第11回:ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(後編) (1/3)

VMware ESX Server サーバ統合ガイド
VMware ESX Server サーバ統合ガイド

第11回:ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(後編)

著者:デル   2006/9/4
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LAMPの性能とサイジング

   今回では、ESX Server環境やESX ServerがホストするVMの性能に、影響を与えうる様々な要因を探っていきます。特に、インテル ハイパースレッディングなどのテクノロジやプロセッサ・キャッシュの容量を中心に説明していきます。以降では、これらのテクノロジを使ったときのテスト結果を示すと共に、システムエンジニアやIT設計者の方がOLTPワークロードの処理に必要なVM数を決めるときや、VM数を増やすときに目安となる分析結果をご紹介しています。

テストの実施方法

   データベースのロードが終わり次第、PowerEdge 750クライアント・マシンからDVD Storeの駆動プログラムを起動しました。この駆動プログラムは、1分あたりの処理件数を平易なテキスト形式でコンソールに記録していきます。ESX ServerのCPU利用率はesxtopとvmkusage(注1)を使ってを測定し、VMのCPU利用率はVirtualCenterから取得しました。4種類のシナリオ(後述)を用意し、シナリオごとにテストを繰り返しました。いずれのシナリオも駆動プログラムの初期スレッド数(つまり、シミュレーションしたユーザ数)をVMあたり10ユーザに設定し、次に20ユーザ、最後に30ユーザと10ユーザずつ増やしています。

※注1: esxtopとvmkusageは、ESX Serverソフトウェアで利用できる監視ツールです。詳細は、以下のURLをご参照ください。
http://www.vmware.com/vcommunity/technology/performance


ハイパースレッディングの効果

   PowerEdge 1855ブレードサーバは、インテルハイパースレッディング・テクノロジを搭載した最新のXeonプロセッサをサポートします。2プロセッサ・サーバでハイパースレッディングの効果を評価するため、2セットのテストを実施しました。最初のテストではハイパースレッディングを無効にし、2番目のテストでは有効にしています。

   最初のテストでは、それぞれのVMが、物理プロセッサ0と1上で実行するようスケジュールされました。プロセッサ0は、サービスコンソールも利用します。ハイパースレッディングを有効にした2番目のテストでは、4基すべてのプロセッサ上でVMを実行するようスケジュールされました。以降に、各シナリオごとのテスト結果を示しますが、OPM数はすべてVMごとの値です。テストから得られたデータは次の通りです。

ハイパースレッディング(HT)の効果
図1:ハイパースレッディング(HT)の効果

   図1からわかるとおり、2ウェイのPowerEdgeブレードサーバでハイパースレッディングを有効にすると、VMあたりのOPMが約8%向上することが確認されました。

   ハイパースレッディングを有効にするとOPM性能が向上する理由は、ESX Serverシステムがハイパースレッディングを通して4基のLCPU(論理CPU)を活用できるようになり、VMに割り当てた仮想CPUに、より多くのCPUサイクルが提供できるからです。さらに、ESX Serverのカーネルやサービスコンソール関連の処理にも、より多くのプロセッシング・パワーが提供されます。

   ハイパースレッディングを有効にすると、VMスケジューラは、全4基のLCPUを使って2台のVMを実行するようスケジュールを組みます。一方、ESX Serverシステムから認識できるCPU数が2基だけになる場合、システムは、サービスコンソール、ESXServerカーネル、VM処理という3者間で処理の兼ね合いを図らねばならなくなります。

   Online DVD Storeアプリケーションは、CPUを集中的に使うワークロードのため、ESX Serverホストでハイパースレッディングを無効にすると、VMあたりのOPM数が減ってしまいます。

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デル株式会社
著者プロフィール
著者:デル株式会社
デルはスケーラブル・エンタープライズ戦略の重要な要素の1つとして、VMware社の仮想化技術を用いたサーバ統合ソリューションを提供しています。業界標準技術を採用した、デルのPowerEdgeサーバとDell | EMCストレージから構成されるハードウェアプラットフォームと、仮想化ソフトウェア「VMware ESX Server」、仮想マシン管理ツール「VirtualCenter」、仮想マシンの無停止マイグレーション技術「VMotion」を組み合わせることにより、柔軟でコストパフォーマンスに優れるサーバインフラストラクチャが構築可能です。

http://www.dell.com/jp/


INDEX
第11回:ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(後編)
LAMPの性能とサイジング
  ESX ServerシステムあたりのVM数
  L2(2次)キャッシュの容量と性能との関係
VMware ESX Server サーバ統合ガイド
第1回 VMware関連基礎用語
第2回 仮想化環境の設計と物理サーバから仮想マシンへの移行方法
第3回 サーバの構成
第4回 インストール時の注意点とチューニングポイント
第5回 SANブート
第6回 ブレード・サーバへの導入
第7回 Dell PowerEdge 1855ブレードサーバのVMware VMotion性能
第8回 ブレードサーバで構築するVMware ESX ServerのVLANネットワーク
第9回 VMware ESX Serverの性能〜ベンチマークテスト
第10回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編)
第11回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(後編)
第12回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(導入編)
第13回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(仮想化CPU機能編)
第14回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(リソース管理編)
第15回 デュアルコア・サーバによるVMware ESX Serverの性能向上

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