SEOはサイト構築前に考えるべし!
マルチエントランス構造を実現するために
マルチエントランス構造のWebサイトを実現するために必要なことは、大きく2つあります。
・ユーザーニーズに合致したコンテンツの提供
・ユーザーを目的の情報へと導く導線設計
「ユーザーニーズに合致したコンテンツの提供」とは、Webサイトを訪れたユーザーが求める情報をユーザーが求めるタイミングで提供するということです。そのためには、刻々と発生するユーザーニーズに対する理解が重要です。
「ユーザーを目的の情報へと導く導線設計」とは、入り口から出口まで、ユーザーを迷わせない明確な道筋を用意するということです。そのためには、ユーザーニーズに基づく情報をどのような順番で提供すれば目的の情報までたどりつくことができるのか、というユーザー視点での導線が欠かせません。
この2つの情報を得るために、弊社では「ユーザー体験シナリオ」というものを作成します。
ユーザー体験シナリオとは、企業とユーザーの間に発生する定常的な関係性を図式化したものです。例えば、企業から出されたプロモーション広告を見てユーザーはその商品に興味を持つ、とします。この時、広告が企業とユーザーの接点としてひとつの関係性が生まれます。こうしたひとつひとつの関係性を時間軸に沿って細かく拾い上げていくことでシナリオ全体が構成されます。その結果、ユーザー体験シナリオとして企業とユーザーとのかかわり合いの全容が可視化されるというわけです。
次にユーザー体験シナリオの中身を見ていきましょう。図を見ると、ユーザーにとって満足な体験と不満足な体験が共存していることが分かります。この不満足な体験こそが改善すべきポイントです。また、改善すべきポイントの中には、リアルのビジネス現場にも影響を与える事象が発生している場合もあります。
企業とユーザーとのかかわり合いにおける問題と改善ポイントを明確にすること、これこそがユーザー体験シナリオの最も重要な役割です。この改善ポイントに従って、ユーザーが問題解決するまでの道筋を構築することができれば、マルチエントランス構造のWebサイト構築に必要なコンテンツとユーザー導線を得ることができます。
なぜユーザー体験シナリオが必要か
ユーザー体験シナリオに基づいてWebサイトを構築することは、ユーザーのみならず企業にとっても、次のような大きなメリットがあります。
・ユーザーを確実に問題解決へと導くことが可能
・ユーザーニーズに対して何をすれば良いかの理解
・Webサイトですべきこと、Webサイト以外ですべきことの理解
・企業とユーザーとの関係性の再確認
1つ目は、「ユーザーを確実に問題解決へと導くことが可能」です。ユーザー体験シナリオを完成させることによって、ユーザーが問題解決するまでの道筋をあらかじめ整理することができます。この導線を反映させることで、Webサイトにおいてもユーザーを問題解決へと確実に誘導することが可能になります。
2つ目は、「ユーザーニーズに対して何をすれば良いかの理解」です。ユーザーニーズは1つではありません。ステータスや時間の変化に応じてさまざまに変化していきます。ユーザー体験シナリオでは、ユーザーニーズの発端となる起点からシナリオを構成していくため、問題解決までに発生するニーズを細かくフォローしていくことが可能です。各ニーズに対しての対応策を準備することで、Webサイトを問題解決ツールとして有効に機能させることができます。
3つ目は、「Webサイトですべきこと、Webサイト以外ですべきことの理解」です。ユーザー体験シナリオが明らかにするものはWebサイトですべきことのみではありません。ユーザーにとって本当に必要な情報を最適な形で届けるためには、リアルな対応が必要な場合もあります。このようなリアルなサービスに関してもユーザー体験シナリオは明確な答えを提示してくれます。
4つ目は、「企業とユーザーとの関係性の再確認」です。企業とユーザーの関係性を客観的に見ることはなかなか難しいものです。ユーザー体験シナリオはひとつひとつの関係性が現在どうなっているのかを赤裸々にあぶり出します。サービスとして欠けているものや不足しているもの、企業として今後取り組むべき課題を明らかにしてくれます。
ユーザー視点から情報発信を行っていくことは、一朝一夕にできることではありません。しかし、ユーザー体験シナリオのような手法をよりどころとすることによって、その実現を強く推進していくことが可能になります。真にユーザーのためのWebサイトを実現するためには、このような実践的手法を用いることがこれからのWebサイト構築には必要であると考えます。
【参考文献】
生田昌弘/株式会社キノトロープ著『Webブランディング成功の法則55』株式会社翔泳社(発行年:2005)