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| 多くの企業には経営戦略は存在しない!? | ||||||||||||||||
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この社内のIT部門に対する要求の変化は、ITに対する経営者の見方が変わったことに起因している(図2)。 さらに困ったことに、「ITを魔法の杖」だと思いこんでいる経営者が増えていることも状況を悪化させているように思う。 ITの基本原理は、1. 膨大な情報を蓄える、2. 素早く計算する、の2つしかない。これはITが有史に登場した時から変わっていない。SFAやCRM、ナレッジマネージメント(KM)などなど、いかにも経営の諸問題を解決しそうな、「ITソリューション」と称する商品が市場にあふれでているが、どれも動作原理は同じだ。 だが、経営者にしてみれば「魔法」のような謳い文句に「わらにもすがる思い」で、それを使わない手はないと考えるのは止むを得ないのかもしれない。 しかも、SCMやCRM、KMといったものは、いまの企業なら必ず抱えているような問題にスポットを当てている。そのため経営者からすれば、とにかく即導入すれば経営・業務上の問題が解消できると思いがちだ。 そして、「経営問題の解消 → ITソリューションの導入 → IT導入計画 = 経営戦略(の立案) → IT部門に依頼」という図式が、経営者の頭の中に思い描かれる。そして、冒頭のような質問がIT部門に投げかけられることになるわけだ。 経営者がこうも簡単に、IT導入計画を経営戦略そのもの(あるいはその一部)と錯覚してしまうのは、もともとあるべきはずの「経営戦略」自体が存在しないことにも起因している。 「たいていの企業には経営戦略は存在しない!」と言い切る某シンクタンクのコンサルタントもいるように、あらかじめ財務目標は決定していても、肝心の実現方法を会社レベルで思い描き、資源配分まで考慮している企業は少ないようだ。 多くの企業では、売り上げや利益の目標はあるものの、その実現方法に至っては現場の裁量に委ねられている。ややもすれば、敏腕営業マン数人に全社の命運がかかっている場合もあるかもしれない。 目標を達するために、人・モノ・カネ・IT・知識といった、経営資源をどのように工夫して使っていくか。この点が考慮されてなければ、IT導入計画が「経営目標の実現方法(=経営戦略)」に、簡単にすり替わってしまうわけだ。 |
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| ITに携わるメンバーの思考は昔と何も変わっていない | ||||||||||||||||
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一方のIT部門はどうだろうか。前述のように「貯める・計算する」といったITの基本構造は変わっていない。同様に、意識して変わろうとしない限り、ITに携わるメンバーの思考は基本的に変わりえない。 つまり、「ITはユーザが考えて使いこなすもの」と刷り込まれてしまっているから、これまでと同じように、それ以上の行動が思い浮かばないということになる。 実は、私の部下に長年メインフレームに手を染めていたSEがいる。彼は10数年にわたって人事システムを担当しており、現場担当者以上に業務にも詳しい。ある時、筆者は系列会社へのシステムの横展開、いわゆるシェアードサービス化の計画策定が進んでいないことに気付いた。そこで彼に、参加して迅速に結果がだせるようにと指示した。 ところが彼は、「計画はユーザ部門が作成するものだから参加する必要はない」と頑なに拒んだ。それでも何とか説得して、ユーザ部門に出向くようにさせたのだが、何から手をつければよいかわからず、彼からでた質問は「どうやって対応したらいいのでしょうか?」だった。 リードオフマンとしての役割と、なすべき行動ができていないケースで極端だと思うかも知れないが、意外に同様のことが他社でも起こっているようだ。 このように、社内のIT部門のメンバーがエンドユーザ部門に対して抱いている意識と、対応スキルは充分に高いとはいえない状況なのだ。 |
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