連載 [第2回] :
異なる世代のエンジニアが語る「世代間ギャップ」とは新卒2年目と中途入社12年目が語り合う ー「尖っていた俺」と「マイルドな私?」
2023年10月5日(木)
東京丸の内に本社を構えるとあるIT企業。異なる世代のエンジニア社員達が働き方やコミュニケーションなどの様々な「世代間ギャップ」を語り合います。
異なる世代のエンジニアが集い語り合う「エンジニア世代間ギャップ」対談企画。第2回目の今回は、共にアセット推進部に所属し、異なるプロジェクトに参画している新卒入社2年目と中途入社12年目のインフラエンジニアの2人に、お互いの印象と世代間によるギャップについて振り返っていただきました。
登場人物紹介
まずは、それぞれご自身のことを教えてください!
- 高沢:この会社に中途入社する前は、アプリの会社に所属していました。中途入社してからは、ずっとデータベース周りを経験しています。最近はアプリケーション寄りの災害対策の運用設計をしています。データベースメインの技術者をしつつ、リーダー経験を日々積み重ねている状態ですね。いつもバタバタと仕事をしています(笑)。最近はキャンプにハマっていて、お客様と一緒にキャンプに行くこともあります。
- 増田:高沢さん、アウトドアがお好きなのですね! お客様との関係を築く秘訣が知りたいです。改めまして、2022年4月入社の増田です。大学時代はごりごりの文系で、心理学を勉強していました。ITは全く未経験だったので、入社までは不安でいっぱいでした。入社して初めてのプロジェクトはオンラインシステムの更改案件でした。主にハードウェア周りの担当で、3ヶ月くらいデータセンターに通っていました。今はそのプロジェクトも終わり、別プロジェクトに参画し始めたばかりといった感じです。趣味はアイドルの推し活です! 幅広く嗜んでおります(笑)。
実はお互いこんな一面を知っている
お2人は同じ部門に所属していますが、お互いのイメージを教えてください。
- 高沢:そうですね。まだ新卒2年目ということで、ITの基礎を学ぶ時期だろうなと感じています。噂では「仕事の評判が良い」と聞いていますよ! 未知の領域でも知識をつけようとする姿勢が伝わってきます。文章を書くことがすごく上手で、おじさん世代だとキレイな文章を書くことができない人も多い印象なので、最初から文章を書くスキルがあるのは羨ましいです。あとは、人懐っこいですよね。若さだと思いますが、プロジェクトチームにもすぐに馴染める、そんなスキルも持っている方だと感じています。
- 増田:照れますね、嬉しいです。ありがとうございます! プロジェクトとは別に部門で取り組んでいるアセット管理システムがあるのですが、高沢さんはその先頭に立って全体を引っ張っていく姿をよく見かけます。高沢さんのチームのレベルが高すぎて「すごいなぁ」と思っています。全社への発表のときも堂々とお話しをされていたので「頼りがいのある先輩だな」と感じています。
お互いに自分のイメージを聞いて、どのように思いましたか?
- 高沢:別にすごいことをしているわけではないはずですが、後輩からはフロントに立っている自分を見て「凄い!」と思ってもらえるのですかね。年上フィルターがかかっているのではと思ってしまいます(笑)。でも、増田さんからそう思われていることは純粋に嬉しいです。
- 増田:こんなに直接評価をいただけるなんて思ってもいなかったです。「人懐っこい」と言われたのも初めてで。アセット管理システムの社内プロジェクトで自分が担当しているチームでは、セミナーの受講や書籍から得たアセット情報をレポートにまとめる作業をしているので、文章を書くスキルを褒めていただいたことは今後のモチベーションにもつながります。
ビジネスシーンに応じた働き方の多様化
高沢さんが若かったころと今の増田さんを比べてみて、ギャップを感じますか?
- 高沢:自分が若かったころはめちゃくちゃ尖っていましたよ。まったく増田さんのような丁寧なコミュニケーションは取れていませんでした。仕事をしていて「嫌だなぁ」と思ったら、よく上司に噛みついていました(笑)。そういう意味で言うと、今の若い子たちは落ちついていますよね。自分は感情の起伏が激しくて、今でもつい自分の悪いクセが出てしまうこともあるので、若い子たちが上手にコミュニケーションを取っていると「大人だなぁ」と感じます。たまに尖っている若手もいますが、最終的には波風立てずコミットさせていますね。そう考えると、昔のIT業界は尖っている人が多かったイメージが多少あったのですが、実力社会だったからなのかもしれませんね。
- 増田:でも、私たち世代から少し別な意味でギャップがありましたよね。社会が「多様性」という言葉を意識するようになって、会社の雰囲気が変わってきたのではと思っています。例えば服装とか。ベテラン世代の皆さんから見たら、私たちの服装にはすごく抵抗があったのではと、入社当時金髪だった私が感じています(笑)。
- 高沢:会社側が寛容になったのではと感じていますよ。服装が派手だからといって、仕事ができないというわけでもないですしね。多少自由度がある方がストレスなく働けるのかもしれません。私は清潔感があれば金髪でも受け入れられますよ(笑)。
「リーダー」と「メンバー」それぞれの立場で意識すること
お互い立場の違うお2人ですが、「今の立場だからこその大変さ」だと思うことを教えてください。
- 高沢:メンバーに対する作業のミスマッチがあると大変さを感じますね。「チャレンジさせてあげよう!」「任せてみよう!」と作業をお願いすることが苦手なのです。どのような仕事を渡すべきか、フォローできる時間を捻出できるかが大事になってくるので、バランスが難しいなと感じます。自分が抜けたときにメンバーの作業が止まらないようにしなければいけないため、リーダーの仕事の難しさを痛感しています。上司からも「もっとメンバーに仕事を任せられるようにならないとね」と言われたりもするので、今の自分にとって一番の課題なのかもしれません。
- 増田:私はリスペクトしている先輩方の近くでお仕事ができているので、忙しくて定時退社が難しい日もありましたが、仕事の向き合い方も含めフラットな気持ちで日々取り組めていたと思います。でも、先輩方から守られていたなと感じることもあるので、感謝もしていますし、もっとスキルや経験をつけていかなければと感じています。
増田さんが仕事をする上で、日々意識していることはありますか?
- 増田:私が初めて参画したプロジェクトは皆さんお忙しくて、私以外は案件経験や知識を持っている方が多く、自分の未熟さを痛感していましたが、「自分の未熟さを理由にいろいろ考えず質問をしてしまうことは良くないな」と思い、なるべく自分で調べたうえで確認するようにしました。以前はあまり相談せずに作業を進めてしまった結果、手戻りが発生してしまったこともあったので、「自分を過信してはいけない!」と思い、相談するタイミングを考えながら作業していました。
- 高沢:えらいなぁ。自分が追い込まれてきたら「どうにかしてくれぇ(汗)」って思ってしまうかも。周りに対する思いやりを忘れないで行動できた増田さんは素敵ですね。
デジタルネイティブ世代はビジネスメールが書けない!?
社内のコミュニケーションツールがSlackになりましたが、対面のコミュニケーションとどちらの方が仕事をしやすいですか?
- 高沢:文字のコミュニケーションは、ある程度事前に内容をまとめなければいけないからね。やっぱり口頭で説明できる対面コミュニケーションの方が好きです。逆にデジタルネイティブ世代は、Slackとかでビジネスっぽいコミュニケーションを取ることが苦手に感じたりするのかな?
- 増田:私の場合は入社当時から会社でSlackやTeamsを使って仕事をしていたのでギャップは感じなかったのですが、逆にビジネスメールが書けなくて困っています。前のプロジェクトでもお客様とTeamsでコミュニケーションを取っていたので、メールを書く機会はまったくありませんでした。
- 高沢:確かに、メールを使わなくなりましたよね。SlackとかTeamsを使うようになって、メールでやり取りしていたコミュニケーションがどこまで置き換わってきたのかは気になります。お客様とのやりとりもSlackやTeamsの他に、ドキュメントで課題を共有することもあるので、ほとんどメールでのやり取りがなくなりました。自分もメールが書けなくなるかも。
今後のキャリア構築について
これからチャレンジしてみたいことなどはありますか?
- 増田:まだ先輩に面倒を見てもらわないと形にできないときもあるので、丸投げしてもらえるくらいの知識やスキルを身に付けていきたいです。これから年次を重ねていくと後輩を指導する立場にも変わってくると思います。どのような試練にも太刀打ちできるように経験を積んでいきたいです! 実は、全社の採用活動にも興味があるので、いつかチャレンジしてみたいです。
- 高沢:毎年新卒が入社してくるので、「いかに技術を効率的に教えていくのか」が重要になってくると感じています。私たちの部門で取り組んでいるアセット活用の仕組みが完成したら、その先は「仕組みを使う」というフェーズになるので、アーキテクトやコンサルのスキルも身に付けていきたいと考えています。
* * * * *
高沢さんの過去に尖っていた話や増田さんの仕事に対するマインドなど、対談のテーマによって見え隠れする絶妙な世代間ギャップが興味深かったです。このギャップは社員だけでなく、他の企業でも同様のギャップを感じているのかもしれません。
2人が所属するアセット推進部では、アセット活用の仕組みづくりにも取り組んでいるそうです。若手も率先してその仕組みづくりにコミットしているという話もあり、今後のアセット推進部の活動によって会社がどのようにアップデートされていくのか、楽しみです。
次回もお楽しみに!
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