仮想環境の管理手法!

2008年6月16日(月)
高添 修

増えていく仮想マシンを一元管理

 1台の物理サーバ上に複数の仮想サーバが動作すれば、企業が管理すべき物理サーバの台数は大幅に減少していくでしょう。そして、複数の物理サーバとその上で動作する多くの仮想サーバを一元的に管理することができれば、運用管理面での効果は大きなものとなるでしょう。

 そこでマイクロソフトは、「System Center Virtual Machine Manager(以下、SCVMM)」という仮想化の統合管理ツールを提供しています。SCVMMにより、サービスパック適用済みのWindows Server 2003や、Windows Server 2008、Server Coreなどのサーバ環境をテンプレートとして管理することができ、ウィザードを使ってテンプレートから新しいサーバを容易に作り出すことが可能です。

 SCVMMによる仮想サーバ作成(プロビジョニング)はウィザードで容易に実施でき、サーバのファイルの大きさやネットワークのスピードにも依存しますが、Windows Server 2003 x86なら3分~5分で新しいサーバができ上がります。

 さらにSCVMMは、仮想サーバの作成に加えて、別マシンへの移動や複製、物理サーバの仮想サーバへの変換など、仮想サーバ運用に関するさまざまな作業が行えます。また、セルフサービスポータルを利用した管理権限の委任や新しいスクリプティング環境Windows PowerShellによる作業のコマンド化と自動化によって、管理者は不要な作業から抜け出し、本来やるべき戦略的な作業に時間を割くこともできるでしょう。

物理/仮想両方を視野に入れたシステム統合監視

 仮想環境を実現するための基盤が整い、多くのサーバが仮想化されていくと、物理サーバだけだった時に比べてシステムの状態は見えにくくなります。仮想サーバがどこで動いていても構わないという仮想化の特徴は、どこで動いているか分からないという別の特徴も持っているわけです。

 また、Windowsはイベントログやパフォーマンスモニタなどの管理ツールによってエラーや警告から問題を分析することが可能ですが、システムが動いていないという連絡があって初めてエラーの場所を探し始めるのでは、迅速な対応が望めません。

 そこで必要とされているのがシステムの監視の機能です。「System Center Operations Manager(以下SCOM)」は、物理、仮想問わず、イベントログやパフォーマンスの監視を行うツールとしてシステムの稼働状態を把握するのに役立ちます。

 また、SCOMはシステムレベルのヘルスモデルを採用しています。これは、業務システムが複数台のサーバによって成り立ち、そこにはWebサーバもあればデータベースもある、もしかしたら外部と通信をするサーバが必要かもしれないし、今後は仮想マシンも含まれてくることも考えられる、という複雑な環境において有効です。

 SCOMは、物理、仮想の関係なく複数のサーバを1つのシステムとして監視し、特定のサーバの不具合がもたらすシステム全体への影響を管理者に伝えることができ、適切な処置を迅速に行うサポートをしてくれるからです。

マイクロソフト株式会社
エバンジェリスト。特定の製品やお客様を担当せず、マイクロソフトの製品やテクノロジ、サービス、時にはマイクロソフトそのものを日本中の技術者に啓蒙すべく、イベントやセミナー、記事執筆などを行っている。ITよりも人に興味があり、手順を教えるのではなく、意味を伝えることに重点を置いて活動したいと思っている。ブログ:http://blogs.technet.com/osamut

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