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| IT部門は意識改革を急げ! | ||||||||||||||||
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このように、今のIT部門は経営者側からは「痒いところに手が届かない。遅れている」といわれ、IT部門からすると「自分の能力以上のことを要求されて困っている」という状況にある。 では、これに対して経営者、そしてIT部門は、どのように対処していけば良いのだろうか。これについて、当社の事例も交えて考えてみたい。 まず、経営者がITに対して過剰な期待や誤った認識を持っているのであれば、すぐに改めてほしいと願う。このことを、経営者自身が気づいてくれればよいのだが、叩き上げの経営幹部ほど固定観念が強く、持論を曲げない場合が多い。 その場合、IT部門は腹を割って話をするように心がけるしかないだろう。単に「あなたは間違っていますよ」というのではなく、「こうすると、こういった不具合がでると思うので、対応に力を貸して欲しい」というスタンスで臨むべきだ。 それでもダメなら、ITに比較的明るい、他の経営幹部を援軍として要請する。耳を傾けやすい第3者に、代弁してもらうという方法だ。 一方、IT部門が意識を変えていくことも大切だ。「ITの使い方は現場が考えるものだ」とか、「経営戦略の立案は門外漢だ」という姿勢ではいっこうに溝は埋まらない。 ご存じのように、ITの機能は家電製品以上に複雑で奥が深い。現場の創意工夫だけでは、使い切れないと認識しておくべきだ。 そうなってくると、2番目に必要なのは「活用の仕方の啓蒙」になる。 はじめは、カタログに載っている社外事例やベンダーに教えてもらった使い方を、そのまま社内に伝播することで精一杯だろう。 だが、それでかまわない。考えるヒントのため、そしてこれから活用を進めていくための「人脈の形成、いわゆる『人的インフラ』の構築」が何よりも重要だからだ。 そして、3番目に必要になるのが「人づくり」だ。 前段の「人的インフラ」は、関係作りであり、道路を敷設することだった。一方、この「人づくり」は、その上を走る人を育てるということだ。 IT部門の側からいえば、経営トップと渡り合える人材と、社内のエンドユーザ部門を啓蒙し指導できる人材を育成することが目的になる。 前者は、経営者の使う言葉でITの意義を説ける人材のこと。後者はITの活用方法をエンドユーザと一緒に考え、時にはともに悩みながら伴走できる人材ということだ。 例えば、社内に全文検索システムを導入するプロジェクトを例に考えてみよう。 システムの導入に3,000万円の投資、年間の維持費に400万円かかるとしよう。ここでは、まず経営者に投資の承認と、導入時には社内全体に号令の発信をお願いしなければならない。 この場合、経営者に対して「便利だから」とか「社内の様々な問題解決につながる」といった理由だけでは合意は得られにくい。「売上が拡大する」「利益がでる」、あるいは、「インフラなので使い方を工夫して利益効果をださなければならない」など、まさに経営者的視点を織り交ぜて説明する必要がある。 そのためには、経営者の目線や距離感覚、要点を絞り込んで考えるという技術が要求される。現場のIT技術者とは、まったく異なる観点と粒度が求められるのだ。 そして、晴れて導入の段になれば、コーチングの要領で現場をリードして、具体化を推進できるITエンジニアが必要になる。 現場の問題を上手く抽出し、ITに当てはめながら問題解決する能力が求められるのだ。単に、ユーザ部門を代行するのではなく、助走をつけるための役回りといえるだろう。 ITエンジニアには、実装されたITと現場とを、上手くつなぐことが要求される。コマンドやオプションの設定にまで言及して、現場でのポテンシャルを高めなければならない。先の経営者に対する対応とは、また趣が異なっている。 |
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| 変わることを好む風土を企業全体で醸成する | ||||||||||||||||
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最後に触れておきたいのは、「エンドユーザ部門における人づくり」だ。 構築したITをエンドユーザ部門に浸透させようとすれば、ユーザ部門内にキーマンを育て、そこを起点にしてIT活用を広げていくといったアプローチが一般的だ。 ところが、この課題の前に重大な問題が横たわっている。つまり、「変わることを好む組織風土を醸成する」ということが、多くのユーザ企業ではなされていないのだ。 この点を、「ITの導入で業務を変える」とか、「ITを導入しながら組織を変えていく」など、IT導入が意識改革に優先したり、同時進行すると痛い目に合う。プロジェクトが失敗する確率は、急激に高くなるわけだ。 というのも、いざITを導入しようとすると、「現場が今の仕事のやり方を変えたがらない」といった理由から断念したりと、業務現場の都合でITの利用を避けるケースは思いのほか多い。ITプロジェクトに実際に携わった方なら、こうしたケースに1度や2度は遭遇したことがあるだろう。 こうした保守的な組織を観察してみると、そもそも自分たちの仕事を変革することに抵抗感を持っているようだ。 常日頃から「仕事は変わるものだ」「意味のない仕事は止めよう」「どんどん改善していこう」という意識が備わってこない限り、現場革新とIT化は進まない。 筆者も過去に、クレーム情報のワークフロー化で困難な状況に直面した苦い経験がある。 クレームの受付元である営業本部は、自分たちの対応の失態が明らかになるのを恐れ、導入に反対した。一方、商品開発部門はクレーム情報を活かすよりも、自分たちの作りたい物を優先して開発するという自己中心的発想からシステムの活用を拒んだ。 ワークフローシステム自体は、3ヶ月で開発できる簡単なものだったが、こういった事情を解消するために、実に5年も要してしまったのだ。 こうした後ろ向きな組織風土であれば、経営トップにぜひ要請したいことがある。リーダーシップを発揮して、変化をいとわない骨太の企業体質に変えるということだ。そうしなければ、いつになっても有効なITは導入できないし、導入しても効果はでないのだから。 |
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