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| はじめに | ||||||||||||||||||
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前回はESBが誕生してきた背景を振り返り、アプリケーション統合の変遷を主にトポロジの観点から説明しました。部門ごとに個別に構築されてきたアプリケーションシステムを効果的な方法で統合する重要性を増しています。今回はこのトポロジの議論からいったん離れ、アプリケーション統合の機能の面からESBについて考察します。 |
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| SOAが意味すること | ||||||||||||||||||
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ここ数年、SOAがこれほどまでに注目を集めているのは、現在の情報システムが抱える課題や問題に対する切り札として期待されているためです。なぜならビジネスを支える情報システムを効果的かつ効率的に構築することは、IT部門が常に目指してきた課題であり目標だったからです。 それに加えて、ビジネス要件が急激に変化する今日のビジネス環境においては、ビジネス要件の変化に情報システムをいち早く対応させることもますます強く求められるようになっています。そこには、以下にあげるような多種多様な動機があります。
表1:情報システム変更の動機 この表1よりわかることは、単体のアプリケーション構築の問題ではなく、企業内外の複数のアプリケーションシステムを連携させるアプリケーション統合の問題であることです。またこれらの動機は、IT部門という技術サイドから起こるものではなく、経営部門やビジネス部門からもたらされているともいえます。 情報システムの新たな切り札として期待されるSOAについても、その真の姿を明らかにするためには、このビジネスサイドの視点から見ていくことが重要だといえます。 しかしながら、SOAをこの視点で議論することは技術面での議論とは異なり、抽象的で具体性に欠けるものとなりがちです。それはSOA自体が技術規格を指すものではなく、情報システム構築の考え方を示しているにすぎないからです。 「疎結合」「粒度」「サービス」といった言葉(あるいはコンセプト)は、このSOAのあいまいさを代表するものです。それに加えてSOAに関する議論やベンダーの説明が、WebサービスやBPELなどの個々の技術解説やサポート製品説明に偏重したものとなっていることもあります。ユーザ側から「現状のビジネスの問題点に対してSOAがどのように解決し、どういった効果を期待できるのか、その具体性については未だ不明瞭だ」という声があがってくるのは、このあたりの事情を反映しているものといえます。 本連載ではビジネス上の課題をSOAによってどのように解決できるのか、もしくは最適な解決手段となるためにはSOAや、その実現基盤となるESBに求められているものなどを、できるだけ具体的なものとして考察していきます。 本来なら「SOAとは何か」をまず解明し、しかる後に「そのようなSOAを実現するためのESBにはどのような機能が必要か」とトップダウンに考えていくのが正論なのでしょう。 しかし、ここでは技術基盤であるESBの機能についてまず考察し、ビジネスの視点から見たSOAの具体的な姿へとボトムアップ的に展開していきます。その方が「疎結合」「粒度」「サービス」というようなSOAの考え方をより具体的な技術と関連させて捉えられるようになるからです。 |
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| アプリケーション統合のパターン | ||||||||||||||||||
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SOAはアプリケーション統合の方法論や考え方に近いものであり、SOAを実現するためには具体的なものが必要となります。現在のところ「SOAの実現にはESBをその基盤とすることがもっとも効果的である」というのが、大方の一致した意見となっています。ではESBとはどのようなもので、どんな機能を果たすものなのでしょうか。 これについて前回、ハブ&スポークの反省としてバス形式に基づくESBが登場してきたことを説明しました。今回はSOA実現の有効な基盤としてESBが備えるべき機能について、アプリケーション統合の方法(パターン)に即して考えてみます。 アプリケーション統合を一般化すると、図1に示すように「1対1または1対nの統合」と「複数のステップからなる統合(ビジネスプロセス)」の2つのパターンに大別できます。 図1には最近注目されるようになってきた「コンポジットアプリケーション」も示しています。これは複数のアプリケーションを1つにまとめ、それを1つのステップ(あるいは1つのアプリケーション)として、1対1の統合や複数ステップの統合パターンで利用できるようにしたものです。 本連載でもコンポジットアプリケーションについて今後取り上げていきますが、今回はもっとも単純でプリミティブな1対1(n)の統合パターンを例にしてESBの機能を探っていきます。 |
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