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ERPに新勢力登場!オープンソースERP

第1回:国内・海外のERP最新動向

著者:Nexedi  奥地 秀則   2007/1/17
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ERP導入のメリット

   ここまでERPを概観してきましたが、果たしてERPを導入するメリットとは何なのでしょうか。その答えは、ERPのような統合管理システムを用いない場合と、導入した場合を比較すれば明確になります。

   ここで具体的に、成果主義によって社員の給与を決定する例を考えてみましょう。ERPを用いず各部署で書類としてデータを管理している場合、一体どうなるでしょうか。

   給与を管理する人事部が、開発内容を熟知していることはないでしょうから、まず開発部に問い合わせねばなりません。しかし、すぐには終わりません。なぜなら、開発部だけでは販売実績を厳密には把握していないからです。折り返し、営業部に問い合わせることになります。営業部では製品と契約数を照会することができるでしょう。しかし、営業担当者が最終的な利益まで把握していない場合、さらに経理部に問い合わせねばなりません。
成果主義による給与査定を行う場合、ERPを用いないと情報収集が煩雑で非常に手間暇がかかる
図2:成果主義による給与査定を行う場合、ERPを用いないと情報収集が煩雑で非常に手間暇がかかる

   図2のように多くの部署を跨いだ情報収集が必要になります。しかし、それほど軽快にことは運ぶのでしょうか。担当者が不在であったり多忙を極めているために、対応が後回しになるかもしれません。件数が多いと適切な書類を見つけるために何時間もかかるでしょう。売上高のように、計算を必要とするものもあります。一度では済まず、何度も問い直す必要があるかもしれません。情報が子会社や海外拠点にまで分散していると、ますます時間がかかります。場合によっては、何週間も待ち続けることになるかもしれません。

   ビジネスには、時は金なりという格言がぴったり当てはまります。問い合わせを行っている人事担当者や問い合わせに応じる他部署の社員すべてが人件費を浪費します。何週間もかかるようなケースでは、問い合わせに費される人件費は数十万円から数百万円におよぶでしょう。

   ERPはまさにこうした非効率的なビジネスプロセスを改善するために存在します。社内情報を部署を越えて統合することによって、ほとんどのデータが瞬時に手に入りますし、データの集計は人間よりずっと高速で正確です。また表やグラフを作成したり、報告書を自動生成することもできます。

   無駄を省くことによって、社員は本来の業務に専念でき、従来では実現困難なために行われなかった業務の改善にも目を向けられます。


次回について

   次回では、オープンソースERPと旧来のプロプライエタリERPの比較を中心に、ERPソフトウェアの選択において重要なテーマを紹介します。

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Nexedi 最高技術責任者 奥地 秀則
著者プロフィール
Nexedi 最高技術責任者
奥地 秀則

オープンソースERP「ERP5」の設計・開発に初期段階から関与し、現在ERP5の技術責任者を務める。服飾業、金融業、鉄鋼業、自動車産業、航空宇宙産業におけるERPプロジェクトを経験してきた他、社内外のエンジニアやコンサルタントのトレーニングを指揮している。


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第1回:国内・海外のERP最新動向
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