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ソフトウェアプロセスレベルを向上させるCMMI活用術 〜 ソフトウェア開発の品格
第1回:言葉が先行しているCMMI
著者:
日本コンピューター・システム 新保 康夫
日本和光コンサルティング 久野 茂
2006/04/13
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CMMIとは
ソフトウェア開発におけるプロセス評価やプロセス改善は常に課題となっていますが、その1つの指標としてCMMI(Capability Maturity Model Integration)が多くの企業に注目されています。また、システムインテグレータやソフトウェアベンダーがCMMIを重要視しているのは、企業としての価値に繋がるからです。
しかし、それらの企業がCMMIを十分にいかしているかは疑問です。その疑問をはっきりさせるため、本連載ではソフトウェアプロセスの原点に振り返り、ソフトウェア開発にとってのCMMIを見直した上で活かすためのヒントを紹介します。
第1回目ではCMMIについての概要を簡単に説明し、筆者たちがCMMIで目指すものは何かを提言します。
CMMIの概要
CMMIは米国カーネギーメロン大学ソフトウェア工学研究所(SEI)で開発されたソフトウェアプロセスの評価/改善のためのガイドラインです。CMMIは品質向上や生産性向上に役立つとよくいわれていますが、本当の効果は別にあると筆者は考えています。
それは筆者は「CMMIを作成したことによって得られる効果は、ソフトウェア開発の品格向上」だということです。
近年、「プログラムは動くものの全体として失敗している」プロジェクトがたくさんありますが、トラブルを抱えるソフトウェア開発は組織として品格に欠けているといえます。品格を持つためには、「やるべきことをやる」という組織の規律(デシプリン)が必要であり、CMMIにはその規律が記述されているのです。
CMMI-SE/SW/IPPD/SS公式日本語翻訳版Version 1.1が2004年4月1日に発行され、SEIホームページから無料でダウンロードできます。700ページを超える分厚い資料ですが、読むことをお勧めします。
CMMI-SE/SW/IPPD/SS 公式日本語翻訳版Version 1.1
http://www.sei.cmu.edu/cmmi/translations/japanese/models/index.html
CMMI導入時に選択する2つの表現形式
CMMIには「段階表現」「連続表現」という2つの表現形式があります。CMMIを導入する際、組織はプロセス改善活動の目的に従ってどちらかを選択します。
段階表現
段階表現ではソフトウェア成熟度がレベル1〜5まであり、それぞれのレベルで実施すべきプロセスが決められています。
図1:段階表現と連続表現
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
またCMMIには、プロセス改善活動全体をレベルアップできるメリットがあります(表1)。
組織に必要なプロセスがレベルごとに提示される
組織横断的/組織間での比較が可能となる
実績のある改善順序が提供されるため、堅実な改善活動が期待できる
表1:プロセス改善活動全体をレベルアップできるメリット
連続表現
連続表現ではプロセス別に能力レベルが0〜5まで決められています。プロセス改善活動を「プロセス管理」「プロジェクト管理」「エンジニアリング」「支援」の4つの区分にわけ、選択された各プロセスで改善することができるメリットは表2です。
事業目標にあう特定のプロセスを向上させることができる
事業の状況にあうプロセスを異なる速度で改善したり、改善の順序を選定したりすることができる
表2:選択された各プロセスで改善できるメリット
「段階表現」「連続表現」どちらの表現形式を使っても効果は同じですが、段階表現は組織に必要なプロセスを成熟度レベルに応じて確立/改善することができます。そのため、あまりプロセス改善に慣れていない企業には「段階表現」の方が選ばれるようです。どちらもプロセス/固有目標/共通目標は同じですので、今後は段階表現を前提として説明していきます。
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著者プロフィール
日本コンピューター・システム株式会社
新保 康夫(しんぼ やすを)
本部企画室 コンサルタント、ITコーディネータ/ITCインストラクタ、システム監査技術者、ISMS主任審査員資格。
1975年 日本コンピューター・システムに入社。システム開発に従事し、プロジェクトマネージャを経て現在、コンサルタント業務に従事する。コンポーネントベース開発やアジャイル開発にも関与する。
日本和光コンサルティング(株)
久野 茂(くの しげる)
日本和光コンサルティング(株)代表取締役副社長、ITコーディネータ。日本電気(株)、(株)日本総合研究所に勤務。現在日本和光コンサルティング(株)代表取締役副社長。
1978年徳島大学工学研究科修了、1998年電気通信大学大学院IS研究科博士課程単位取得満期退学。著書に「中国オフショア開発ガイド(共著)」コンピュータエージ社、他 多数。
INDEX
第1回:言葉が先行しているCMMI
CMMIとは
CMMIの特徴である成熟度レベル
CMMIで目指すもの