第5回:RFIDミドルウェアの今後の動向 (1/3)

RFID
RFIDのデータを活用するために

第5回:RFIDミドルウェアの今後の動向
著者:野村総合研究所  松本 健   2006/8/23
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RFIDミドルウェアを利用する際の留意点と今後

   前回まででRFIDを利用したシステムにおけるRFIDミドルウェアの位置づけ、メリット、役割、機能を順番に説明してきた。今回は実際にRFIDミドルウェアを利用する際に気をつけなければならないポイントについて触れ、最後に今後のRFIDミドルウェアの傾向について解説する。

   まずは、RFIDを利用したシステムを導入する際の留意すべきポイントを解説する。

拡張性(複数のRFIDミドルウェアを管理する機能の有無)

   多数のRFIDリーダ・ライタを設置しているなどの要件によっては、RFIDミドルウェアを複数台用意しなければならない場合がある。

   このような場合、管理負荷の低減のために複数のRFIDミドルウェアを一元的に管理することが求められる。しかし現時点では複数のRFIDミドルウェアを一元的に管理する機能が十分に用意されていないものが多いため、運用上の注意が必要な場合がある。


経済性(各製品でライセンスの形態が大きく異なる)

   一般的なサーバソフトウェアのライセンス形態では、使用するユーザ数・使用するセッション数・CPU数などがあるが、RFIDミドルウェアの場合はCPU数に依存するものと、接続するRFIDリーダ・ライタ数に依存するものとで大きく分けて2つの傾向がある。

   CPUに依存する場合には、数百万円/CPUのオーダになるケースが多く、RFIDリーダ・ライタ数に依存する場合は、数十万円/RFIDリーダ・ライタ数のオーダになるケースが多い。

   したがってRFIDリーダ・ライタを大量に利用する場合や、RFIDミドルウェアそのものを複数サーバにインストールする場合は、費用増大に特に気をつける必要がある。

ライセンス形態による費用の違いの例
図1:ライセンス形態による費用の違いの例
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


運用性(設定変更に伴うリブート)

   RFIDミドルウェアの設定変更を行う際に、一部リブートを行わないと設定が反映されない設定も存在することがある。

   運用中にRFIDリーダ・ライタの故障や追加によるRFIDリーダ・ライタの設定や、他のシステムへRFIDタグデータを送るための外部システム接続の追加・変更、パフォーマンスチューニングのためのフィルタリングの設定など様々な設定変更が考えられる。

   このような変更を実施する際に、設定変更直後に設定が反映されるものと設定変更後サーバのリブートを必要とするものがある。許容ダウンタイムの短い業務などの場合には特に気をつける必要がある。

その他

   機能面では、以前の回でも触れたがプロセス管理機能、デバイス管理機能の対応が弱い製品がある。つまり、RFIDに特化した処理群の連携を管理する機能がないものや、日本製のRFIDリーダ・ライタに対応していないものが存在する。

   したがってRFIDに特化したプロセスの処理の実装を外部システムで行わなければならない場合や、利用するRFIDリーダ・ライタに対応していない場合もあるので注意が必要である。

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野村総合研究所株式会社 松本 健氏
著者プロフィール
野村総合研究所株式会社  松本 健
1994年早稲田大学大学院理工学研究科卒業後、同年野村総合研究所入社。現在、情報技術本部にてシステム基盤を中心とした新技術の調査・評価を行うITエンジニアとして活動。最近ではESB/BPM/ユーティリティコンピューティング/サーバベーストコンピューティング/RFIDミドルウェアなどの調査・評価を行っている。


INDEX
第5回:RFIDミドルウェアの今後の動向
RFIDミドルウェアを利用する際の留意点と今後
  今後の傾向
  最後に〜よりオープンな環境へ
RFIDのデータを活用するために
第1回 RFIDタグの分類
第2回 RFIDミドルウェアの背景
第3回 RFIDミドルウェアが持つ機能
第4回 RFIDミドルウェア製品の現状
第5回 RFIDミドルウェアの今後の動向

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