないのかを整理してから聞いてほしい」と指摘されたばかりなんです。正直「何がわからないのかがわからない」というのが本音なのですが、指摘されたことを意識して頭の中で自分なりに整理した状態で質問するようにしています。
- 山口:林さんはもともと発言量が多いので、あとは事前に頭の中で整理して報告や相談のクオリティを調整するだけですね。安心して仕事を任せられます。これからさらにお互いのことを知りつつ、関係構築が進めばお互いにもっと質の良い仕事ができる状態になるのではないでしょうか。
いいですね! 大先輩の山口さんと一緒に仕事をしていて、学びになるポイントなどあれば教えてください。
- 林:毎日学ぶことだらけです! 見て吸収できるほど仕事を理解しているわけではないのですが、情報処理の仕方やお客様とのやりとりを見ていると「仕事ができる人なんだろうなぁ」としみじみ感じます。テキパキとお仕事をしている反面、内部の打ち合わせでは山口さんが場を盛り上げてくれる瞬間がたくさんあります。山口さんが部門に異動してきてから、部門内も明るくなったように思います!
実はプロジェクト開始前から
お互いの存在を知っていた!?
お互いの第一印象を教えてください。
- 山口:実は、新卒社員向けのビジネスマナー研修の講師を担当したときに、質疑応答のタイミングで林さんから質問をもらった記憶があります。「すごくハキハキと大きな声でしゃべる子がいるな」と。持論なのですが、自分の意見を大きな声で伝えられる人は自信を持って発言できる人だと思っています。林さんは自分の意見をはっきり大きな声で言えて素敵ですね。
- 林:確かに、自分の考えに自信があると意見ははっきり言えるタイプかもしれません。でも、自信がないことは小さい声でゴニョゴニョしゃべってしまうこともあります。山口さんは、上司にも自分の意見をしっかり伝える方だなという第一印象です。ビジネスマナー研修のときに、山口さんが上司の方と意見を言い合っている姿を見ていたので、たくましい方だなと。間違っていることは間違っていると、はっきり伝えられる山口さんのお仕事に対する姿勢が素敵だなと思いました。
今の時代、オンプレを経験しないで
クラウドを経験するのが当たり前!?
今のプロジェクトではどのようなお仕事をしているのですか?
- 山口:今使っている技術はAzureです。もともとオンプレで提供していたサービスをクラウドにリフトするプロジェクトがあり、さらにそこからクラウドシフトしていくプロジェクトが今の私たちの仕事です。つまりクラウドの最適化ですね!
- 林:私たちの会社としては詳細設計をしており、担当しているサービスの技術仕様を確認してパラメーターシートを作成しています。
- 山口:Azureは独自の仕様があり、参考になるドキュメントがネットに少ないので、初めてのプロジェクトから難しいことを経験していて「すごいなぁ」と感心しています。
- 林:配属されて最初のプロジェクトでクラウドサービスの技術を経験できることも嬉しいのですが、オンプレも経験として積んでおきたいですね。チャンスがあればオンプレにもチャレンジしてみたいです。
プロジェクトの新卒教育は
「子供は地域で育てる」感覚と一緒
お互いにオンライン上のコミュニケーションで苦労していることはありませんか?
- 山口:経験を積んでいる分、私はオンラインで特に苦労したことはないのですが、若手だとコミュニケーションで困る人がいるのではと思います。相談したいときに実際隣にいるわけではないので、質問のタイミングとか伺ってしまいますよね。
- 林:コロナ禍の大学時代を経験してきたので、オンラインの会議ツールやチャットツールには慣れていたつもりでいました。ですが、今はわからないことだらけの毎日を過ごしているので、冒頭でもあった通り、相談内容の整理についつい時間がかかってしまいます。今の自分の課題ですね。
昔と今で後輩の指導方法に変化はありますか?
- 山口:私ってめちゃくちゃ厳しい反面、過保護なところがありまして。後輩が成功体験を積めるように登れる階段で課題を与えがちなので、私の想定以上に成長しない指導の仕方になってしまうことが多いです。現在のプロジェクトでは「新卒にその仕事をお願いしちゃうの!?」と思うほど、リーダーは難しいタスクをお願いしているんです。それを見て気付かされましたね。最近は1年目だと思わないように意識しています。林さんはこの辺り、どう感じているのかな?
- 林:何もわからない新卒が「これ対応しても良いの!?」という気持ちになりつつも、課題にチャレンジさせてもらっていますね。お客様が気を使ってくださっているなと感じることもあります。
- 山口:そうですね。昭和の「子供は地域で育てる」じゃないですけど、新卒教育は弊社だけでなく関わってもらうお客様にも若手のエンジニアを育ててもらおうと思っています。
- 林:ありがたいお話ですね。私がこのプロジェクトに参画する前に、昨年新卒だった方が現場を温めてくださっていたので、若手のエンジニアを教育する環境として整っていたのかもしれません。とてもありがたいです!
ベテランと若者の仕事に対する価値観
職場のコミュニケーションに対する価値観を教えてください。
- 林:私は自ら関係を構築することは苦手です。ただ、私たちの会社は対面のコミュニケーションも大切にしている会社なので、機会があれば足を運ぶようにしています。苦手だけど足を運ぶ目的としては、やっぱり「交流の場に行くことで得られるメリットもたくさんあるな」と感じているからです。今まで関わってこなかった先輩ともコミュニケーションが取れる機会にも繋がりますし、参加することで得られる情報もたくさんあると思っています。
- 山口:私も実は飲み会が苦手な方です。でも、昭和世代なので「先輩に誘われたら絶対参加!」のような精神は心のどこかにあるかもしれません。昔は、自分の顔と名前を覚えてもらうことを目的に交流の場に参加していました。今は飲みの場自体は気分が乗らなかったり、疲れていると行かないですが、リモートワークが中心なので可能な限りメンバーに会える場には顔を出すようにしています。
「やりたい仕事とやりたくない仕事」で仕事を選ぶことはありますか?
- 林:「やりたい・やりたくない」で仕事を選ぶことはしていませんが、「なにもわかならい」という意味でモチベーションが下がってしまうことが多々あります。今は与えられた仕事へがむしゃらに取り組み、納期までに絶対完了させるという意思の方が強いです!
- 山口:真面目な林さんらしいですね! 私は「やりたい・やりたくない」で仕事は選ばないかもしれません。「やりたくない」と思っていても、やってみたら意外と楽しく感じることもあると思いますし、「楽しさ」の可能性はつぶしたくないんですよね。
今後の2人のありたい姿
今のプロジェクトやご自身のありたい姿など、目標があれば教えてください。
- 林:今の不安な状態から、自信を持てている状態にしていきたいです。目標は、お客様や先輩から求められているクオリティに達するように日々努力していくことですね!
- 山口:今は、メンバーそれぞれが自分の担当するところをしっかり勉強している段階なので、今後は「メンバー全員が担当外の質問にも回答できる」、そんなプロジェクト体制にしていきたいですね。
お互いの存在を知っていた!?
クラウドを経験するのが当たり前!?
「子供は地域で育てる」感覚と一緒
* * * * *
お2人は世代間ギャップを感じさせない調和の取れたコミュニケーションを実現しています。コミュニケーションスキル、価値観、仕事のアプローチにおいて各自が独自の特徴を持ちつつも、共通して成長と柔軟性を重視し、プロフェッショナルとしての自己啓発を積極的に追求しています。
多くの場合、サポートする側とされる側の両者に世代間ギャップが存在します。しかし、お2人は各自の役割と担当する仕事の目的を冷静に考え、理解することで、この世代間ギャップを緩和し、より効果的で協力的な関係を築いているように思えます。この協力関係は、今後のプロジェクトの成功へと続いて行くことでしょう。
次回もお楽しみに!
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