連載 [第6回] :
異なる世代のエンジニアが語る「世代間ギャップ」とは新卒2年目と中途13年目のチームメンバー同士が語る世代間ギャップとは
2024年7月5日(金)
東京丸の内に本社を構えるとあるIT企業。異なる世代のエンジニア社員達が働き方やコミュニケーションなどの様々な「世代間ギャップ」を語り合います。
目次
- 1 登場人物紹介
- 1.1 さっそくですが、お2人の自己紹介をお願いします。
- 2 現在の働き方
- 2.1 現在お2人は同じ案件に参画されているのですよね。どのような案件で、どのような業務を担当しているのですか。
- 3 以前からの変化
- 3.1 これまで働いてきて、大変だった案件や思い出深い案件はありますか。
- 3.2 どのようにお客さまとの関係は変化したのでしょうか。
- 3.3 村山さんはお客さまと接する上でどのようなことに気を付けていますか。
- 3.4 杉岡さんは先輩の働きぶりを見て参考にしていることはありますか。
- 4 チームでのコミュニケーション
- 4.1 村山さんから見て、現在の若手についてどのように感じていますか。
- 4.2 杉岡さんはそうしたコミュニケーションの中で意識していることはありますか。
- 4.3 リモートワークが主流になって対面で会話をすることが少なくなった昨今ですが、オンラインコミュニケーションでの悩みはありますか。
- 5 エンジニアとして目指したい未来
- 5.1 今後は、どのような仕事にチャレンジしていきたいですか。
異なる世代のエンジニアが語り合う「エンジニア世代間ギャップ」企画。第6回目の今回は、現在同じ案件に参画している中途13年目のリーダーの村山さんと新卒2年目の杉岡さんへのインタビューです。ベテラン社員から見る現在のエンジニア像や、若手が持つリアルな考え方等、興味深いお話しを語っていただきました。ぜひお楽しみください。
登場人物紹介
さっそくですが、お2人の自己紹介をお願いします。
- 村山:中途で入社し、13年目になります。今までは更改・構築・維持保守など様々な案件を経験しました。現在は別チームではありますが、杉岡君と同じお客さまの統括を担当しています。部内の人の勧めで始めたのがきっかけで、最近は格闘ゲームにハマっています。
- 杉岡:2023年に新卒で入社し、現在2年目です。文系出身ですが、もとから機械を触るのが好きで、興味がありました。システムを自分で考えて組み立てる、ものづくり的な側面に魅力を感じエンジニアを志望しました。以前はお客様の社内システムの維持保守案件に参画し、現在は村山さんの下でお客さまのネットワークシステムの保守案件に参画しています。
現在の働き方
現在お2人は同じ案件に参画されているのですよね。どのような案件で、どのような業務を担当しているのですか。
- 村山:先ほど杉岡君が話してくれましたが、お客さまのネットワークシステムの運用・保守を担当しています。
- 杉岡:この案件に参加して何か月か経ちますが、運用・保守をしていく中で、とても大きなシステムだなと感じています。システムの全容をつかもうとすると膨大な情報量になってしまうので大変です。まだまだ全体を把握しきれていないので、頑張って勉強したいなと思います。
- 村山:僕はこの案件の立ち上げから参画しましたが、とても大変でした。今は杉岡君や社内の人が入ってきてくれましたけど、最初は僕とプロパーさんの2人で始まったプロジェクトで、今まで触ったことのない技術を扱う必要がありました。プロパーさん含め知識を持っている人が誰もいない中進めなければいけなかったのですが、そのプロパーさんが1か月くらいでそのプロジェクトから抜けてしまって、僕1人で進めていかなくてはいけなくなったのです。今までの経験を活かすことができない環境で、1人で頑張り続けるのは精神的にすごくきつかったですね。
- 杉岡:僕も以前参画した案件では、あまり知名度がない製品をメインで担当していたのでとても大変でした。知見のある人が回りに誰もいないので、自分ひとりで進めていかなくてはならなくて、必然的に稼働も上がってしまいました。今の案件でも、初めて触る製品を担当していますが、今回は調べる時間もあるし、質問できる環境もあるので、安心して進められているのが大きな違いですね。
- 村山:いやあ、そんな風に思ってもらえているなら頑張った甲斐があるというか、泣いちゃいそうですね(笑)。嬉しいです。
以前からの変化
これまで働いてきて、大変だった案件や思い出深い案件はありますか。
- 村山:どの案件も思い出深いですが、体力的につらかったのはバージョンアップなどで動いているシステムを触るときですかね。深夜作業もあったし、通信障害があったときは、それを解決するまで帰れないなんてこともありました。今はお客さま側も理解があるというか、見通しがついているのか、どこかのタイミングで区切りをつけてくれるので、そこまで大変な対応は少なくなりましたね。お客様と協力できるようになったのは、昔と変わったところだと感じます。
どのようにお客さまとの関係は変化したのでしょうか。
- 村山:あまり大きな変化はなかったように感じますが、優しくなったような気がします。理解があるお客さまが増えたのかもしれないですね。システムが大きくなると、その分社会への影響も大きくなります。通信障害なんて起こしてしまったら会社の尊厳にかかわりますしね。お客様のプライドもあって、すごくピリピリしてしまうのは仕方のないことでした。でも今はクラウド化が進んで可用性も上がってきているので、システム障害等も減ってきたように感じます。その分お客さま側にも余裕があるのだと思います。
- 杉岡:現在僕達が参画している案件は特にお客さまが優しいと感じています。以前参画した維持保守の案件は本番環境を触ることが多くあったのですが、手順がすごく厳しくて最初は戸惑いました。1つのコマンドを実行するにも再鑑の人がいたり、別でチェックリストが用意されていたりして、すごく丁寧に確認するんだなと思いました。それに比べると今回の案件はそこまで厳密なルールが用意されているわけではないので、今までやっていた人のミスが少なかったのかなと考えています。
- 村山:これはすごく良い着眼点で、実際にそれはあると思いますよ。ミスをしたときにそれをリカバリすることはもちろん大切ですが、そのミスが再発しないように手を打つ必要があります。チェックシートもそうした再発防止のために用意されているものだと思いますが、他チームで起きたミスの対策を横展開することもあり、その分工数が増えて動きにくくなってしまいますね。
村山さんはお客さまと接する上でどのようなことに気を付けていますか。
- 村山:僕は今一緒に仕事をしているお客さまのことを、エンドユーザーに向けて一緒に仕事をする仲間だと思うようにしています。システムをより良い物にするために一緒に考えてくれる仲間だから、良い関係を築いていきたいですね。そうすると問題が起こっても解決しやすいですし、何より働きやすいですよね。
- 杉岡:エンジニアって技術ばかりに目が行きがちかもしれないですけど、成果物をお客さまにレビューしていただいたりとか、日々の業務でも何かと連絡したりとか、コミュニケーションをとることは避けては通れないですよね。
杉岡さんは先輩の働きぶりを見て参考にしていることはありますか。
- 杉岡:先輩社員の方の仕事ぶりを見ていると、お客さまとの接し方や対応力がすごく高いなと感じることが多いです。技術については勉強したり調べたりすることでも身に着けられますが、そうしたコミュニケーションの部分は実際に現場に出てみたいと分からないものだと思います。僕は特にお客さまとの距離感を掴めていないので、先輩の仕事ぶりから学んでいきたいと思っています。
チームでのコミュニケーション
村山さんから見て、現在の若手についてどのように感じていますか。
- 村山:杉岡君をはじめとした最近の若手たちは、みんなセンスが良いなと感じることが多いです。自分が伝えたいことをちゃんと理解してくれていることが分かります。もし分からないことがあったら直接質問してくれるし、質問の仕方も上手だなと思います。
杉岡さんはそうしたコミュニケーションの中で意識していることはありますか。
- 杉岡:嬉しいですが、そんなに褒めてもらえると恥ずかしいですね。何か意識しているわけではありませんが、質問をするときは自分で仮設を立てることを心がけています。仮設を組み立てる中で理解を深めることもできますしね。もともとクリエイティブな仕事に憧れがあったので、自分の力にしたいという意識があるのだと思います。自分で考えて仕事ができるように、なんでも吸収したいです。
- 村山:人と話しているときに、ちゃんと伝わっているかな? と心配することはあると思いますが、最近の若手たちに対しては、あまりそう思うことはなく、会話が成立している実感を持つことができています。僕が若手のときに同じことができたかと考えると自信がないので(笑)。本当によくやっていると思います。
リモートワークが主流になって対面で会話をすることが少なくなった昨今ですが、オンラインコミュニケーションでの悩みはありますか。
- 村山:僕は正直感じていないですね。リモートワークが始まってすぐの頃は戸惑いましたけど、今はもうすっかり慣れて不自由さは感じていません。弊害といえば気軽に飲みに誘えなくなったくらいですかね(笑)。みんな家にいるわけだから、わざわざ呼び出すのも大変ですし。仕事の話は仕事の中で完結できているから問題はないですけど、寂しさは感じます。
- 杉岡:以前の案件は出社が多く、チームで集まって仕事をする環境があったので、オンライン・オフライン問わずしっかりコミュニケーションがとれていたように思います。今は月に1回しか出社しないので、オンラインでのやり取りが主になりました。不自由しているわけではありませんが、比べてしまうと確かに希薄な感じがしますね。
- 村山:昔はプロパーさんとも業後に飲みに行くこともありました。社外に出ると雰囲気がガラッと変わる人もいたりして、一気に仲良くなれたので僕は結構好きだったのですけどね。今の若手たちは仕事以外の場でお客さまと会話できる機会がほとんどなくなってしまったように思います。機会がないからそのイメージがないのですが、積極的に上の人に話しかけに行く人を最近はあまり見かけない気がします。杉岡君は上の人と話すのは緊張するほうですか?
- 杉岡:緊張はしますけど、お話ししたいなとは思います。お客さまとはまだそんな関係ではないので難しいかもしれませんが、少なくとも社内の先輩方と話しにくいなと思ったことはないですね。飲み会とか外部でそうした時間を取らなくても、仕事の中で意図的に雑談すればいのかな、とは思います。夕会でちょっとした世間話をするとかですかね。人間らしさというか、取っ掛かりが感じられるようにできたら良いですよね。
エンジニアとして目指したい未来
今後は、どのような仕事にチャレンジしていきたいですか。
- 杉岡:新しいことにチャレンジしていきたいです。今はまだ若手で知らないことをどんどん吸収できているのが楽しいと感じているのですが、大学生のときや研修のときと比べると吸収速度が落ちていっている気がします。新鮮なうちにどんどん新しいことにチャレンジしていきたいですね。今の案件で扱っているシステムはとても大きいので、調べれば調べるほど新しい概念を知ることができたり、いまだに把握できていない新しい側面を発見したりできます。そうして自分の知識になっていく実感があるのが嬉しいです。
- 村山:僕は杉岡君みたいに思ってくれる若手を育てていきたいです。今の若手たちはすごく積極的に仕事に取り組んでくれていて、こういう思いを持った人が会社の中心になってくれた方が、会社の活力にもなると思います。勢いのある若手たちが輝けるようにサポートしていきたいです。自分の働き方がモデルケースになって参考にしてもらえるなら良いですね。若手が目指す道の選択肢の1つを示してあげられたら良いなと思います。でも僕はサポートすることしかできなくて、結局は本人がやろうと思わないと伸びてはいかないですよね。サポートしたいなと思えるのは、今の若手は勢いがあって、頑張りたいというマインドを持っているからなのかもしれません。
- 杉岡:僕はもともとクリエイティブな仕事がしたくてエンジニアになった側面もあるので、技術を学んで自分のものにしたいという意識が強いのだと思います。そうして学んだことを自分で組み立てて新しい物を作れるようになったら良いなと思います。誰にでもできる仕事ではなくて、自分だからできる仕事をやりたいです。
- 村山:僕もその考えには賛成ですね。自分にしかできない仕事をしたいですし、そういったことを考えるのはとても楽しいですよね。若手がそのように考えてくれているのは嬉しいです。今はリーダーとしてプロジェクトの推進に携わっているので、どのようにすればプロジェクトがより良くなるのかを常に考えています。最初は手探りでしたが、ゼロベースからここまで作り上げた達成感は言葉にしがたい感動がありますね。正解がないからこそ、難しいけどその分やりがいにもつながるので、これからも頑張りたいです。
* * * * *
今回のお人のお話しの中で「どのような仕事をしたいのか」がキーとなっていました。自分のやりたいことをするためには、目まぐるしく変化する中で「自分のやりたいこと」と「自分のできること」のギャップを埋めていくことが大切だと筆者は感じました。
何がしたいのかを明確にし、そこに向かうためにどう行動するのか。お人のお話しをヒントにして考えてみてはいかがでしょうか。
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