仮想座談会から見る2007年のBPM展望
2007年1月9日(火)
P社ツールベンダー「パートナーとの協業で競合ベンダーに対抗」
- P社ツールベンダ: 2006年は顧客企業の多くが内部統制をきっかけにBPMで企業のリスクを明確にしたい意向を持っていたが、BPMSの活用となると判断を躊躇していた。しかし、2007年はBPMの導入に向け、BPMSを実践する時期にあたると考えている。
現在、競合ベンダーの機能の充実が目立ってきており、以下のような特徴があげられる。
- 企業買収による統合化
- TIBCO、BEA、Oracleなどが行ったような企業買収によりBPM機能のエンタープライズ化を推進。買収当初はツールの連動に問題を抱えていたが、2007年は統合化が実用域に達してきた。
- MDAの実用化に目処
- Business Process Execution Language(BPEL)、Workflow Process Definition Language(WPDL)などの充実によってMDAが現実味を帯び、業務プロセス設計と情報システム構築のシームレス(自動化)化が推進された。例え ば日揮情報ソフトウェアが提供している「ITpearls Process Modeler for Microsoft Visio」は独立したモデリングツールとしてBEL生成を特徴としている。
- KPI等の経営活用機能の充実
- エンタープライズ化による変化は、単なるワークフロー活用から経営管理のツールに変化してきたことに見られ る。例えばIDSシェアーの「ARIS」は経営マネジメントを前面に出したビジネスプロセス管理を、Savvionは経営と情報システムの連携ハブ機能 (パフォーマンス測定など)の統合化をそれぞれ特徴とした、経営と情報システムをシームレスに連動しようとする製品である。
- シミュレーション機能の充実
- 私がシミュレーション機能にはじめて接したのはSavvionだが、その後ITpearlsをはじめとして様々なBPM製品でもこの機能の充実が目立っている。
- 業種の特徴を踏まえた製品開発
- 日商エレクトロニクスの「Global 360 Enterprise BPM Suite」はエンタープライズ向けのBPMだが、その生い立ちは金融系のドキュメント管理に源流があり、これをベースに適用領域を広めた製品といえる。 以前から注目を集めていたコンテンツマネジメントやナレッジマネジメントの進化系もBPMとして健在だ。
- P社ツールベンダ: ここであげたベンダー以外にも様々なBPMS製品が登場しており、販売を行うベンダーとしては大変な面がある。しかし顧客サイドから見れば、自社の特徴を踏まえ相性のよいBPMSを選びやすくなったといえる。
しかし技術だけではBPMSの導入は進まず、ソリューションや新たなビジネスモデルの提案を伴い、顧客の経営・事業をきっちり掴んだ戦略が必要だと考えている。このため研修会社やコンサルティングファームとの協業による市場開拓をはじめる。
M社コンサルタント「新しいコンサルティング手法の確立」
- M社コンサルタント: 伝統的なコンサルティングの立場からすると「BPMはさほど注目するほどの手法でない」という見方が大勢を占めていた。しかし、2007年からは企業が内 部統制などで経営と業務と情報システムの連動によるソリューション解決をはかりはじめたことから、状況は変わってくるだろう。
- M社コンサルタント: つまり、経営、業務、情報システム、採用技術の4つの視点でコンサルティングを行うケースが増加すると考えられる。当然、そこには各専門分野間でのコミュ ニケーションギャップが存在するため、その連携をBPMではかるとともに最適なビジネスモデルを実装(提言ではない)するコンサルティング手法を確立したい。
まとめ
2007年はBPMが一層注目を浴びる年となるでしょう。BPMは万能薬ではなく、使い方の良し悪しで効用が大きく変わります。その変わる最大の要因が人です。
経営の俊敏性や業務の効率化、品質向上をあげてBPMの仕組みが実現したとき、もっとも大きく変わるのはそれに携わる人達ですし、その変化をもたらしたのも、またそこに携わる人達だからです。
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